秒速5センチメートルのレビュー・感想・評価
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アニメ版の映画化は難しいですね
■ 好きだった点
・原作アニメ版を思い出すカットシーンがあった
・明里の子役の女の子の演技が素晴らしかった
・中学時代の駅での別れのシーンの補強・演出
・ちゃんと最後はバッドエンドだった
■ 自分にはあわなかった点
・山崎まさよしの曲の扱い
・何度も起こるニアミス
■ 総評
・アニメ版をもう一度みたくなった
そのスピードで
元々が台詞以上に映像で語る作品なので、実写化は不安だった。
ポスターやHPの相関図から、大人パートが増えることやオリジナル要素は覚悟してたが…
冒頭、バンプの『銀河鉄道』が流れて一瞬嬉しかったし、合ってもいたけど…
その後にレディオヘッドやジュディマリ、山崎まさよし、EDで米津となるとゴチャついて感じる。
オリジナル要素やそれに付随するエピソードも、深掘りや補強に繫がったとは思えず。
個人的には原作の第3章はエピローグで、物語全体がその後の人生のプロローグだった。
なのでそこを広げ過ぎたのは好みではない。
終盤の貴樹と館長のプラネタリウムでの会話は、役者がシーンの解釈を語ってるよう。
大人の貴樹はもっと抜け殻であってほしい。笑
広げるなら、清家雪子によるコミカライズが秀逸(特に水野関連)なのでそこを拾ってくれたらなぁ。
中高時代こそもっと大切に描いてほしかった。
貴樹の“メール”の内容は何故変えたのだろう。
「波に乗れたら告白する」も貴樹の踏み込ませない無言の表情もナシでは、花苗の涙が意味不明では。
時系列もムダに行ったり来たりし過ぎ。
全体的にザラついた画面は違和感があったが、中学時代の雰囲気にだけはバッチリ合ってた。
ただし、岩舟に向かう際の焦燥感や切実さは薄い。
演技や配役は悪くないし、貴樹の成長過程は上手く繫がって見えた。
幼少期の明里がとても可愛かったが、高畑充希より森七菜に育ちそうなのは難点。
単体で見るべきだとは思うし、そうすればもう少し評価は高いとは思う。
でも元の倍近い尺で散漫になっただけなんだよなぁ…
踏切の名シーン
アニメには無かったプラネタリウムの館長との会話のシーンがよかった。
あそこで明里があえて約束の場所に行かなかったと貴樹はわかったと思う。
なので踏切のシーンは蛇足に感じた。
エモい
新海誠のアニメーションの実写化。
アニメは結構好きだった。
さて、脚本の構成が上手く行っていない印象があった。
小学生のパートが終わらないまま、種子島の高校生パートに行くので、ただのスカした男の事を、好きな女の子の話を見せられるので、あれなんか違くね?ってなってしまった。しかもかなりスッキリさせてるので種子島パート中途半端だなぁ。もうちょい森七菜見たかった。残念です。
全体に断片を見せられてるのでタルイ印象が否めない。
ただ、アニメの劇伴が流れた所から、ポスターにタカキくんの名前を見つけた時から、最後まで、おそらくラスト30分くらいかと思うけど、オリジナルな展開も含めてコレが見たかったんだよなぁーって思えた。
自分にない過去を思い出して感傷にふける。
評価が難しい映画だった。
もう少し映像パキッとして欲しかったな。狙いは分かるが。
アカリの幼少期役の子天才だ。
ずっと忘れられない素敵な作品に出会えました
10/12
地元の映画館にて鑑賞して参りました(※アニメは過去に10回程視聴、脚本の鈴木史子さんの秒速5センチメートルthe novelも読了)→10/14 おかわり鑑賞
長きに渡り沢山のファンに愛されているアニメーション作品の実写化というのは必ず"賛否"は出るものだと思っていて実はほんの少しだけ心配していました。(私も過去に自分の思い入れのある作品が実写化されて、とても苦い思いをした経験がある身の人間で..........余談でした)
個人的にはこの秒速5センチメートルの実写化は大成功だったと思いました。作品の持つ世界観を大切にしているのが良く伝わってきたし、何より原作者である新海誠監督への最大のリスペクトを随所に感じました。勿論、実写化にあたり新たに肉付けされた設定やストーリーが不要だと思う方もいらっしゃるでしょう。でもその肉付けされた全ての要素にこそ "生身の人間が演じる意義" のようなものを感じました。そしてそれは、秒速5センチメートルだけが持つ世界観を崩してしまうようなものではなかったとも思いました。あとは何といっても画の美しさ、空気、空、波の音、雪、桜、光、闇、風........どうやったらここまで画からも感じられる様に撮れるのか...........
