「猫は水が大嫌いなはずなんだがなぁ。」Flow Mr.C.B.2さんの映画レビュー(感想・評価)
猫は水が大嫌いなはずなんだがなぁ。
3月17日(月)
我が愛しのグルミットがトム・クルーズばりのアクションを見せる「ウォレスとグルミット 仕返しなんてコワくない!」や、ドリームワークスの快作「野生の島のロズ」や、評判が良い(未見)ピクサーの「インサイド・ヘッド2」を押しのけてアカデミー賞長編アニメーション賞を受賞したラトビアの「Flow」。
興行側が読み違えたか、小規模公開で小さなスクリーンでしかやっていない。
TOHOシネマズ池袋スクリーン4で「Flow」を。平日昼間でも7割程度の入りだ。
黒猫が大水が出た世界で廃船?に乗り合わせた動物たちと水の上を彷徨う。動物を擬人化せずに言葉を話す事もない。
動物の鳴き声、泣き声、啼き声、哭き声、自然音と音楽のみである。
何故、大水になったのか?そこに居た形跡はあっても登場しない人間はどうなってしまったのか?説明も字幕もない。
監督の5年前の前作「Away」も同様に台詞無しの少年の話しだったらしい。ちょっと観てみたいね。
本作も監督・製作・編集・音楽の一人4役をこなしている。
登場するのが、黒猫と4種類の犬、アフリカのヘビクイワシ、南米のカピバラ、マダガスカルのワオキツネザルと生息地域が違う生き物が乗り合わせているのも意味があるのか。
ヘビクイワシは、黒猫に魚を与えようとして仲間に襲われ羽根を痛め翔べなくなってしまう。
ヘビクイワシはタカビーで上から目線、船の舵取りも自分で行う。カピバラはおおらかで我関せず、ワオキツネザルは自分の好きな物に夢中とキャラ分けもされている。
余談だが、私は動物園で動物を観るのが好きで、レッサーパンダやカピバラを観るのは大好きである。ちなみに私の写真は上野動物園で撮ったハシビロコウ。
映画は、黒猫の視点で描かれるが、犬に追われて全力疾走する時のスピード感、足元に迫り来る水に水没する恐怖感、ワシに捕まって大空から落下する浮遊感と変化を付けて映像が単調にならないようにしている。大木に引っ掛った船からの脱出はヒッチかトム・クルーズか。
本作で素晴らしいのは、鏡、ガラス、水面に映ったリフレクションの緻密な表現である。
それに対して毛並みなどはぬっペリしていて、こだわりが無い。ピクサーなら毛1本1本を緻密に描く所だろう。
オープンソフトで作られたとの事で、そこはこだわる所ではないと言う事か。
ヘビクイワシが天に召されて?水は引き、各々は地上の園に戻る。水の中にいた悠然としていたクジラのような生き物(瞼があるから魚ではない)は地面に横たわっている。
異種に施しをしようとした者は仲間から攻撃され、一緒に彷徨った異種は助け合う。
何の暗喩なのだろうか。
クレジット後の姿に、また水が来たと思うか、別の個体と思うかも含めて、考える映画なのかな。
自分としては、水が嫌いな猫が水中に潜って何匹も魚を穫るのが納得がいかなかったけど。水に落ちた猫は、慌てて必死で船に登ろうとしていた。あれが本当の猫の姿でしょう。
共感ありがとうございます。
ハシビロコウって不動で有名な鳥ですね。
ネコは必要に迫られれば水に入るんじゃないでしょうか、クロヒョウは水好きと言うしユーチューブで風呂に気持ち良さそうに入る子ネコも見ます。
色々解釈出来るのが今作の面白い所ですね、自分はヘビクイワシはより高次の世界(争いの少ない)世界へ旅立ったと思いました。