劇場公開日 2024年12月7日

「当然ですが、現実です。」どうすればよかったか? ばけつさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0当然ですが、現実です。

2025年2月24日
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鑑賞方法:映画館

難しい

壮絶な、家族の記録

冒頭、音声のみが流れますが
それが一番最初の記録だそうです。

丁度、
知りあいの内科医が、メンタル不安定だったのですが、いよいよ症状が出てきて入院された所でした。その内科医も、ご両親も医師だったので、このドキュメンタリー映画と重なり、ぜひ観たいと思いました。

驚いたのは、弟である監督も
お姉さんの事で精神的に病んでいた事、
当然、そうなりますよね…
10代の少年期に、姉に襲われたらどうしようもないから反撃して、そうすると殺してしまうかもしれないけど仕方ない、とまで考えていて。
安心できるはずの「家」が
全く安心出来ない場所なんて、辛すぎます
メンタルやられますよね。

そんな少年時代を過ごし
全く進歩しない実家の危機を変えるべく
映像を撮り続ける後の監督である弟。

昔の8ミリの映像に(監督が生まれる前の映像)
とても裕福な家庭
知的なご両親が映っています。
監督は1966年生まれ、私も同世代です
全く私とは生活環境が違う…
監督も将来は研究者になるかも、と幼い頃考えていたそうです。
やっぱり環境が与える影響って、凄いですね。

そういう環境の家庭だったんですね、
お姉さんは疑う事なく医師になる道を選んだけど、結果的には、
どうやら合っていなかったのでしょうね
4浪して医大生に、
座学?が終了し
研究実習が始まり最初の症状が出たそうです

それからのお姉さんの症状は壮絶です

印象的だったのは…
夜中の大声、
母親が部屋に入って行って、それでも止まない声
で、普通の顔をして部屋から出てくる母親

異常が日常で
異常を異常と認識しない両親

お姉さんを病院に連れて行かない理由を
母親は「お父さん」のせいにして
父親は「お母さん」のせいに

でも、冒頭の音声で
「どうしてよ!?私の家族に精神分裂症なんか!?」って、母親が叫んでたんですよね…

どっちだったんでしょうか?
いや、どちらも、なのかな…?

お葬式で
「彼女なりに充実していたろう」と言っていた父親
そうであろうと思いたかったんだと思う。

叔母さんは
「まこちゃんは本当に天使のような子供だったけど、少し神経質だった」って。
こうなってしまったけど、家族としては仕方なかった、、的な事を言っておられてびっくりしたけど、それは息子である監督の気持ちを汲み取って、ご両親を庇った発言なのかな、と後から思いました。

最後のインタビューで父親が
「失敗はしていない」と言っていて
娘のことは愛してはいたけれど
そういう人種の人だと感じました。

もしくは
息子には後悔してるなんて懺悔するのは
父の権威があって言えないのかな…
その方が、人間らしいと思いました。

ばけつ