上田悠斗さん、青木柚さん、松村北斗さんで紡いだ【遠野貴樹】という人物の人生リレーが本当にお見事でした。御三方、髪型は似せていても顔が似てるという訳ではないのに、ふとした瞬間の表情や話し方、バックショット、そして何より共通項として御三方が持つ憂いや纏っているどこか掴めない近づけない人感、それに透明感が共通項で有って。どの貴樹パートでもグッと来て落涙しました。上田悠斗さんは今作が演技初との事。どうかこれからもお芝居続けて下さいね、ベストアクトでした。青木柚さん、貴方しか高校生時代の貴樹は演じられなかったと思います。ベストアクトでした。松村北斗さん、非の打ち所がありません、完璧でした。貴方という役者さんが世に出てきたから今回秒速5センチメートルは実写化されたのだとも思いました。ベストアクトであり最高の主演だと思います。【遠野貴樹】を演じてくださってありがとうございました。タバコを吸うシーンとても好きです。あと何と言っても声が素晴らしい。
原作で個人的に1番大好きなコスモナウト.........【澄田花苗】役の森七菜さん、本当にオファーを引き受けてくれてありがとうございました!森さんしか演じられないだろうと思うほどの最高の花苗でした。とてつもなく眩しかったし切なかったし苦しかった。ヨーグルッペを飲む仕草可愛かったなぁ.......憧れの人の前でズズッて音立てちゃって咄嗟にストローの飲み口指で押さえる仕草とかたまらなく好きでした。ベストアクトです!
【篠原明里】を演じた白山乃愛さん、高畑充希さんもとんでもなく素晴らしかったです。白山乃愛さんは全てがキラキラと眩しかったし(ばーか.....)が凄く可愛かった。貴樹に公衆電話である事を告げるシーン、もらい泣きしました。ベストアクトです!そして大人明里を演じた高畑充希さん、館長伝いに貴樹を救うであろう言葉を残してくれてありがとうの気持ちでした。すごく良かったです。ベストアクトです!
【輿水美鳥】役の宮﨑あおいさん、実は沢山素敵で大事な言葉を登場人物や観客に残してくれました、貴樹との居酒屋のシーン凄くグッと来ました、人から直接言われたら少しむず痒いような照れくさい様な言葉にも聞こえるけれど美鳥さんに言われたら素直に受け止められる、その位言葉に力がありました。ベストアクトでした。
【水野理紗】役の木竜麻生さん、私はお芝居を観るのが初めての俳優さんでしたが、水野理紗にピッタリな配役だったと思いました。控えめで遠慮がちででもちゃんと貴樹を想っていて.......最後に貴樹が借りっぱなしだった折り畳み傘を返すシーンの会話で泣きました、ちゃんと貴樹の想いを聞けて良かったね水野さん....ベストアクトです!
【小川館長】役の吉岡秀隆さん、吉岡さんのあったかくて優しくて人の心を浄化する様な声色で私はずっと涙腺がゆるみっぱなしでした。相手が小川館長だったから貴樹は今まで閉ざしていた胸の内を吐露できたのだろうなと思います。きっと今まで貴樹は誰にも話した事がなかった。ベストアクトです!
