劇場公開日 2025年3月14日

「海に浮浪し異大陸の動物に逢う (南米・アフリカ・マダガスカル)」Flow LittleTitanさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0海に浮浪し異大陸の動物に逢う (南米・アフリカ・マダガスカル)

2025年3月17日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

難しい

幸せ

萌える

 台詞なしで説明が皆無なので、消化不良な部分はあるが、動物の動きがリアルで観てて飽きない。鏡に興味を持つ猿、鏡に反射する光を追いかける猫のワチャワチャは可愛い。ゴールデンリトリバーに驚き、毛を逆立てる猫もリアルだった。
 登場した動物の分布を調べると1つのテーマが浮かぶ。ネコもイヌも人里に多く、監督の出身国ラトビアを含むほぼ全世界に居る。一方、カピバラは南米固有、ヘビクイワシはアフリカ固有(サハラ以南)、ワオキツネザルはマダガスカル南部固有。つまり後者3種の分布は海に隔てられている。本作は洪水(Straume [ラトビア], flow [英])で漂流するので、異なる大陸・島の動物が集うのも不可能じゃないが、描かれた時間軸ではちと速すぎる。つまり、リアルな漂流を描いたのではなく、分布が離れた動物たちを敢えて選び、彼等が出逢う姿を描きたかった気がする。ネコとイヌが洪水によって欧州?を旅立ち、普段は会う筈のない大陸の動物たちと遭遇し、諍いもありつつ最後は協力し仲を深め、4匹が睦まじく水面に写る。困った時に必要なのは、国境や種の壁ではなく、協力しあえる仲間...なのかもしれない。
 1時間5分頃から、直立した岩の上で重力を失い揺蕩う場面、何故ヘビクイワシは天に召され、ネコは地上に戻るのか? 傷ついた羽根で無理した鳥の天命か? 或いは、直後の1時間10分頃から水が引いて洪水が終わったのは、ヘビクイワシが天に昇って起こした御業なのか?
 終盤、水が引いて陸の上で身動き取れなかったクジラが、エンドクレジット後に海を漂っているのは、洪水が再度起きたという事か? 全然違う個体なのか? と観客が想像する余地が残された映画なんですね。

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LittleTitan