劇場公開日 2025年3月14日

「とにかく絵の美しさに目を奪われ、「ことば」がない分、想像力が掻き立てられる」Flow Tofuさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0とにかく絵の美しさに目を奪われ、「ことば」がない分、想像力が掻き立てられる

2025年3月18日
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鑑賞方法:映画館

オスカーを獲得したラトビアのアニメーション映画には人間のことば(台詞)は一切出てこない、というより、建築物など人間の痕跡はあるものの、人間という生き物が本作には登場しない。

にも関わらず、どうしても人間の社会に思いを馳せずにはいられない。

必ずしも自分の思い通りにならず、運命に流され、飲み込まれながら進んでいく人生。その中で感じる不安、孤独、絶望、友情、連帯、希望……。また、生きていく中で身につけていく知恵。

集団の排他性や弱者に対する横暴さ、独占欲などは個人の問題であると同時に国家の問題でもある。多種多様な民族の共存は現在でも様々な課題を我々に突きつけている。

そして、宗教。キリスト教的な視点ではノアの方舟やバベルの塔、そして、最後の晩餐におけるユダなどの逸話が浮かんでくるし、アミニズム的な神の存在も垣間見えるように思える。あの鳥はどう考えても「火の鳥」的であるし……。

自分のことしか考えない人間や、領土を含めて人のものを勝手に奪おうとする人間は、こんな作品を観て猛省すべきであろう。

Tofu
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