岡部たかしさん演じる上司の【窪田さん】、貴樹にけっして近づきすぎず、でも遠すぎずの距離でいつも気にかけて下さる方で、たこ焼きの差し入れと貴樹の転職の手助けをして下さってありがとうございました。大きめのたこ焼きを食べる貴樹のシーンは名シーンだと思います。
劇中歌の『銀河鉄道』、『One more time, One more chance』、『想い出は遠くの日々』、『Thinking About You』、耳も心も揺さぶられて凄かったです.....やっぱり『One more time, One more chance』は格別ですね......山崎さんの柔らかな歌声で涙腺が刺激されます。
そして最後に映画館のあの音響で『1991』を頭から足の先まで全身に浴びてまた泣けました、音も声も素晴らしいしなにより歌詞がもう最高でした。米津玄師さん神曲をありがとうございました!
いかんせん文才がなく作品への思いの丈をダラダラと長尺で綴ってしまいましたが、最後に....."映画に関わった全員の総合力の結晶"の真骨頂を見せていただきました、素晴らしかったです!また劇場へ観に行きます!現時点で私の中の年間ベストです、素敵な作品に出会いました。幸せです。
【余談】
主要キャラを演じた皆さんの演技があまりにも自然ですごく良かったです。日本映画の宝であり原石であり希望だなと思いました。森七菜さん、今年は本当にたくさんの作品にお出になられては最高に引きつける演技で......今年は"森七菜さんの年"だと思いました個人的に。
※誤字脱字見つけ次第修正いたしますので、ご容赦くださいませ。もっと事細かいところまで色々語りたいのですが、まだ公開されて間もない作品ですので時間をあけたいと思います。
アニメを知らずにでも。
CMをみて観たい!と思っていた作品。
間の取り方とか景色の写し方とか、新海誠節!
君の名は。と似ているけど、違う。切なさ。
約束の日にアカリは来なかった。「あかり」と呼んだのは別の旦那さん。。
このワンシーンが凄まじいインパクト。。
堅実な実写化‼️
ご存知、新海誠監督の秀作アニメーションの実写化なんですけど、実に上手い実写化ですね‼️基本的な物語はアニメーション作品と同じなんですけど、アニメーション作品での第3話「秒速5センチメートル」の部分が拡大されてます‼️主人公の貴樹が勤めるプラネタリウムの描写、そこの責任者を演じる吉岡秀隆さんのキャラ、明里の同僚である宮崎あおいさんのキャラが鹿児島の花苗の姉であり、貴樹の元教師でもある‼️この二人のキャラとプラネタリウムの存在が、大人になってからの貴樹と明里の繋がりを観る者に感じさせるし、作品に奥行きや広がりを与えていると思います‼️アニメーションと同じく、桜の散る風景や雪の舞う世界観など、映像はホントに美しい‼️キャストの皆さんもそれぞれに好演なんですが、特に明里の子役時代を演じる白山乃愛ちゃんの魅力がホントに素晴らしい‼️なんとか大成してほしいですね‼️アニメーション同様、山崎まさよしさんの名曲が印象的に使われてますが、エンドロールでも同曲を使用して欲しかったですね‼️
1991
新海監督が手がけた「秒速5センチメートル」の濃厚すぎる世界観に惚れ、実写化をほっくんですると聞いたタイミングでこりゃワクワクしてきたな〜となってようやく鑑賞できました。
実写版としてのボリュームアップ、アニメ映画では描かれなかった物語を拡張して描かれており、新たな「秒速5センチメートル」を体験できました。
初っ端聞いたことあるイントロだぞ…となってからのバンプの「銀河鉄道」が流れてきてからそっちに気が取られてしまいました笑
大ファンですがここまでの不意打ちを食らったのは初めてで見事にやられました。
アニメ映画の時とは順番がシャッフルされているので、多少違和感はありましたが、実写版として幅を広げるためにはそういう改変もありだよなと飲み込めました。
幼少期・高校生・大人と過ごしていく中での心境の変化や周りとの出来事なんかもしっかりと落とし込まれており、アニメ映画とはまた違った表情が見れたりとで見惚れていました。
幼少期の初恋と別れ、高校生の淡い恋心、大人の憂いた気持ち等々、どこを切り取っても濃密でしたし、大人パートが多く物語が追加されていたのも印象的でした。
