「にゃんこ終末旅行」Flow uzさんの映画レビュー(感想・評価)
にゃんこ終末旅行
人類が絶滅したのか動物しか出てこず、更には水に呑まれた世界を黒猫が旅をする。
本作の動物たちは言葉を発さず、彼ら同士でも意思の疎通は取れていない。
動きもかなりリアル寄りではあるが、やりすぎでないアニメ的表現でそれとなく伝わる。
リアリティラインのバランスがとても好み。
…と思ってたのだけど、中盤に鳥が操舵しだす辺りからこれが崩れだして少々残念。
ある程度やらないと話を展開しにくいのかもしれないけど、個人的には最後まで貫いてほしかった。
映像としては、光の表現が素晴らしい。
水は時折硬さを感じることもあったものの、水面の描写に関しては目を瞠るものがあった。
動物たちは毛の一本一本という方向ではないが、陰影が細かく、ワンカットの黒猫一匹に何色使われてたのやら…
動きも適度に愛らしく、黒猫の耳やゴールデンレトリバーの口元が特にお気に入り。
犬種による鳴き声や身体の大きさによる足音など、音の表現も細かかった。
話としては小舟で漂いながら、水に落ちたり壁にぶつかったり、仲間が増えたり喧嘩したりするだけ。
お気に入りを尽く奪われるキツネザルが可哀想。
死生観とかはありそうだけど、そこまでは読み取れず。
終盤の無重力描写は、鳥が召されて黒猫も危うかったってことかな?
水が急に引いたり、鹿の大群がそのまま残ってたり、設定面では疑問が残るが、映像体験としてはなかなか。
世界観は想像が膨らむと取るか説明不足と取るか…
咥えた瞬間魚が動かなくなるなど、後半にいくほど息切れも見えた。
好みの問題もあるが、やはりリアリティライン高めのまま60分程度で纏めた方が光りそう。
水もそのままでよかったかなぁ。