劇場公開日 2025年3月14日

「詩的な映画」Flow jin-inuさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0詩的な映画

2025年3月17日
PCから投稿

動物を擬人化したアニメ映画という共通点のある「野性の島のロズ」と本作を、2本続けて観ました。

「野性の島のロズ」の動物たちは言葉を喋り、「献身的な母性愛」や「集団への自己犠牲」のわかりやすい物語で、激しく情動を刺激される映画でした。

一方本作の動物たちは人間的な振る舞いはするものの、言葉は一切喋りません。テーマもよくわからない。

じゃあつまらないかというと、そうではありません。「野性の島のロズ」を「散文的」とすると、本作は「詩的」な映画でした。美しい背景の中に象徴的な事物が羅列されています。一つ一つにおそらく隠された意味があるのでしょうが、考える映画というより、感じる映画なのだと思います。洪水で洗い流されて人間たちがいなくなった後の世界は、大変美しい不思議な世界でした。特に水の表現が見事です。そして動物たちは昼寝をしたり遊んだり助け合ったりして暮らしています。必死になったり呑気になったりしながら。

jin-inu