プラネタリウムでの遠野くんと明里の心情を語るシーンが相反していたのもすれ違いを加速させていてキューってなりました。
遠野くんは約束の日に約束の場所までいで向いたけれど明里は約束の日なんか忘れて幸せになってほしいという互いが互いを想っていたからこそのすれ違いはなんとも寂しいもので。
ここで流れる涙もこれまた美しいんです。
ラストシーンの切なさは今作でも健在で、新海監督よろしく、すれ違えたはずなのに会えないという絶妙な距離感、遠野くんはまだ初恋を捨てきれずにどこか影を追ってしまっているけれど、明里は前に向かって歩いている。
自分はもう初恋すらぼんやりなもんですから、ここまで初恋を持って行けているのも良いなと思いましたし、それでも明里の様に生きていくのが良いんだよなとしみじみさせられるのも不思議な体感でした。
前作の「アット・ザ・ベンチ」で奥山監督の映像の惹きつけ力が凄いなと思い、ストーリーは元の素晴らしいのがあるので絵作りがどんな風になるんだろうと思っていましたが、今作も自然の美しさから都会の複雑な構造まで事細かく映されていて圧巻でした。
ストーリーは付け足した分、より詩的な感じがして味が濃くなったなとは思いましたが、元の世界観を変に崩さずにやってくれて良かったです。
役者陣がこれまたサイコーでした。
ほっくんの涙や哀愁漂う感じはとんでもなく素晴らしく、エモーショナルにさせてくれて涙腺が大変でしたし、高畑充希さんはベストアクトなのでは?と思わせてくれる明里でしたし、声や仕草が本当に愛らしくて凄かったです。
大人パートの明里の描写はアニメ映画ではあまり無かったので、新たな解釈で描かれる明里はこうなるのかという驚きもありました。
森七菜さんの澄田の可愛さたるや…!
アニメ映画でもテレッテレしている澄田にニヤニヤしていたのですが、これまた純粋に遠野くんを想っているもんですから可愛さが突破しまくっていました。
青木柚さんの表情をより読み取れなくなった遠野くんの得体のしれなさも良かったです。
幼少期〜中学生パートでの上田悠斗くんと白山乃愛さんもこれまた素晴らしく、小学生だからこその楽しいに包まれる時間、距離が離れても頑張って会おうとする中学生の時間、アニメ映画でも1番好きなシーンの桜の木の下での2人だけの時間は実写版でもやはりトキメキっぱなしでした。
宮崎あおいさんの頼もしい姉御肌な先生や、吉岡秀隆さんの優しい館長だったりと、脇を固める布陣も最高で温かさマシマシで良かったです。
音楽はアニメ映画と同じ音楽や「One more time,One more chance」が流れてくれたりとでアニメの雰囲気を味わえつつ、新たな表情も見れたりとで良かったです。
「1991」も壮大な物語を締めくくってくれる優しさがたくさんありました。
新たな「秒速5センチメートル」が観れてとても良かったです。
出会いと別れ、たくさんしてたくさん喜び涙して生きていきたいですね。
鑑賞日 10/10
鑑賞時間 18:10〜20:25
映像は美しかったが、ちょっと退屈してしまった
アニメは多分見たはず。
新海監督の美しさを表現しようとされているのか、風景がとにかく綺麗だなーと思った。
大人になった2人、小学生、中学生、高校生と時代が混乱したのと、いろんな女性が出てきて、この人は何の関係の人なんだろうと最初繋がりがわからなくて考えていたのもあって、頭に入ってこなかった。
(人の顔を覚えるのが苦手なので)
宮崎あおいさんと森七菜ちゃんが姉妹というのも途中からわかったので、松村くんとは姉が顧問で妹が同級生? 鹿児島だからいいのか、とか時代把握で頭が忙しかった。
森七菜ちゃん、ほんとかわいい。まだ学生演じられるんですね、片思いしてる感じとか初々しさがめちゃ伝わってきて、とてもよかった!
松村くんはいつも自然な演技で、プラネタリウムの説明の声とかほんとよかった。
会社の同僚が彼女とは思わなかったなあ、、ほんとに彼女なの?っていうくらい名前の呼び方とかぎこちない感じが、彼女もこれ単なる居心地いいからなのかなって感じたのかな〜というのも理解できた。
適当に付き合ってるようにしか見えなかったので、傘返す時にちゃんと好きだった理由とか伝えたのはよかった!
