「突っ込みどころはあるがフツーに面白かった」白雪姫 よんしんさんの映画レビュー(感想・評価)
突っ込みどころはあるがフツーに面白かった
劇場公開時は当時のディズニー叩きの風潮もあって公開前からさんざん言われていましたが、実際観てみるとそんなに悪い出来ではなかったと思います。
突っ込みどころとしては、王国が引きの映像だと広く見えるのに、寄りだとお城の周りしか映らず、しかも生活感がないので、いかにもセットって感じだったり、下に川が流れている崖の上に城があるのになぜか井戸があったり、森を抜けて小人の家にたどり着くところもなんだか位置関係がよくわからずごまかしているような感じがしたりと、これまでのディズニーとは思えないスケール感の小ささが気になりました。
元の「白雪姫」に現代的な解釈を加えているので、おとぎ話なら不自然じゃないのに変にストーリーを整えようとしているせいで、リアルな部分といい加減な部分の差が大きく、ストーリー的な必然性を感じない流れになってしまっていました。元のアニメは舞台演劇のような雰囲気だったので違和感がありませんが、本作は政治的な話を入れてしまっているので、ファンタジーだけどリアリティが少しある変な感じになってしまい、どの立場で見ればいいのか分からなくなる変な感じでした。
例えばイーヴィル・クイーンがダイヤこそ最高!といいながら、王国の近くで小人たちがザックザックと安全に大量の宝石を採掘していることには無関心だったり、また白雪姫自身もレイチェル・ゼグラーの演技も相まって、政治的な野心が強いものの、ちょっと頭お花畑で反抗的なよく分かっていない子のように描かれるのに反し、イーヴィル・クイーンは最初は冷静かつ論理的に話をするので、何か実は深い事情がありそうな雰囲気を醸し出していたのに、結局ただの悪役だったりと、あまり合理的でなく強引な展開やご都合主義が目立ちました。
この政治的な野心家のプリンセスは実写版の「アラジン」でやっちゃったしね。なんか二番煎じのようでもありました。
ここまでやるなら中途半端な感じにせず、「マレフィセント」のように大きくストーリーを変えて、「白雪姫」のタイトルもサブタイトルでもつけて少し変えればよかったのに、とも感じました。
ただ個人的には、アマプラの「シンデレラ」ほど新解釈というわけでもなく、実写版の「アラジン」のアニメ版にないプリンセス像もあったので、これはこれで突っ込みながらなかなか楽しめました。
できれば、実は雪姫がよく分かっていない子ちゃんで、イーヴィル・クイーンが国を守るという深い考えのもとに嫌われ役を買っていた、というようなストーリーだったら面白かったなあ、とも思いました。
今後ディズニーは実写化するときは批判を避けるためにあくまで元アニメとは別作品として、サブタイトルをつけるべきだと思います。そうしたら再実写化も難しくないでしょうしね。どうしても同一タイトルだと批判は避けられないでしょうね。
とにかく映画を愛するものとして、世間の噂に流されて斜に構えて批判的に映画を見るのはやめたいですよねえ。
