秒速5センチメートルのレビュー・感想・評価
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女性はこれを未練がましいと言うけれど
純朴な男には辛い映画。
米津さんの歌がこの映画を、主人公の心情を絶叫している。歌の不協和音も流石です。
ぶっちゃけ、ラストの踏切シーンと米津さんの歌を聴いたら、この映画の言いたいことは分かるんじゃないか。
高校パートは入れる必要性を感じなかったが、後から考えるとあの種子島の時間は、都市に住む男達にとって南国の島の理想的な青春の舞台を描いていた。明里が別れの際に言った言葉を考えるに、今はお互いの気持ちは最高潮だが、住む距離が遠く離れて、今後心も離れていくのを示している。明里はきっと高校で新しい青春を過ごした。貴樹は一部の男にとって理想の、南国の海辺でサーフィンが趣味な活発で健康的な女の子、との青春に足を踏み出さなかった。
男は心が通じ合って好き同士ならずっと思い続ける(相手もずっと自分を思い続けてくれると期待してしまう)。
女は時間と共に思い出になって割り切って新しい人生を歩み出す。この現実的な恋愛観の差をずっしり感じる。女の子の言う「幸せに生きててほしい。彼ならきっと大丈夫。」は相手ために言っている風で実は自分を守るズルい言葉ですよね。
特に多感な中学生時代に、2人が駅で出会い、桜の木の前でファーストキスしてしまったら、男側は忘れられませんよ。バンプオブチキンの天体観測のことを思い出す。女性はこれを女々しいとか、未練がましいと言うけれど。
それだけに、30歳の3月26日の雪の桜のシーンとその後の明里のシーンはショックで1分間くらい呆然としてしまった。ワンモアタイムで盛り上げてからの落とし方は、しばらく胸が重くなった。
貴樹に幸あれ。
よき実写版
少し前に原作を2度ほど観てから行きました。
正直実写版はそれほど刺さらなかったというか、よくわからないという感想でした。(沢山いらっしゃる原作ファンの方すみません💦)
実写版で各パートの掘り下げ、追加された描写によりわかりやすく観やすくなっていたと思う。
桜、雪、空、夕焼け、海、夜景…すべての風景も美しく印象的でした。
松村さんは完全に遠野貴樹だった。
あんな虚無感をずっと纏えるのすごい。そして所作、声、横顔がとてもいい。静かなシーンでも説得力がある。
たこ焼き頬張るシーンで蘇るのも、プラネタリウムで館長の前で感情吐き出すシーンも圧巻でした。彼は演技ではなく役を生きていた。
幼少期明里役の白山さんもとても素晴らしかった。
暗くて一人ぼっちだった、というのが嘘みたいに明るく可愛らしくキラキラしていたのは、貴樹のフィルターを通した姿だったのかな。
表情の演技が子役と思えぬ上手さだった。
貴樹より少し大人びているのもあの年代の女子をよく表現されていた。
森七菜さん、恋する高校生過ぎて最高に可愛らしかった。サーフィンも本当に努力されたのだと思うので、波に乗れた時は私も心の中でガッツポーズしたし、砂浜で涙するシーンは私も号泣。
きっと彼女は切ないけれど一皮むけていい女に成長してると思わせてくれる。
そして、2人を繋ぐ宮﨑あおいさんの役どころも素敵でした。ほんわかしているけど大事なことを伝えている。
お互いのことを「昔の教え子が」「会社の同僚が」のように」さりげなく相手に伝えていたのも、これ最後会える…?と思わず期待してしまった。
結果的に貴樹と明里が再会できないラストシーンも、これでよかったと思います。
監督と松村さんのコメンタリー聴いてしまったので、また観に行ってきます。
貴樹に通電させた発明
アニメ版では、貴樹の傷は癒えることなく、傷の中で生きるしかない絶望的な終わり方をして、見るものをまた、傷の中で生きることを強いた。だからこそ、このアニメを何度も見た。自分の中の傷を肯定し、自分もまた傷の中で生きることを続けた。
今回の実写版では、貴樹に別の生き方を聞かせることができたと思っている。その生き方を聞かせたのは、美鳥だった。「大事なことはちゃんと言わなきゃダメ」というようなことを言った。そこで初めて貴樹は過去の傷を相対化するきっかけを得た。あのときの約束、果たされない約束。それは傷となって、貴樹は一歩もそこから出られなくなっていたのだが、ようやくその傷に向き合えるかもしれない。あのとき、あの店に明里が来ていれば、それはうやむやになり、また、明里に別の人生がすでに始まっていることを知り、貴樹はまた、別の傷を負ったことだろう。ともあれ、貴樹は通電を始めていた。しかし、傷の中にも戻り、岩舟の桜の前へ行った。傷は傷でしかない。一方の明里は傷と共に生きていた。それが日常だとも言った。あのとき、こんなことがあったのよねと語れる、そして、貴樹はきっと元気に生きていると信じていた。だから、生きてくれた。彼女だって辛かったはずだ。でも、彼女はお互いの人生を信じた。宇宙科学館の館長に、ようやく、自分の傷について、話すことができた貴樹は、その結果として、彼が望んでいた、彼女の語りを聞くことになる。館長の口からではあるが。長々と書いて、何が言いたいかというと、宮崎あおい演じる美鳥の「大事なことはちゃんと言わなきゃだめ」という言葉が美しいということだ。貴樹へのこの通電により、貴樹の心の中の回路が動き始めたから。だから、金子あさみにも言葉を送ることができた。彼女は「遅すぎた」とは言ったが、彼女にも通電をした。こうして自分の言葉で傷を語ることは、小さな世界を変えていく。アニメにはなかった世界を描けたこの映画は素晴らしい。アニメへの返歌となったと思う。
他人の人生を盗み見してるような感覚になる。
普通の映画だったら、大人になってあれだけニアミスしていたら、偶然再会してまた物語が始まるかもしれない。
でも、この作品は「近いようで遠い距離」のまま終わるところが、逆にリアルで良かった。
見ている間ずっと、他人の人生をそっと盗み見しているような感覚。
映画としては派手な盛り上がりはないし、主人公は明里のことをずっと引きずっているのに、明里はもう結婚している…。
なのに、ところどころ自分の人生に重なる部分があって共感できる。
“救いがないようで、どこかに救いがある”そんな不思議な映画だった。
あと、俳優陣の演技が本当に良かった!