でも初恋を引きずってるんだよね
ニアミスしてるの惜しすぎるけど、多分そんなもんなんだろうね
1991年ほんと約束覚えてるなら会ってちゃんと話して欲しかったなあ。
というのでモヤモヤが残る。
あと、ちょいちょい意識失ってました💦
ストーリーが単調だったからか、これは誰だとか考えてたからかな。
アニメもそれであまり記憶にないのかも知れない。
キャストと演技は良いが脚本が悪い
演技はみなさん上手だったが、原作を読んでいないと理解しづらかった。すれ違いが多く、あまり必要ではない場面が多かったため、途中で飽きてしまった。
また、元となった曲がエンドロールで流れなかったのも残念だった。
遠い日の甘い記憶が交差する
桜の落ちるスピードって秒速1メートルくらいじゃね?という突っ込みを入れてはいけません。あくまでも心で感じたスピードなのでしょう。
前半は話があまり展開しない忍耐の時間です。伏線回収のための学習時間です。
中盤以降のひとつのクライマックス(桜の木の下のシーン)できっとこうなるに違いない、いやそうなってほしいという思いをしっかり裏切られて驚きました。でも後になってそれで良かったのかなと思い知らされます。現実はそうそう思い通りにはいかないし、そこから折り合いをつけて生きていかなければならないことだらけです。前向きに生きましょう。
人生の速度は人それぞれ。
原作アニメ未視聴、事前知識ほぼなしで実写映画を観ました。原作ファンには改変等の気になる箇所が多々あったようですが、私は気になる点なく物語に引き込まれました。
観終わったあとの余韻がすごい。人は過去と共に現在・未来を生きていくことを丁寧に描いた心揺さぶられる物語。
過去が今のわたしを形作っている・思い出は日常だと生きている明里と、思い出に囚われ過去に取り残された貴樹との対比には胸が締め付けられた。
大人になり燻らせ続けていた貴樹が、
先生の『思い出を笑い話にしたり、オチを求めちゃだめ』
館長の『人が一生のうちに出会う言葉の数は5万語』
というめぐり逢いで出会った人に掛けられた言葉により過去に囚われた彼の秒針が少しずつ進み、最後には必死に駆け出していく姿がとてもいい。
あの音楽と共に3/26に約束の場所へと駆け出してから、プラネタリウムで館長に思いを吐露するシーンは涙せずにはいられない。
『もう一度話したかった。久しぶりとか元気だった?とか』
『僕は5万語もいらない、自分に必要な一言だけを…』
ここのセリフが本当に刺さる。
もう一度会いたい人・話したい人、言いたかったことって生きていれば誰しも存在すると思う。
でもその瞬間には二度と戻れない。自分にも重なる部分があり心の琴線に触れる今作の中で1番刺さる名シーン。
館長から代弁された『そんな約束を忘れてしまうくらい幸せな人生を歩んでいてほしい』という彼女の想いを聞いてやっと、お別れのホームでカバンから天文手帳を取り出そうとし辞めたこと、貴樹くんは大丈夫と伝えたこと。この時にはもう明里は、思い出を胸に未来へ進む決意をしていたことに気付かされた。
幼少期を演じた白山乃愛さんがとても可愛らしく自然な振る舞いで、貴樹の忘れられない人になるのも説得力がある。
また松村北斗さんの表情や哀愁漂う貴樹の雰囲気も本当に良く、納得のキャスティング。
というより上田悠斗くん、青木紬さん、松村北斗さんの貴樹を演じたお三方とも、それぞれの年代の貴樹が抱えるノスタルジーを繊細に表現していて名演技。
最後の踏切。
美しく切ない、だけど現実的なとてもいいラストシーン。どんな過去の思い出も抱きしめて生きていこうと思わせてくれる素敵な作品。
繊細な表情で紡ぐ北斗くんの貴樹
閉ざされた心に、ふっと風が通り抜けるような瞬間がありました。
それは北斗くん演じる貴樹が、たこ焼きを頬張りながら
少しだけ笑みを浮かべたあの場面。
この世界の音や光、風や人の気配を
