劇場公開日 2025年3月14日

「監督らしい動物疑似家族による、言語も種も越える流浪の舟旅はぼくらの今これからのようだ」Flow とぽとぽさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5監督らしい動物疑似家族による、言語も種も越える流浪の舟旅はぼくらの今これからのようだ

2025年3月14日
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ぼくらが生きる現実世界を映し出すように人類の文明が滅び、洪水で水位は上がった(現実に直面している海面上昇)後に、色とりどりな動物のはぐれものアウトサイダー達が疑似家族を形成してバベルの塔へと向かう、タイトルに偽り無しなノアの方舟漂流記。彼らが水の反射や鏡で自身の顔を見て対峙するとき、それはまるで観客自身に問いかけ、人類だけでないあらゆる生物が共存するこの地球の行く末を占うようだ。種や立場を乗り越えて、協力し合うこと。
精神的スピリチュアルな流浪の旅とその果てに水中から顔を上げるなど監督前作『Away』との共通点は(タイトル然り)明確に色濃く、精神的姉妹分と言っていい作品ながら、哲学的・寓話的側面が色濃かった全作よりも本作のほうが間違いなく幅広い客層に訴えかけられる間口の広さと深度の増した普遍性を兼ね備えている傑作!黒猫とは不吉の象徴ながら本作のネコのかわいさなど、とびっきり生き生きと美しく革新的なアニメーションに目も心も奪われてしまう。夢中になってしまった。
たとえ始まりは呉越同舟的ハプニングであったとしても万物の共生、あるいは種の保存に予期せぬ神の介在。すべての生き物と命を讃え、心温まる映画の魔法。

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とぽとぽ
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