特に明里の子どもの頃を演じた子がすごく印象的だった。
思い出から日常へ
最初に2007年の劇場アニメ版について話します。
新海誠監督の代表作...と云うより象徴となる作品を挙げようとする時、「君の名は」を口にする人が増えたように思います。
しかし昔から新海誠監督を追っている人は、「秒速5センチメートル」と口にするでしょう。
当時、この映画は鬱エンドに分類される声が多かったように感じました。
また男性と女性では主人公の心情の捉え方が異なっていました。
(勿論、男女と云う性別による二択の意見は極論であり、実際は人の数だけ解釈はある)。
男性の私は主人公の心情が痛い程に共感出来た。
対して一部では、初恋の女性を追い求める姿が粘着質だと言う声があった。
届く事のない思い、その心情をメールで打つ姿も共感出来たが、その行為にも嫌悪感を覚えた人もいた。
そして貴樹と明里の歩んだ道とラストシーン...
私にとってあの劇場アニメ版は傑作でもあるが、
あのラストシーンで心にダメージを負った思い出の映画なんです。
そして18年後、あの思い出の映画が実写化された。
またあの時のやるせない気持ちが甦るのかと身構えて劇場に足を運ぶ。
しかし鑑賞後、あの時とは真逆の気持ちとなった。
この実写映画は、あの劇場アニメ版のアンサーであり、18年越しに“思い出”を“日常”に変えてくれた傑作だった。
前置きが長くなりましたが、
ここから伝えたい部分を紹介させて頂きます。
【映像美】
原作が新海誠監督作品と言うだけで制作に関わった訳ではないのに新海誠監督のアニメ作品のような光の美しさがありました。
全編に渡り感じたパスカルカラーの画面は、登場人物の心情を表しているようでした。
【心情】
劇場アニメ版の上映時間より2倍となった理由の一つが、登場人物達の心情をより丁寧に描いた事。
貴樹と明里が、今現在何を思っていたのかが知れて本当に良かった。
私があの頃感じていたモヤモヤした気持ちの正体は、この2人の内心が知れなかった事でした。
【距離】
新海誠監督と言えば登場人物達の距離の描き方が印象的です。
光の速さで無くては辿り着けない「ほしのこえ」。
時間の隔たりで会えない「君の名は」。
これまで出会える事が出来ない程、困難な距離がありました。
対して秒速5センチメートルは、これまでになく身近な距離でした。
会える距離に相手が居る。
なのに2人の気持ちが壁となっているのか、まさに運命のイタズラとも言える事象で出会えない。
人と出会える確率は0.003%。
この数字には気持ちの問題も含まれているのかも知れない。
【音楽】
山崎まさよしさんの「One more time, One more chance」は名曲ですが、同時に劇場アニメ版を思い出して妙な気持ちになっていました。
しかし挿入歌として流れた時にとても穏やかな気持ちになりました。
代わりに米津玄師さんの「1991」が流れた時に涙が止まりませんでした。
【貴樹の気持ち】
かつての恩師にも語った言葉には形容しがたいメールを打っていた意味だったり、プラネタリウムで館長に語った本音。
ただもう一度、話をしたかった。
彼は思い出を日常に出来なかった。
ようやく貴樹の本音を聞けて嬉しかった。
【明里の気持ち】
貴樹を大切に思う気持ちは変わっていなかった。
彼女の「思い出を日常に」が全てを物語っていた。
あのパンフレットに貴樹の名前を見つけた時に彼女は、あの思い出に終わりを迎え日常となったのかも知れない。
もしあの時、名前を見付けなければ約束の場所に向かっていたと思う。
「貴樹君なら大丈夫」 と云う言葉は、胸に響きました。
【ラストシーン】
電車が過ぎ去った後に明里がいなかったラストシーン。
あの劇場アニメ版の時は本当に辛かった。
貴樹の微笑も理解出来ずにただただ悲しかった。
貴樹は思い出を大切に保存していたのに
明里は思い出を上書き保存したのかと考えていました。
でもこの実写映画を観て考え方は変わりました。
出会う事が救いでもないし、先に進む事でもない。
明里の深い親愛をようやく理解出来ました。
貴樹の微笑みも悲観的なものではなく、
彼女の気持ちを知り、ようやく追い着けたと云うものなのだと解釈しました。
このラストシーンで良かったんだと今なら言えます。
とても語彙力のないレビューでしたが、
ここまで読んで下さりありがとうございました。
18年前の劇場アニメ版の思い出が、
この実写映画でようやく日常となりました。
私の中で18年を経て秒速5センチメートルは、
ようやく終わりを迎えました。
素晴らしい作品を生み出してくれたスタッフ、キャストの皆様に感謝を。
少し合わなかった
・アニメの秒速5センチメートルを観た時に積雪で電車が止まってしまうことを失念していた主人公の苦悩と山崎まさよしと澄田の印象が強かった。初見がいつだったかおぼえてないけど10年くらい前にDVDだったと思う。その時にあまりの切なさにもう観返せないなぁと思った。山崎まさよしのONE MORE TIME...を思い出すたび切なさが蘇っていた。アニメで観た時はなぜか恋愛映画という風に感じなかったのに実写で観ると恋愛映画すぎて好みに合わずちょっとしんどかった。
