「お姉ちゃんの人生はなんだったのか」どうすればよかったか? jollyjokerさんの映画レビュー(感想・評価)
お姉ちゃんの人生はなんだったのか
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精神疾患の原因が遺伝的要素と環境にあるとされて久しいが、晩年の母親が認知症を発症したことを鑑みると遺伝的要素と関連があるのだろうと思わずにいられない、まったく異なる遺伝的要素であるとも思うのだが。とにかく精神疾患に対する知識と対処方法、世間的な認識について考えさせられる作品である。
また、親になるということの責任についても非常に考えさせられる。高等教育を受け社会的に認められている両親が、子どもに期待するのは当然であろうが、子どもは自分とは全く別の人間であるということ、子どもに過度な期待をかけるのではなく子どもの興味・得意なことを見極めてサポートすることが「な心身の育成につながること」を親自身が認識することの重要性を感じるのだ。学問を追求するだけではなく人間的に豊かに生きることを、あの両親が成しえたとは思えない。室内の散らかり様、お互いに責任を押し付け、最後まで事実を認めない思考は、やはり「お姉ちゃん」の人生を良きものにしたとは思えない。
一家の長男であり「お姉ちゃん」の弟である監督が早くに家を出て、第三者的な視点で追う家族の姿は、痛々しくもどかしく切ない。また、終始「お姉ちゃん」に寄り添い優しい対応をしている事にも圧倒される。
母親の死後、医療によって症状が落ち着いたお姉ちゃんは、おどけたポーズをとりピースサインをして写真に納まる。面倒見がよく、活発だったお姉ちゃんの「あったはずの」人生をガンというもう一つの病気が襲い早世したことは残念である。監督の思いと精神疾患に対する固定観念を再考したい。
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