劇場公開日 2024年12月7日

「観客を当事者にしてしまうタイトルの秀逸さ」どうすればよかったか? テレビウォッチャーつばめさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0観客を当事者にしてしまうタイトルの秀逸さ

2025年3月2日
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鑑賞方法:映画館

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タイトルを「どうすればよかったか?」とすることで、ほとんどの受け手は、映画を通じて見せつけられる、不運で不条理な出来事を自らの課題として考えさせられる。

正解の無いこの課題に、観客それぞれが自分の答えを出すということが監督が求めていることだと理解しました。

実態としては、自慢の娘が統合失調症になったことを恥じる気持ちがある両親が、娘の異変に気が付かないふりをして、異変が起きる前と同じような生活を娘や自分たち自身に強いていたというものだったと感じました。

家族全員が高学歴なので、交わされる会話は、ボキャブラリーに富んだものではあるが、何ら発展性のないもので、たくさんの音をやり取りしているに過ぎないのは、シュールなコントのようでした。

一言で言えばハイソサエティーなネグレクトです。

発症から20年以上を経て標準治療を受けるようになり、会話の体をなすようになった娘の様子を見ると、両親のせいで発症後の可能性を根こそぎ奪われてきたんだなと悲しくなりました。

家庭で起きた問題を家庭内に閉じ、社会化できないと、このような悲劇を生むことがいくつもあります。

自分だけでは解決できないことがあることを悟ること、適度に他人に頼ること、自分はそう考えて対処しようと、改めて思いました。

テレビウォッチャーつばめ