・イメージ曲が山崎まさよしって感じだったのに米津玄師のEDで何となく多いなって思った。
・個人的にアニメの印象で明里は背が高い女性ってイメージが強かったので高畑充希が合わなかった。
・宮崎あおいが都会に出て鹿児島に戻ってきてる時期があった感じだった。どこにいても同じだと思ってさぁって言って鹿児島にいて、また東京にいたの何でだったんだろう。
何度も観たい
新海誠監督の有名な作品でしたが、機会を逸したままで、いつか観たいと思っていた作品。
そこで実写化の話があったので、敢えてアニメは観ずに実写版を先に観ました。
だいたいのあらすじをうっすら知っている程度の状態で観ましたが、序盤から自分でも何の涙かわからない涙が溢れてきました。
もうアラフィフのいい歳のおばちゃんですが、若かりし頃の鬱屈とした精神状態とか、淡い恋心とか、報われないもやもやした気持ちが浄化されるような、昇華されたような不思議な気持ちになりました。
小学生の明里ちゃんがとても愛くるしくて、転勤族の家庭に生まれて周囲に心を開けずにいた貴樹にとって明里ちゃんの存在はあまりに大きすぎて、それを埋められないまま大人になったんでしょうね。
いつもどこか上の空な感じから、プラネタリウムで館長に思いを吐露するところまで、松村北斗さんのあまりにも自然な演技に…というか、プラネタリウムのシーンはもはや実在している人なのでは?と思える程に貴樹でしたね。
素晴らしかったです。
他の演者さんもみなさん素敵で、森七菜さんは本当に恋する高校生そのものでしたし、個人的には宮崎あおいさんのセリフが刺さりまくって痛いほどでした。
自然なのに気持ちがしっかり乗っているからすごく響くんでしょうね。
高畑充希さんも素敵だったな。
離れていても貴樹との大切な想い出を胸に、前に進むことができた明里。健やかでとても素敵な女性となっている今の明里=高畑充希さんはすごく説得力がありました。
吉岡秀隆さんはその佇まいから滲み出る温かさが貴樹を優しく包み込んでいて、もう最高でした。
この館長の元で働けるなら、この先の貴樹は大丈夫だと無条件で思わせてくれる。
優しい口調と眼差しと。
つくづくキャスティングも素晴らしいと思いました。
岡部たかしさん、出番は多くなかったけど、いいなぁ。効いてるなぁ。
それからなんと言っても全てのシーンを心に刻みつけたいほどに、あまりにも美しい映像の数々。
円盤が出たらミュートにしているだけでも価値がありそうです。
脱線しましたが、見る度に同じところで泣くのか、もっと何度も劇場に通いたいと思える作品でした。
ありがとうございました。
違和感だらけの設定と主人公2人の熱量差
映画館じゃなかったら途中で観るのをやめていました。ただの日常を延々と見せられているよう。
高校生時代。森菜々さんがなぜ主人公の男性の心に誰かがいることに気づけたのかその描写はなかったような。森菜々さんが突然泣き出して告白の余地が全くないとなぜ思えたのかよくわかりませんでした。
中学生時代。なぜか19時という遅い時刻に片道2時間以上かかる田舎で待ち合わせ。本数もなさそうな田舎で帰りはどうするのでしょうか。
親には2人とも「何時になっても必ず帰ってくる」という置き手紙のみ。正確な帰宅時刻も伝えず、親は警察に届け出てもいいレベルでは。
大雪のため23時頃(!)にようやく駅で出会い、そんな遅い時刻から雪原にある大木を中学生2人だけで歩いて目指す。人気も全くなし。こんな状況では大人でも行かないですよ。
周りに建物が見当たらない中、中学生が大雪の中を一晩明かして朝帰り。全てが仰天。警察沙汰にもならず、よく凍死しなかったなと思います。
秒速5センチメートル、という速さは桜の花びらの落下速度。だけど本作は雪の落下速度になぞらえています。雪は水分量で重さと落下速度は大幅に変わるし、桜じゃなくて雪だし、そもそもこのタイトルは無理矢理とってつけたような感じで本筋とは違うし、違和感があります。
途中で出てきたロケットの打ち上げと同じく、タイトルである言葉と本作の絡みが大して無さすぎて、無くてもいい言葉に思いました。ただタイトルにしたかっただけでは。
男性は30歳になっても小学生時代の恋を引き立っているのに対し、女性はすっぱり割り切って結婚までしていて仰天。
女性はプラネタリウムに男性がいると気づいたのに反応もあまりなく、引き返すこともなかったのはそういうことなんですね。
2人の熱量差がありすぎて終盤でさらに一気に冷めてしまいました。
宮崎あおいさんと高畑充希さんの接点も不要では。どう絡むのかと思ったらそのまま終わりました。タイトルや、ロケットの打ち上げなどと同じく、伏線のようで伏線じゃない絡まない不要な設定が多いです。
