劇場公開日 2024年12月7日

「失敗を認めることは人生にとって重要」どうすればよかったか? 杉本穂高さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0失敗を認めることは人生にとって重要

2025年2月28日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

人は、こんなにも失敗を自ら認めることができないものなんだなと、ものすごく深いレベルで実感させられる作品だ。このドキュメンタリー映画の題材となっているのは、監督自身の家族だ。両親はともに医療関係で優秀、姉もその後を継いで行くものと思われたが、医学部に進学した後、統合失調症となり家庭内で意味不明なことを叫んだりするようになった。
しかし、両親は精神科へ見せることを拒み続け、彼女は病気ではないと言い張り続ける。そして、数十年が経過、家庭の中はどんどんすさみ、姉の症状も悪化し続ける。結局、精神科に連れて行ったら、合う薬もすぐに見つかり、姉は快方に向かうが、人生の膨大な時間を失うことになる。
統合失調症を世間に知られたくないという恥の気持ちもあったのだろう。しかし、映画を見ていて、優秀な医者として、家族から統合失調症を出したと思われたくない、それは親の教育、育て方の失敗と認めたくないという気持ちもかなり働いてそうな気がした。
結局、父親は最後まで自分の非を認めようとはしない。
人間の成熟とは何かと考えると、ひとつには自分の過ちを認められることがあると思っている。しかし、実際にはすごく難しい。自分はいつも自分の言動を顧みて反省できているだろうかと考え込んでしまった。

杉本穂高
mamiさんのコメント
2025年3月9日

「ネタバレ注意」を付けていただきたかったです。

mami