劇場公開日 2024年12月7日

「家族内の閉塞感は他人事でない」どうすればよかったか? スー(ジェーンじゃない方)さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0家族内の閉塞感は他人事でない

2025年1月6日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

難しい

ドキュメンタリー映画好きなので、どうしても観ておきたかった作品。動員数が多く話題のようだが、いわゆる映画的な展開を期待すると肩透かしを喰らう。ひたすらモヤモヤと閉塞感のある場面が続くからだ。

ただし統合失調症の当事者と両親を家族の視点から長年に渡って捉えた映像は大変貴重。かつ、受診していない統合失調症患者と家族という側面は特殊だが、「正論」が通じない家族というのはどこにでもあり、他人事としても見ていられず、心が痛くなる。

この貴重な映像を長期間撮影して、映画として完成した監督にただただ感服。そして語りたくなる映画であることは間違いがない。(実際、私もこのようなサイトに初めて投稿しました。)

誰にでも勧められる映画ではないが、個人的には観ておいて良かった。どなたかのレビューでもあったが、星を付けるのはとても困るが、上記の理由から無理やり付けました。(印象チェックに「考えさせられる」はないんですね。私はそういう映画が好きなので、少し意外でした。)

2025/4/4 再度鑑賞 テアトル新宿

詳細には書けないが、最近この映画を思い出すような出来事が身近にあったため、再度鑑賞した。

今回感じたのは、「確かに家族に愛はあった。しかし親からの強い支配もあった」ことだ。

虐待やDVも含めて、「愛ゆえの行為」は存在する。「◯◯(子ども)のためを思って」と言うことで、自分の思う通りに仕向けることだ。

本当にそう思うなら、相手(子ども)の意見を聞く、さらには意見を聞く姿勢を持っていることを相手(子ども)に感じてもらうことが大切だろう。

主人公のお姉さんは優秀であったからこそ、親も期待をしたし、ご自身も期待に応えようとした。しかし、どこかで違和感があったなら、その感覚を無視するべきではなかった。

実際、最後に監督との対話でお父さんは「統合失調症だと思ったことがある」と告白している。

さらに違和感があれば、本人や周囲の人とも話し合えれば良かった。

お母さんは頑なそうだったので、仲の良い叔母さん(母の妹)にも、もっと早く相談して、説得できるなら、それも良かっただろう。

未成年であれば、周囲の誰かが異変に気づけば、児童相談所が関わるかもしれないが、親元を離れていない大学生相当の年齢の人に対しては難しいかもしれない。

どうすればよいかを考えてみたが、やはり家族、特に親の考えによって、無理があるようだ。難しい。。。

スー(ジェーンじゃない方)