実写で見ると、より
タイミング合ったし、Twitterで話題になってたから鑑賞
終始、自分たちが生きていた中で感じたことのある映像みたいな空気感があった気がした
遠野くんと同じ場所には実際には行っていないけど、今まで過ごしてきた景色ですれ違っていたかもしれない、、みたいな
アニメ版とは違う感覚になったから面白かった
だからこそ、ラストシーンは知っていてもグッとくるものがあった
思い出じゃなくて日常っていうセリフが最後に胸に残ってる
あと、森七菜がめっちゃjkだった。
あと、中学時代の明里の役者さんの演技がすごかった。
松村北斗は、みっともない男というか、偏屈な役が本当に似合うなーって感じた
71/100
面白かったけど、アニメ版の方がいい
自分はアニメ版の「秒速五センチメートル」が好きで何回も観た人間で
何回も泣き、そして何回も考えさせられた作品でした。
今回映画を観た感想ですが、良い点はその後の結果の続きが分かり易くなってた。
悪かった点は、もう少しアニメ版のストーリーの流れに寄っても良かったかなって感じがした。
あと山崎まさよしの、例の曲も劇中歌に使うんじゃなく、アニメ版みたく全体とED曲に使って欲しかった。
補足として、やっぱりアニメ版の方が鮮明に出てたが、男は恋愛に強烈な印象が脳に残り続け、
女は恋愛が強烈でも時間が経って好きな人が出来てしまうと、そちらの方に行ってしまう現実的な部分がある。
って残酷な部分があるって事を思い知らされた。
男の美学
❶相性:上。
❷時代・舞台(登場する文書やテロップや会話等の日付から):
2008年・東京の現在から幕が開き、1991年・東京、1993年・種子島、1993年・岩船とフィードバックがあり、2008年・東京に戻り、翌2009年・岩船と東京で幕を閉じる18年間の物語。
❸主な登場人物
①遠野貴樹(たかき)(松村北斗/29歳。小学・中学生:上田悠斗/11歳。高校生:青木柚/23歳):1991年の春。東京の小学5年生・貴樹は、同じクラスに転校してきた明里と出会う。親の転勤で転校が多かった2人は心を通わせていくが、卒業と同時に、明里は栃木・岩船に引っ越してしまう。離れてからも文通を重ねていた2人だが、今度は貴樹が種子島へ引っ越す。中学1年生の冬。栃木・岩舟で再会した2人は、雪の中に立つ一本の桜の木の下で、16年後の2009年3月26日〔小惑星1991EV(架空)が地球に衝突するかも知れない日〕に、この場で再会する約束をしてキスをする。その後、貴樹は鹿児島で高校時代を過ごし、東京の大学に進学。卒業後は東京のソフトウェア開発会社に勤め、2008年の現在に至る。同じ職場の水野理紗と交際中だったが、フラれる。貴樹は迷いがあり会社を辞め、元上司の紹介で科学館のプログラマーとなる。
②篠原明里(あかり)(高畑充希/33歳。小学・中学生:白山乃愛/12歳。):東京の小学校に転校して貴樹と出会う。現在は新宿の紀伊國屋書店に勤める書店員。恋人がいる。輿水美鳥と交流がある。
③種子島の高校関係
ⓐ澄田花苗(かなえ)(森七菜、23歳):貴樹に想いを寄せる種子島の高校の同級生。サーフィンが趣味。
ⓑ輿水美鳥(みどり)(宮崎あおい、39歳):花苗の姉。貴樹が通う高校の教師。明里が働く新宿紀伊國屋書店でワークショップを行っている。
ⓒ砂坂翔子(白本彩奈、22歳):花苗の親友。
④新宿・紀伊國屋書店関係
ⓐ柴田治(又吉直樹、44歳):店長。
ⓑ田村四季子(堀内敬子、53歳):先輩店員。
ⓒ大橋純透(佐藤緋美、25歳):アルバイト店員。
⑤ソフトウェア開発会社関係
ⓐ水野理紗(木竜麻生、30歳):貴樹の同僚。貴樹と交際している。
ⓑ窪田邦彦(岡部たかし、52歳):貴樹の上司。会社を辞めた貴樹に、大学時代の恩人が館長を務めている科学館の仕事を紹介する。
ⓒ金子あさみ(中田青渚、24歳):貴樹の同僚。
ⓓ戸田宗次郎(田村健太郎、38歳):貴樹の同僚。
ⓔ酒井直(戸塚純貴、32歳):貴樹の同僚。
ⓕ大野泰士(蓮見翔、27歳):貴樹の同僚。
⑥小川龍一(吉岡秀隆、54歳):科学館の館長。窪田邦彦の大学の先輩。貴樹が仕事で関わる。明里も本を届けに行く。小川館長は貴樹と明里の相談相手になり、2人の気持ちを理解するが、仲を取り持つことはしない。
❻考察
①監督の奥山由之は慶應・法学部政治学科出身だが、学生時代から映画と写真に興味を持ち、高校時代に撮った自主映画が第2回全国高校生映画コンクールでグランプリを受賞している。写真でも受賞がある。映画一家である。父親:奥山融(松竹元社長)、兄:奥山和由(映画プロデューサー)、弟:奥山大史(映画監督)(出典:Wikipedia)。
②本作(以下Ⓑと言う)は、新海誠が33歳でリリースしたアニメ『秒速5センチメートル(2007)』(以下Ⓐと言う)の実写版で、監督の奥山由之も同じ33歳。
