劇場公開日 2024年12月7日

「100館超に拡大…だそう」どうすればよかったか? ジョンスペさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5100館超に拡大…だそう

2025年1月22日
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鑑賞方法:映画館

公開時から静かに話題、数少ない上映館では満席が続いていた本作。年明け最初に観るべき作品か?とは思ったが、新年2日からキネカ大森はけっこうな客入り。統合失調を発症した姉に対して、終始たんたんと穏やかに語る父親はそれはそれでサイコっぽさを感じさせるし、認知症を患ってからの母親の言動は姉と大差がなくなっていくし、そもそもこの家族の状況をカメラで追い続け世に晒し出す監督本人もどういった心持ちなのか…。正直、身構えるほどの衝撃はあまりなかったのだが、怖いもの見たさを期待していたオレもオレでどうなんだ?という気になってしまった(爆)。

タイトルが投げかける質問については、精神疾患に対する世の認識が多少なりとも進んだ現代なら適切な対処法をどうとでも言える。が、40年前の発症当時の精神医療にどの程度の実効性があったのかや、疾患・障害に対する(今でもさほど変わらない)周囲からの視線を考えると、両親が(優秀な研究者だったが故に?)姉の疾患・障害を認めず隠蔽し続けたことを責めたてるのはしんどい。結局、そんな居心地の悪さを少しでも解消するために、家のなかだけで抱えきれないことはより大きな社会単位で包摂していくしかないのだ、とあらためて考えた一作だった。

ジョンスペ