劇場公開日 2025年8月29日

「海の向こうは、海外?」海辺へ行く道 sow_miyaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5 海の向こうは、海外?

2025年9月21日
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鑑賞方法:映画館

「海辺へ行く道」は、奏介のアーチストへの道なのかも。

とにかく、楽しく気持ちのいい映画だった。
アートがモチーフになっているだけあって、スタンダードサイズの画面の中の構図や配色がまずお見事で、紹介されている移住定住者用の住宅や、作品たちや、役者の小道具まで、ワクワクしながら観ることができた。
もう、唐田えりかのアレには大爆笑だし、しずか踊りのシュールさも最高。
そろそろ秋めいて来た中、行く夏を惜しみながら、劇場で観て損はない作品です。

<ここから内容に触れます>

アートというとよく話題になる「何の役に立つの問題」から逃げずに、今作ならではの答えを提示しているところがとても好印象。
菅原小春演じるオバに「私は、絵や彫刻だけじゃなく、映画も見ないし、音楽も聞かないし、本も読まないけれど普通に生きている」と言わせておきながら、奏介が奏でるカナリア笛の音色に涙を流させる。また、アーチストからもらったカナリア笛を、彼の囁きを信じて、いろんな人に試しに吹かせていることも描く。もう、それ自体、無自覚にアートとしてのアクションに参加させられているわけだし、実は「対象に対して心を動かす」ということ自体がアートなので、役に立つかどうか関係なく、日常生活のあれこれは、みんなアートにつながっているということを描き出していると言える。
麻生久美子演じる母の趣味なのか、やたらと素敵な室内の調度品や、奏介の絵を欲しがる行為、剛力彩芽と一緒にお昼を食べる石のオブジェだって、その向こうに映し出される子どもたちが遊ぶ遊具だって、生活と一体化してるけれど、その心地よさを感じるところがアートだと思う。
(先輩たちとつくった流木のオブジェが、謎の生物撃退に一役かっていたのはでき過ぎとしても)

出ている役者たちも好きな人ばかりで、「宝島」に続き、吉岡睦雄が2日続けて観られたのもうれしかった。

sow_miya
トミーさんのコメント
2025年9月21日

コメントありがとうございます。
原作3巻を後で読んでみると、独特の雰囲気で映画化したくなるだろうなぁって感じでしたが、ちょっとニュアンスが違った気がしました。
唐田さんが歯を見せて笑ってると、なんかほっとしますね。

トミー