③物語の基幹はⒶもⒷもほぼ同じだが、ベースとなったⒶは63分であるのに対し、本作Ⓑは121分で2倍の尺となっていて、Ⓐでは描かれていないオリジナル要素も多数登場する。だから、人物象に深みがあり分かり易いと言えるが、観客自身が創造する割合が少なくなったとも言える。
④中学1年生の冬、岩舟で再会した貴樹と明里は、16年後の2009年3月26日に、もう一度会おうと約束するが、その後の2人の行動がⒷではより明確になっている。
⑤社会人の貴樹には、付き合っている女性・理紗がいるが、あと一歩が踏み出せない。その理由が明里である。貴樹は、心の中で、明里のことを大切に思っていて、今も変わらない。だから2009年の約束の日に、貴樹が岩舟に行くが、明里は来なかった。
⑥一方の明里は、過去の思い出よりも、現在の出会いを重視する。だから、今の恋人を選ぶのだ。観客がそれに気づくのが、プラネタリウムのシーン。明里が観たプラネタリウムは、貴樹がプログラムしたもので貴樹が解説していた。明里はそのことを事後のチラシで知った。会おうとすれば可能だったがそうしなかった。その時点で明里にとって貴樹は過去の人だったのだ。
⑦現在の貴樹と明里は、紀伊國屋書店や科学館等で、何度もすれ違う。観客には分かっても本人同士は気づかない。観客は2人が結ばれることを期待するが、肩透かしを食らう。
⑧ラストの踏切のシーンでは、貴樹は明里に気づくのに対し、明里は貴樹に気づかない。或いは、気づいたかも知れないが無視する。
⑨貴樹の気持ちに共感する。それは、自分よりも相手の幸せを願う「男のロマン」である。「男の美学」である。それは、幾つもの名画に描かれている通りである。
ⓐ『カサブランカ(1942米)』:リック(ハンフリー・ボガート)のイルザ(イングリッド・バーグマン)に対する思い。
ⓑ『ラ・ラ・ランド(2016米)』:セブ(ライアン・ゴズリング)のミア(エマ・ストーン)に対する思い。
ⓒ『パスト ライブス 再会(2023米・韓)』:ヘソン(ユ・テオ)のノラ(グレタ・リー)にたいする思い。
⑩明里が新たな人生を歩みだしたことで、貴樹の心も開放される。貴樹も新たな人生を始めるだろう。そう信じたい。
⑪CGとVFXを活用した実写版の映像は、アニメ版に劣らぬ美しい魅力があった。
❼まとめ
①新海誠のアニメ版と、奥山由之の実写版とは、同じ世界観でも、夫々独立した要素があり、両者とも、親しみを持って味わうことが出来た。
②実写版では、主人公貴樹の「男の美学」に共感した。
❽トリビア
①秒速5センチメートル(出典:Google AIモード、MONOist)
冒頭で示される「桜の花が舞い落ちるスピードは秒速5センチメートル」は、比喩的な表現で、正しくは下記の通り。
ⓐ風がない時:「秒速1~2メートル」。雪が落ちる速さとほぼ同じ。
ⓑ秒速1.75メートルの上昇気流があれば、秒速5センチメートルになる可能性もある。
②1991年の主な出来事(❖は本作関連)
・湾岸戦争の勃発
・ソビエト連邦の崩壊
・ピナツボ火山の大噴火
・バブル経済の崩壊
・雲仙普賢岳の噴火
❖1977年に打ち上げられた無人宇宙探査機ボイジャー1号と2号が天王星と海王星を観測して恒星空間へ旅立つ
③1993年の主な出来事(❖は本作関連)
・ニューヨーク世界貿易センター爆破テロ
・EU(欧州連合)発足
・オスロ合意:イスラエルPLO
・Jリーグ開幕
・平成の米騒動
❖種子島宇宙センターでX線天文衛星あすか打ち上げ
④1994年の主な出来事
・英仏海峡トンネルの開通
・ネルソン・マンデラ氏が南アフリカ初の黒人大統領に
・松本サリン事件
・名古屋空港で中華航空機事故、264人が死亡
・円高が加速し、戦後初めて1ドル100円を突破
⑤2008年の主な出来事
・リーマン・ショックに端を発する世界的な金融危機
・四川で大地震、死亡・行方不明8万7,000人以上
・中国製食品の信頼崩壊、餃子・粉ミルクの汚染事件
・BD(ブルーレイ・ディスク)レコーダー。
・小林誠・益川敏英・南部陽一郎の3氏がノーベル物理学賞受賞
⑥2009年の主な出来事(❖は本作関連)
・バラク・オバマ氏がアメリカ初の黒人大統領に
・クライスラー破産
・政権交代:自民党から民主党に
・新型インフルエンザの流行
・桜島が爆発的噴火
❖小惑星2009 DD45が地球に接近
長く想う人がいる方は共感できるのじゃないでしょうか
私事ですが10年ほど想う人がいます。
最後のただ会って話せたらよかったってセリフすごく共感しました。
連絡すればいいじゃんとか思うかもしれませんが、もし相手が幸せだったら邪魔したくないし、幸せでいてくれたらいいんです。
悲しいけど、出会えただけでもよかった
心の真ん中にはいつも想う人がいて
そんな感情で他の誰かといるのなら誰も傷つけない孤独を選ぶ
そんな感情がうまく描けている作品だと思います。
新海誠さんの作品はいつもモヤっと終わる作品が多く、そのあとのストーリーは個人に任せられてるような気がして感情を複雑にされますが、そこがいいところですね!