久しぶりに“感じ取った”ような表情に、
思わず涙があふれました。
誰かのやさしさが、
長い時間をかけて凍っていた心を溶かすことがある。
その奇跡を、静かに、でも確かに見せてくれる作品でした。
忘れていた温度を思い出すような、
やさしい余韻が今も心に残っています。
松村北斗さんの喉仏に魅了される映画
俳優の魅力には色々ある。容姿だと目がきれいとか鼻の形がすてきとか。
「夜明けのすべて」でも感じたことだが、主演の松村北斗さんの魅力は喉仏だろう。正面や横顔を捉えた時に、彼の喉仏は見てくださいとばかりに主張する。
男性俳優でもそれほど喉仏に主張性の無い人もいるが、松村さんのは一際魅力的だ。
原作アニメとなる新海誠作品は、数年前に配信で見た。
初期作品にはその作家のエッセンスが詰まっていると言われるが、新海誠監督も例外ではない。
男女のすれ違い、健気さと純粋さの交差、落下する花びら・木の葉・雪への執着、踏切を通過する電車などだ。
アニメ「秒速5センチメートル」を経て、新海誠監督は、男女のすれ違いを「君の名は。」へと発展させていく
本作で、主人公とヒロインはつねにすれ違い、再会することはない。まるで宇宙に放たれたボイジャー1号と2号が永遠に交差しないように。
ただ観客のみが、もどかしくその様子を客観視している。
プラネタリウムで主人公が目にする金色のレコードは、ボイジャーに搭載されたゴールデンレコードのレプリカだ。
「星つなぎのエリオ」のレビューでも触れたが、ボイジャーに搭載されたゴールデンレコードの音声部分は配信サイトでも聴くことが可能だ。
本作は、原作アニメの良質部分を損なうことなく実写化出来た作品と言えよう。
こだわり抜かれたビジュアルと奥山由之監督の描く純愛
まずアニメーション版の映画を観た。誰も結ばれず恋愛映画としてどうなんだろうと思ったが、もうストーリーなんてどうでも良い。この世界観が好きだと思った。アニメも実写もきっと純愛を描いたのだろう。宮崎駿氏の純愛は「耳をすませば」や「風立ちぬ」などで解る通り、結婚だ。この映画の原作者の新海誠氏の純愛は告白すらしない、片思いでいる状態のことだと思う。
そして、いざ実写版の映画を観に行った。冒頭ででてくる水野のセリフ「私といると楽だけど楽しくないでしょ」。確かに楽(らく)と楽しいは全然違うのに何で同じ漢字なのだろうと思った。楽しいと明るいと、加えて好きは同じ漢字で良いと思った。奥山由之監督の描く純愛は楽しくて明るくて好きで、でも辛くて悲しくて、いつも相手のことを思いやる気持ちに溢れている。僕は奥山由之監督の描く純愛が好きだ。
アニメーションで出てくるキラキラした情景描写は実写版でこだわり抜かれていて、美しくて心に響いた。
何故タイトルが「秒速5センチメートル」なのかずっと考えていたが、僕なりに結論を得た。桜も雪も落ちる速度は一緒。秒速5センチメートル。それはただの数式。30年ひたすら歩いて地球を一周する計算も数式。遠くを眺め遠くに行くには数式が必要だ。でも愛は違う。愛は近くを見ることから始まる。今隣にいる人に自分の気持ちを伝えることから愛は始まる。主人公貴樹はいつも遠くを観ていた。でもきっと近くを見ることの大切さに気づいたのだと思う。僕自信にもそうした気付きがあってとても楽しくて素晴らしい映画でした。ありがとうござんした。
初恋は儚くとも楽しみ、人生は短くとも尊びたい
