劇場公開日 2024年12月13日

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「「密輸 1970」に続く、女性チームが強大な犯罪組織に立ち向かう痛快ドラマ」市民捜査官ドッキ 高森 郁哉さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0「密輸 1970」に続く、女性チームが強大な犯罪組織に立ち向かう痛快ドラマ

2024年12月15日
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韓国映画界における女性の地位向上の取り組みが関係しているのか、男のボスが仕切る強大な犯罪組織に普通の女性たちのチームが立ち向かう映画が、今年7月に日本公開の「密輸 1970」に続き作られた。新作の「市民捜査官ドッキ」では、監督・脚本を務めたパク・ヨンジュも商業映画2作目となる30代後半の若手女性。

シングルマザーの主人公ドッキが振り込め詐欺の被害に遭い、その後監禁されている掛け子の青年から助けを求められる。通報した警察にはまともに取り合ってもらえず、それならばと仲間たちに助けられながら中国・青島にあるらしい詐欺組織の拠点を自ら探しに行くストーリー。

韓国が得意とする犯罪映画の基準からすると、主人公側の主要キャラクターが庶民的なおばちゃんたちなので暴力と活劇は少なめ。そのぶんドッキと仲間たちの野暮ったさや会話のおかしさで笑いも添えつつ、子供との暮らしを取り戻すため勇気を振り絞り組織とラスボスの正体に迫っていく過程をスリリングに描く。

2016年に韓国で実際に起きた事件がベースになっている。映画ではモデルになった女性に報奨金が支払われていないと記されていたが、ネット検索した韓国メディアの記事によると、2024年8月にその女性キム・ソンヒに5000万ウォン(現在のレートで約540万円)が支払われることが決まったそう。それに先立つ同年1月の本作の自国公開が世論や行政に影響したのだろうか。ともあれ、きちんと報われたようで何より。おばちゃんたちの勇気と絆に喝采を送りたい。

高森 郁哉