実写⇒小説⇒アニメ 桜の花の満開の下、あの時を忘れない。
2025.10.15(水)
原作本未読で観る映画もあるので、アニメ版は未見で鑑賞。前知識ゼロ。そう言えば今年、再映していたような…。
MOVIX川口で「秒速5センチメートル」を。
1991年4月
明里(白山乃愛)は、東京の小学4年の転校生。親の転勤でよく転校している。カメラはみんなの足元を映す。明里だけ規定の上履きを履いていない。隣の席の遠野貴樹(上田悠斗)がノートに書いて教えてくれる。
「上履きは駅前のよしみ屋で売っているよ」
「ありがとう」
「僕も去年は転校生だったから」
明里の顔が明るくなる。転校が多く中々友だちが出来ない二人は仲良くなる。
「大丈夫だから」貴樹は明里に声をかける。
宇宙が好きな貴樹。「貴樹は将来、宇宙飛行士になるかもね」貴樹は明里の誕生祝いに天文手帳92を送る。
六年生になった。
満開の桜の散る下を歩く二人。明里が言う。
「ねえ、秒速5センチなんだって。桜の花の落ちるスピード。秒速5センチメートル」
1994年3月
中学に進学する時、明里は栃木に引越す事になる。「同じ中学には通えない」泣きながら電話をする明里。
半年後、明里は貴樹と天文手帳92を往復させ文通を始める。文通を続けるうちに貴樹も鹿児島に引越す事になり、引越す前に栃木・岩舟まで明里に会いに行く。
1995年3月4日
天文手帳は明里の手元にあるため、貴樹は会った時に渡そうと明里に手紙を書く。生憎の大雪で列車は遅延しまくり、途中駅の自販機で飲料を買おうとした時に手紙を落とし、風にさらわれてしまう。
岩舟駅に19:00の約束が4時間以上遅れてしまう。明里は駅の待合室で待っていた。
(小説では、アニメ版より駅を閉める駅員の対応が優しくなっている。実写版にはない)
そして、桜の樹の下で初めての口づけ。抱擁する二人。惑星1991EVが地球に衝突する予定日の2009年3月26日に同じ場所でまた会う約束をする。
翌朝、駅での別れが待っている。
貴樹は手紙を失くし口頭でも想いを伝えられない。渡そうとして待合室で書いた天文手帳92を鞄にしまう明里。「貴樹くんはきっと大丈夫、大丈夫だから」ドアの閉まる音で貴樹には聞こえない。(「望郷」のジャン・ギャバンか。小・中学生時代の二人はとても良かった。特に白山乃愛は表情が良い)
1999年種子島
高校生の貴樹(青木柚)は、担任教師澄田美鳥(宮崎あおい)の妹で同級生の澄田花苗(森七菜)と仲が良い。一緒にカブで通学している。花苗はサーフィンと貴樹の事が好きだが、いくら思っても貴樹の目は花苗を見ていない。花苗はその事をはっきりと認識してしまい涙を流す。誰にも送らないメールを打ち続ける貴樹。そしてそのメールは保存されない。
種子島から打ち上げられるロケットを二人は見送る。(森七菜は本当に高校生ぽかった。
ちなみに1998、1999年のH-Ⅱロケットの種子島からの打ち上げは失敗している)
2008年。
貴樹(松村北斗)は、新宿でSEとして働いている。会社の同僚とは馴染んでいない。同じく会社の同僚で女性社員からも浮いている生真面目な水野理沙(木竜麻生)と付き合っているが、彼女の部屋に行っても一緒にコーヒーを飲みTVを見るだけ。やはり貴樹の目は理沙を見ていない。
明里(高畑充希)は新宿の紀伊國屋書店で働いている。まもなく結婚する明里は母のいる実家に行き、押入れから貴樹との文通に使っていた天文手帳92を見つける。
貴樹は、結婚して今は新宿で働く担任教師だった美鳥(宮崎あおい)と新宿の路上で出逢う。夜、飲みに行く約束をし、美鳥は同僚の明里を誘うが、明里は急に店長(又吉直樹)に残業を頼まれ一緒に行けない。
水野と書店に行った貴樹は店頭で天文手帳08を見つける。
貴樹は行き詰まりと限界を感じて担当プロジェクトを終了させた時点で会社を辞め、水野とも別れる。
職場の先輩窪田(岡部たかし)の紹介で多摩六都科学館のプラネタリウムのプログラミングの仕事に就く。プラネタリウムの前で天文手帳09が売られている。
2009年3月26日
本(天文手帳)の納品でプラネタリウムを訪れた明里は館長(吉岡秀隆)の勧めで貴樹の生解説で星空を見上げる。(多摩六都科学館はプラネタリウムの生解説で有名。武蔵野市に住んでいた時に一度行っておけば良かった)
プラネタリウムを見終えた明里は、そこにいた子供に「桜の花の落ちるスピードは秒速5センチメートル」と教える。
「落ちるスピードは秒速5センチメートルだって。お姉さんが教えてくれた。」
子供たちの会話を聞いた貴樹は天文手帳09のポップを見て館の入口に走るが明里の姿はない。
明里は帰りのバスの中、プラネタリウムのチラシに解説:遠野貴樹の名前があるのに気付き微笑む。
その日は約束の日。貴樹は帰宅しょうとしたが新宿駅で思い直して、あの桜の樹の下へ行く。19:00に間に合ったが、明里は来なかった。
