劇場公開日 2025年2月7日

「男も惚れる金太郎!」サラリーマン金太郎【魁】編 おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5男も惚れる金太郎!

2025年2月16日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

単純

幸せ

公開週は他の作品を優先してしまって時間が取れず、このまま配信待ちにしようかとも思ったのですが、今週は時間が取れたので、やっぱり観るなら劇場でと足を運んできました。公開2週目だというのに1日1回上映で観客もわずか4人で、早くも上映終了となりそうな感じですが、作品はとてもおもしろくて大満足です。

ストーリーは、大間のマグロ漁師だった矢島金太郎がひょんなことからヤマト建設に入社して、会社を私物化する大島社長の解任までを描いた前作に続き、九州の地熱発電所のプロジェクトを任された金太郎が、下請け会社のボイコットや地元住民の反対運動に直面する中で、その背後にある問題に気づき、持ち前の正義感と腕っぷしでさまざまな問題に体当たりでぶつかっていく姿を描くというもの。

前作に引き続き、男気あふれる金太郎の姿がとにかく熱いです。前半は工事をボイコットする下請け会社の説得、後半は反対運動を展開する住民との和解、そしてその裏で糸を引く黒幕への殴り込みと、どれもなかなか見応えがあります。

金太郎一人の活躍で全てがうまく運びすぎている気はしますが、それは金太郎に冴えわたる策があってのことではありません。むしろ己の信念に従い、無策で相手の懐に飛び込む、彼の真っ直ぐで誠実な思いに人は皆ほだされるのです。そういう目で見ると、全てがご都合主義なのではなく、全ての人が金太郎に惚れ込んだ結果なのだと思えてきます。

ラストは、それが熱く描かれたシーンで、金太郎の男気に魅せられた男たちの熱い姿が心を揺さぶります。ベタな展開のベタな演出かもしれませんが、こういうわかりやすく真っ直ぐな思いや生き方こそ、今の時代に必要なのではないかと思わされます。

SNS全盛でコスパだタイパだと、見栄えや損得ばかりを優先させる現代において、金太郎の生きざまはまさに真逆。でも、人の心を動かすものは、やはり人の心です。そこに古いも新しいもありません。古き良き昭和のノスタルジーと揶揄することなく、金太郎から真摯に学びたいものです。

感化されやすい自分は、さっそく明日から職場で熱く振る舞いたいと思うのですが、きっと勇気がなくてできないでしょう。それゆえによけいに憧れてしまいます。でも、できる時にできることから始めて、うちも同僚や部下を家族と言い切れるような職場にしたいものです。

主演は鈴木伸之さんで、武骨さがちょっと足りない気がしますが、今後もこの役が続けばますますピタリとハマってくるのではないでしょうか。脇を固めるのは、城田優さん、石田ニコルさん、草川拓弥さん、水谷果穂さん、勝矢さん、本田博太郎さん、尾美としのりさん、浅野温子さん、榎木孝明さんら。中でも、尾美さん、榎木さんは、金太郎に負けず劣らずの揺るぎない信念と男気を感じさせる演技がさすがです。

おじゃる