「どうすればよかったのか」どうすればよかったか? papapapaさんの映画レビュー(感想・評価)
どうすればよかったのか
現在、どうすればいいか悩んでいる自分にとって、落ち込んでしまう映画。姉は結局、統合失調症を発症後、病院にかかることなく、やっと病院にかかって回復した後、肺がんで死んでしまう。親が病院にかからせなかった理由は、父親によると、母親は、娘が統合失調症ということを極端に嫌ったことにあるといい、母親によると、父親が自分の教え子にみせたら全く問題ない、「父親の壁」を破らなければならないとして父親が原因といっている。どっちが本当かはわからないが、おそらくどちらもほぼ正しいのだろう。見栄、自分自身の自尊心、何より娘のためを思って、精神病院にいれたくなかったという点で、どちらも一致していたのだろう。結局娘の人生はめちゃめちゃになってしまった。
父親も母親も、自分に自信があるのだろう、話し方は論理的でも他者の意見をききいれない態度は同じ。母親は、弟が、姉に話しかけているのに、姉の言葉をがまんしきれず、先回りして嘴をいれてしまう。典型的な過保護親である。
医学部(北大か?)に入るのに4浪したという点、医師国家試験?を受けてもらいたかった?という点も見過ごせない。(監督も北大であり、相当の高学歴家族)親の期待に子がつぶれてしまったのか。やはり、親が過保護だとろくなことがない。
じゃあ自分はどうしたらいいのか。今なら病院に行く一択であるというような意見があるがそんなに単純なものでもない。場面は異なるが介護殺も同じ。親は自分が何とかしなければならないと非常に頑張る。第三者からみれば、病院、施設にまかせればいいのにと思うが、まじめな親(自分に自信があるので頑固)ほどそれを聞き入れない。この作品の親も非常にまじめ。娘が妄想でおかしくなっていても、お正月やクリスマスにはきちんとごちそうを用意してお祝いをしている。
頑張った結果、本人もろとも貴重な人生を無駄に費やし、ひどい場合には殺してしまう。頑張った故に父親は最後まで、自分が失敗したとは思っていない。
監督はこの作品で親を糾弾しようとは思っていない。親が娘のために頑張ったことは監督が一番よくわかっている。当事者にとっては、どうしようもないという側面がある。だからこそ、「どうすればよかったのか」というタイトルなのだと思う。