デス・ウォッチのレビュー・感想・評価
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医学の進歩により、人が病死しなくなった近未来。 死は、公から隠され...
医学の進歩により、人が病死しなくなった近未来。
死は、公から隠された感がある。
そんな中、不治の病で余命幾ばくもないと女流作家キャサリン(ロミー・シュナイダー)が診断される。
テレビディレクターのヴィンセント(ハリー・ディーン・スタントン)は、リアリティショウ「デス・ウォッチ」で彼女の最期の日々を追うことを計画。
撮影には、眼に特殊カメラ、アンスリーピング・アイを仕込んだカメラマン、ロディ(ハーヴェイ・カイテル)が密着取材をする・・・
といったところからはじまる物語だが、死が間近となったキャサリンが他のマスコミから追いかけられる描写や、眠らない目を得たロディの行動など、前半は、とっ散らかった感じで、かなり退屈。
映画が面白くなるのは、「デス・ウォッチ」と契約するも逃亡を図り、偶然を装ったロディと行動を共にしはじめてから。
タイトルどおり、「デス(死)」と「ウォッチ(視る)」のふたつがテーマなので、映画的には結構深いテーマになるが、なかなか面白くならないのは、観客として観る立場が映画の中で立ち上がってこないから。
密着取材するロディの立場が観客の立場に近いのだが、それよりも近いのは番組「デス・ウォッチ」を観る視聴者の立場。
密着しはじめて一週間ほどして後、自分が撮った映像が「デス・ウォッチ」の番組となり、放送されているのをロディが偶然立ち寄った商店のモニターで観るあたりから、「視る」ことを問う主題が立ち上がる。
そしてしばらく後、ロディの「眠らない目」は故障し、「見えなくなってしまう」。
眠らず「見続ける」ことが良いのか、「何も見えない」のがいいのか・・・
キャサリンの逃避行は、別れた夫(マックス・フォン・シドー)への追慕の道であった。
避けられない死を知ったときに向かうのは、常に過去か。
抗えない死・・・
しかし、キャサリンの病の真相は別のところにあった・・・
終盤の展開は、やや安っぽいエンタテインメント系のSF映画のようである。
この展開はあまり面白くない。
キャサリンが抗う相手は、死を弄ぼうとした輩たちではなかったはずなのだが、物語的には、そのように見えてしまう。
少し消化不良の感が残る映画なのだが、惹かれるところは多くありました。
死の隠蔽化、コンピュータによる文芸執筆、眠らない目、リアリティショウなど、製作当時は未来のものだったものの多くは、現代では実現していたりしている。
やや早すぎたSF映画といえ、現時点の科学的知見に基づいて再映画化すると、かなり面白くなるのではないか、とも思った次第。
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