貴樹は、館長に約束の日の事を話す。館長からは、あの雪の日に来た同じ約束をした人が私は行かないと言っていた。「あの約束を忘れる位、幸せに生きていて欲しいから」と言っていたと。
貴樹は、水野を呼出し部屋を訪ねた時に借りてそのままになっていた傘を返す。
そして水野の何処が好きだったのかを告げる。面と向かって良い所を告げられたのは嬉しいが「遅いよ。でも、ありがとう。ちゃんと言ってくれて」と言い水野は貴樹の前から去る。(木竜麻生も最近活躍しているね)
貴樹は、小田急線の踏切で明里とすれ違う。
上りと下りの2本の電車が通過して行く。遮断機が上がると彼女の姿はない。貴樹は踵を返して歩き出すのである。
本作鑑賞後、調べたら本作は2007年のアニメ版「秒速5センチメートル」だけでなく、その後新海誠によって書かれた小説版、そしてコミックスも含めたトータルな「秒速5センチメートル」のリ・クリエイトである事が分かった。
62分のアニメを121分の実写にして間延びしているという評もあったが、それは違うと思う。
新海誠は、アニメ版のあとに「みんなを元気づけるために映画を作ったのに、落ち込んだと言う意見をもらった。それは自分の意図とは違うので、そこを後悔して小説版を書いた」
だから、小説版では加筆されている部分が多い。貴樹が大学に入ってから二人の女性と付き合った事、水野理沙(アニメではメールだけでほとんど登場しない)との交際する姿も描かれている。小説版では水野は同じ会社の同僚ではない。ノベルでは水野が電車に乗れない理由も。
そして、新海誠の小説はこの言葉で結ばれている。
この電車が通り過ぎたら前に進もうと、彼は心を決めた。
実写版「秒速5センチメートル」(2025)
小説版「秒速5センチメートル」新海誠
奥山由之✕松村北斗✕新海誠のスペシャル・トーク・セッション(1時間)
アニメ版「秒速5センチメートル」(2007) 2025.10.22レビュー済
「秒速5センチメートル」THE NOVEL(脚本を元にした書き下ろし)鈴木史子
実写版鑑賞後に色々な情報を入れ過ぎて自分の頭の中で少しこんがらがったかな。二人が出逢うのが小学4年だったり5年だったり、水野は会社の同僚だったり違う会社だったり、それぞれ設定が微妙に違う。
NOVELでは書店で天文手帳08見かけた貴樹は、それを手に取って購入する。
実写版では、アニメ版では手紙の文通だったものが天文手帳を使って往復で行われており、プラネタリウムやヴォイジャー等天文や宇宙に関する要素が盛り込まれている。
実写版で明里は最後に結婚してメルボルンへ行くという。東京とメルボルンは、栃木と種子島よりも遠い距離であり、本当に二人はもう会わないと言うディスタンスになる。
さらには実写版では貴樹は別れたあと水野と会って直接彼女の良い所を伝えている。
水野は二年間交際しても貴樹に1センチも近づけなかったとメールしていた。二年間楽しくないけど楽な存在として横を歩いていたのにである。
それが貴樹の方から近づいて行っている(遅かったけど)。約束の場所に行って、貴樹が変わった事を示している。
実写版では花苗の姉美鳥を結婚した書店員として東京に登場させている。(宮崎あおいは良かった)
新海誠は「全てに意図がある」と言う。
だから、アニメ版で明里がトルーマン・カポーティの「草の竪琴」を読んでいるのも、第二話が「コスモナウト」なのも意図されたものなのだろう。宇宙飛行士(コスモナウト)はどこにも出て来ないのだから。
だから、その意図を汲んで実写版で明里に「貴樹は宇宙飛行士になるかもね」というセリフを言わせている。
対談では、奥山監督と松村北斗はアニメ版をリスペクトしているし、新海誠は実写化に感謝している。新海誠は、松村北斗が屋上でたこ焼きを食べるところはアニメでは出来ない、と言っていた。たこ焼きを食べながらもの思う松村北斗の表情はアニメでは表現しきれないと。
新海誠はプラネタリウムのシーンで泣いたとそうだ。
結局、二人は中1の別れの思い出を持って生きているが、貴樹は忘れられず、明里は良い思い出として結婚して次に踏み出そうとしている。
男は女々しく、女は過去を引きずらないと言う事なのか。
やはり山崎まさよしの挿入歌「ONE MORE TIME, ONE MORE CHANCE 」は実写版でもフルコーラスで聴きたかったな。米津玄師はクレジットで良い。
不満
デジタルデータを16mmフィルムに焼き付けてザラザラした質感を出しているが、小・中・高時代の過去パートだけにして現代パートはやらなくても良かったのでは。2009年でも現在(2025年)から見れば過去なのだが。
貴樹が喫煙して教師澄田美鳥に咎められる設定は不要。貴樹と美鳥が話し合うきっかけがあれば良いだけ。
疑問
駅の別れで「手紙を書くよ。(電話も)」
と言っていたのに、二人はその後連絡を取りあわなかったのか?