小学生の貴樹と明里が過ごした日常の想い出は美しい色合いで、その映像美に何処か懐かしさを感じて惹き込まれる。雪の降るホームで、貴樹を見送る明里は貴樹の明るい未来を願いつつも、既に自らの明日を見つめて別れを決心していたのであろうか? もし、貴樹が言葉で"好きだ"と伝えていたら二人の未来は違っていたのだろうか? それから16年の歳月が過ぎ30歳になる頃の場面では、二人の偶然の再会に期待を寄せて観ていたが実現する筈もなくモヤッとさせられた。"ただ話したいだけ" 、それすらも叶わなかったのは、今の二人は各々が自分の世界で暮らし明里は既に結婚していたので交わらないことが運命と云うことなのか? それとも、大人になった二人が会えば美しい想い出が色褪せる結果に繋がってしまうからだろうか? そして、過去に交わした約束の日に貴樹は雪の降る桜の木の前で明里を待つが、それは美しくも切ない想い出であることを知る。貴樹は、岩舟駅の待合室で深夜まで待っていてくれた明里への想いをプラネタリウムの館長に聞いてもらう訳だが、果たして立ち止まっていた自分を解放して灰色のビルに囲まれた世界から踏み出すことが出来るだろうか…
貴樹が踏切を渡るシーンですれ違う明里を見るのは、未だ明里を忘れられないからであろう。16年の歳月は容易には消化できない。
ところで別件にはなるが、花苗(森七菜)の青春は瑞々しさに溢れていた。彼女の恋も儚く散ってしまうが、そのことも含めて花苗の人生は輝き続けているに違いない。
この映画は、過ぎ去った日々を振り返ってみると桜の花びらが秒速5センチメートルで散り落ちるが如く短いと教えてくれたと思うが、今の自分は晩年の寂しさを隠しつつ人生は未だ長いと思って抗いたい。
ちょっと赤面してしまうがそれも良い。
なんと言うか甘酸っぱさもありこれをドラマで観るのは恥ずかしい。
恥ずかしいに恥ずかしいを重ねていて観ていてちょっとふわふわしてしまう。。
からの現実~×2
ふわふわと道程の青春時代のまどろみにいたはずなのに急に夢から叩き起こされるのが評価◎
人間の心の揺れ動きが見事に表現された作品
原作は小説で読み、このモヤモヤをどう表現されるのかドキドキしながら鑑賞しました。まず映像の美しさとエモさに引きこまれましたし、貴樹を演じた3人の役者の繋がりがとても自然で驚きました。どなたも素晴らしいお芝居で貴樹の心の葛藤、微妙な揺れ動きが伝わってきました。
原作から追加されたプラネタリウムのシーンは本当に松村北斗さんのお芝居に圧倒され、自然と涙が出てきました。他の作品も拝見したことがありますが、心の内面を丁寧に表現できる素晴らしい役者すんだなと思いました。
また、パンフレットを読み、奥山監督の作品の分析力と思慮深さに驚かされました。なかなか気づけなかった監督のこめた思いも感じながら観ることができ、解像度があがりました
遠野に全共感することは難しい、だけどこんな淡い記憶あったなと思い出させてくれる作品
原作未視聴、実写から入っての感想
結論から言うとアニメだから成り立つストーリーだと思った
男女で分けるものでもないけれど
もしここで区別をつけるとしたら主に男性目線なストーリーであり観客も男性の方が自分と重ねる瞬間は多かったのではないか
現在の遠野の姿に半分理解しつつ、半分は共感できないうじうじさを感じたため評価が難しいが
あの淡い記憶は誰しもがそんな幼少時代があったねと思わせてくれるような演技が良かったのでここを評価したいと思う
このストーリーで理解できた点は
・雑談をすることは悪いことではないということ
私も雑談は不要だと思っていたけれど、雑談することで自分が進めていないことを認められる、誰かの助けを借りて前を向けるのを知ったから雑談は悪いことじゃないよ、と序盤の遠野に言ってあげたい(結果的に雑談をできるようにはなるけれど)
・転校生という共通点にシンパシーを感じる点
これは学生以外にもあり得る話だが共通点があるとグッと距離は縮まるし良き理解者だとも思うしもっと話たいと思う
遠野と明里はそれが知らない土地の中でできた友達だったからこそ余計に思いが深いのだろう
・明里が約束は忘れて過ごしていてほしいと思う点
あの日あの時それぞれの一歩を踏み出せたのは紛れもなく相手のおかげだけれど明里は大切に別のフォルダとして保存したところに女性的目線が入ると感じた
