「家族という小宇宙」どうすればよかったか? シューテツさんの映画レビュー(感想・評価)
家族という小宇宙
東京で凄く観客が入っているという事を耳にして、映画系のYou tubeのサムネも沢山挙がっていたので気になっていたのですが、大阪で公開されているのを見つけ早速見に行ってきました。
で、この作品の作り手は、この作品を多くの人に見て貰いたいとは思っているとは思いますが、多くの人達の意見を求めている様な気はしませんので、出来るだけ手短に感想を書きたいと思います。
本作は見る前に簡単な内容の解説は読んでいてドキュメンタリー映画という事も分かっていたので、ある程度の心構えをして見たのですが、やはり見ていて一番感じたのは“切ない”って事ですかね。
タイトルの意味は映画の冒頭で直ぐに理解しましたが、これは問いかけではなく叫びなのだと思います。
あと、このタイトルは作り手の決意でもある訳で、本作を撮る事への自分自身に向けての言葉でもあり、ラストの父親との対峙に対しての気持ちだったように思える。
恐らく多くの鑑賞者はこのタイトルの言葉に引っ張られるとは思いますが、もしも同じような状況の家族が百あれば、百通りの違う答えがあるのだと思いますし、他者(観客)がこの家族へ向けて真剣にこの答えを考えるのは、作品の意図とはズレる様な気がします。
恐らくこのタイトルは、観客自身それぞれの家族を見つめ直すという意味に繋がるのだと思います。
この作品を見て作品内の藤野家に対して観客がとやかく言う事は何もないのですが、ある一家の普通なら絶対に見れない日常を垣間見ることによって、自分と家族を見つめ直す大きなヒントを戴いたような気がしました。
なので、上記を繰り返しますが作り手も観客の作品の感想を求めているというよりは、観客に本作を見て貰い自身の家族を考えるキッカケになって欲しいという事を願って公開した様な気がします。
赤の他人の人生(生活)などあまり見たくはないが、しかし絶対に一度は見ておくべき作品という種類に位置する作品だとも思いました。