「最近のディズニーはぜんぶこれ」白雪姫 えんらさんの映画レビュー(感想・評価)
最近のディズニーはぜんぶこれ
はたしてこの映画中を通して、白雪姫があのガドットの演じた悪い魔女よりも強く・気高く・美しい瞬間などあったのだろうか?
何かにつけて顎をしゃくって、顔をしかめて露骨な感情表現をする。たぶん立派なドレスがなければプリンセスにすら見えないです。
白雪姫とジョナサンとのやり取りもお互いなんだか恩知らずで軽薄でしたね。
あんなツルツルの美形顔/ぴかぴかの手で、しかも盗賊の頭なんかやっている無法者が、どうして「厳しい現実知ってます」のツラをして"plincess problem(世間知らず)"などと命の恩人を煽れるのだろう。城下の人々はもっと貧しく、みすぼらしい佇まいだったのに。それから森の中での窮地を乗り越えると2人はあっさり恋仲に。キャラにもストーリーにも全くときめきません。
終盤、魔女の討伐シーンには、本当に茫然としました。城下に白雪姫が現れると無条件で大歓声を上げ出す民衆。期待を一身に背負ってみんなの前で「平和を取り返す」と啖呵を切るも、直後あっさり魔女の美学に論破される。舐めプとばかりに魔女からガラスの剣を手渡され「私を殺してみなさい」と言われるも、まともに武器を向ける事さえできない始末。まさかの展開に思わず失笑させられました。最後は周りの憲兵を泣き落として強制無条件降伏みたいな形で勝利しましたが、本当に不可解なラストです。
あとサブキャラの「おとぼけ」、こいつも中々笑わせてくれる。
鉱床では最も若手であの悲惨な仕事ぶり、かつ言葉が出てこないほどのコミュ障、小人の仲間内でもひどい扱い受けていた「おとぼけ」。それが白雪姫の介助で感情表現が出来るようになったくらいで、急に「僕たちは女王に絶対に負けない」などと中心に立ってデカい口を叩くのです。どんな思い上がりだよと。
どうして たった2時間そこらの映画で、「愛とは」「勇気とは」みたいなことが聴衆に伝わるなどと思い上がるのか。テーマとかメッセージ性なんかよりずっと大切なものがあるはずです。
最近のディズニー新作はあらゆるモノゴトに対する解像度が低く、エンタメとしての質が低いと評価せざるを得ません。