私だって小さいころ本当に些細な出会いで好きになった相手を思い出せるくらい大切にしまってある
だけどあのフォルダをもう一度開けなおそうとは思わない
しもしそんな状況が訪れても今の幸せを離さずに過ごして欲しいと願ってしまうだろう
・好きな時に好きと言えない点
本当に失ってから大切さに気づくのと同じ感覚
これに関しては本作品を見て気づきがあるいい点だと思ったがいい言葉なのに映像の中ではさらっと流れたなとも感じた
共感できなかった点
・後半ようやく雑談をして前へ進む何かを掴みかけているのに最後の踏切で電車がすぎるまでずっと、ずっと待ち続けている点
おそらくこの意図はないのだろうけれど遠野はいつ前を向いてくれるんだろうと思ってしまい観客の心情をミスリードした感がある
・高校時代の遠野の誰も眼中にない姿
それ自体は構わないが、花苗の気持ちを知りながら一緒にいたんだろうな、自分は何かを伝えるわけではないのにと思ってしまいずるい人だなと思った
そして同じことをまた会社員になっても繰り返す姿はなんだかなぁと思ってしまう
・親目線だと子どもの安否が心配になる点
映画だから!と言われればそれまでだが、雪の中栃木に行き置き手紙だけで出てくる2人をみて
実写化したことによりアニメを知らない勢はリアルとリンクさせて感情移入ができなかったらしい(一緒に見に行った人の感想)
ファンタジーでもアリと思う作品はたくさんあるが
今回についてはファンタジーになるつもりはないけどファンタジーになってしまった作品だったなと感じた
別視点での感想として役者さんたちにコメントを添える
・松村北斗さん
遠野には共感できないのだがプラネタリウムで言葉を詰まらせながら話すところや話しづらそうに会話をはじめる点は彼だからできる演技だなと思った
また声の良さも相まってプラネタリウムのナレーションが十分よかったとおもえた場面でした
・宮﨑あおいさん
本当にいつまでも可愛らしくてずっと好きな女優さんであり、自然派だなぁと改めて感じる気張ってない大人な感じがいい
その場面ごとに一番溶け込む演技だった
・森七菜さん
国宝の時も思ったがどんどんスキルを上げている
今年は助演で数々の作品に出られている
学生時代の姿があまりにも可愛すぎて本当に恋する乙女だったし泣きの演技もよかった
キュンときてしまうくらいには照れた顔が愛らしい
・上田悠斗さん、白山乃愛さん
大切な幼少期シーンを愛おしく演じていた
きっと誰しもがこんな昔があったねと思い出させてくれる2人の距離感がちょうどよかった
全体的に自然な演技をできる役者さんが配役されているところは良かったと感じる
綺麗な景色と思い出
空と桜と雪、風景がとても綺麗でした。新海誠さんの世界を実写でも上手く表現されていて驚きました。物語としては、小中学生時代の2人がとても良かったです。特に明里ちゃんが可愛くて。白山乃愛ちゃん。これから楽しみな子役さんです。だから、高畑充希さんは少し違和感があったかな。高校時代の森七菜ちゃんも高校生を演じきっていて凄く良かったです。松村北斗さんの演技はとても好きなので、後半切なくて涙しましたが、でも女の子側に視点を変えてみると未練タラタラで眼中に入れて貰えないの可哀想過ぎるかも。あと、宮崎あおいさんと吉岡秀隆さんが同僚になってて2人と繋がってるのが、ニアミスありありでうーん…。結末は知っていたけど、それでも何故、結ばれなかったのかモヤモヤしてしまいました。あと、やっぱり山崎まさよしさんの曲をメインにして欲しかったです。評価が高くて期待値が上がっていた分、少々辛口になってしまいました。
全162件中、81~100件目を表示
映画チケットがいつでも1,500円!
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