「タイトルなし(ネタバレ)」Flow りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)
タイトルなし(ネタバレ)
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突如襲った洪水。
一匹の黒猫は小型の帆船で命拾いをした。
しばらくして、カピバラ、犬、ワオキツネザルなどが乗り込み、群れを追われた大型の鳥がスキッパーの役を務めることになる。
ときには、クジラに助けられたりもして、彼らのサバイバルは続く・・・
という冒険譚を、前作『Away』同様、セリフなしのアニメーションで魅せるアニメ。
人間は登場せず、動物たちだけの冒険譚で、やや擬人化された表現もあるので、ファーストルックは子ども向けっぽい感じがしないでもないか。
舞台設定は不明だが、バルト三国のラトビア発の作品なので、北極圏の氷河が解けたことによる洪水かしらん。
地球温暖化の問題は北欧では切実。
洪水により生物界ヒエラルキーは変化し、陸上の頂点に鳥類に。
海では、大型のクジラが頂点か。
このあたりの設定は興味深い。
小型帆船に乗り込んだ動物たちのバランスもよく、犬や猿はそれなりの小集団が残っている。
スキッパーに収まる鳥は、大集団の中でヒューマニストぶりを発揮したがゆえに群れを追われるあたり切ない。
洪水の中で安住の地を手に入れるような安直な展開にはならず、洪水は突如引いていく。
帆船に乗り込んだ動物たちにとっては、めでたしめでたしなのかもしれないが、そこにもうひとつ寓意めいたものが提示されて、物語は開いた形で終わる。
このラストも切なく、ある種の批判と警鐘が込められているように感じました。
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