おまけ
60年位前に父親に思川までフナ釣りに連れて行かれた。20cmくらいのフナが2匹と小魚が釣れた。何故思川に行ったのか、理由は分からないが随分遠い所だった記憶がある。あんなに遠くまで釣りに行ったのはあの時だけだった。岩舟は、思川の更に3駅先である。
レビューアーの方から水野が一番細かく描かれているというコミック版を勧められたが、そこまでは手が回らなかった。機会があれば読んでみたいと思う。
ボイジャーみたいな切ない恋
リアルな日常の中にある切ない恋が、言葉と美しい映像と共に描写されていて泣いた。すごく会いたかったけど会えなかったり、会う事は無かったけどお互いに想い合っていたりする哀愁が心に残った。最後は悲恋ではなくお互いに前へ進む姿で終わっていて、映画だけどこれからも人生は続いていくんだなって感慨深かった。ただの恋愛映画ではなく、あくまで人生の一片が描かれているような感じがした。
ゆったりとした作品🫧
原作はかなり前に視聴済、かなり前からプロモーションがされていて気になっていた作品!
都合がついたので、早めに映画館に行けた☺️
小学生の頃の思い出を引きずっている30代男性の話という印象があり、高評価とは聞いていたもののどんな感じかとワクワク!
作品の印象は前と変わらずでしたが😂、短い原作を1本の映画にして、それも学生時代から現在までの時代を余すことなく描かれていて中身が詰まった映画に感じました。
出演する俳優さんはどなたも素晴らしく、久しぶりにみた宮崎あおいさんも変わらずお美しい!
個人的に小田急線が出てきて嬉しかったです☺️
「約束は忘れていてほしい。そんなこと思い出さないくらい楽しい人生にしていると思う。」(このような記憶)
それを聞いた貴樹君が切ない!
最後の別れ際、本を渡さない判断をした明里はなんて大人なんだ、、!別れがあることを予想していたのかな、、。
出会いがあれば別れがあり、今はもう会うことはなくてもその人には楽しく生きててほしいな、そういうことなのかなとなんとなく思いました。私も誰かに思い出されてたりするのかなとも、、そうだったら嬉しいな☺️
ファーストキスといい、松村北斗さんの演技にうっとりします。声も好き!
また映画に出られるならみたいです。
恐ろしく退屈に感じてしまった
わたしの感性でしょうか。
とくに心に迫るものもなかった。
松村北斗さんの自然な演技と、
甘酸っぱい子供時代は良かったんだけど
高畑さんの演技がどうにも苦手だった。
そもそも明里っぽさがなく、キャラも違うし、成長した遠野が会ったらあなた誰?状態になりそう。なんか暗いし。あえておさえた演技が仇となった感じ。
これはミスキャスト。
あと原作にはないオリジナル設定、
科学館でのニアミスもいらないかな。
日常のなかに常にある思い出なら、
パンフレットに遠野くんの名前みつけたら、普通連絡くらいしない?
また恋愛するかは置いといてそれが筋でしょ。
あ、あとよかったのは新宿のさくらや。
懐かしい〜となりました。
原作への理解と敬意に溢れた傑作
オリジナルのアニメ作品では描かれなかった追加要素が、原作の精神性を全く邪魔せず、むしろそれをより強調するようなスパイスに仕上がっていて、満足度がはるかに高い。
音楽の使い方、フィルムで撮ったような淡い映像、原作からのセリフやカットの引用の塩梅など、奥山由之監督のセンスが抜群。
松村北斗はとんでもない逸材であることを今作を見て確信した。これからの日本映画を牽引していく俳優になるだろうと思う。
全編ぼんやりしていて輪郭のはっきりしなかった映像が、ラストシーンで遠野が振り返ったあとくっきり、はっきりしていく演出は、貴樹の過去との決別を上手く表現していて感心。
最後まで観るのに根気が要りました
アニメ未見てす。
タカキのコミュ障には何か理由があって、その理由がストーリーの展開につれ明かされるのだろうと思いながら見ていたが、延々何も出てこない。情感たっぷりな描きっぷりが意味ありげだが、タカキではない私には彼の心など読めず、情感の核となるものが分からないのでもどかしくてストレスフルだった。
人間関係やら何やら、偶然が重なりすぎ。
ふたりが何度も接近遭遇しそうになり期待を持たせながら、これまた毎回「予期せぬ偶然」から回避。
でもって「一言」は何?
色々引っ張り過ぎて、本来短時間で終わるだろうに回りくどい発表や報告で、延々テーマの核心にたどり着かないミーティングに参加したみたいな気分になった。
結局、タカキのコミュ障は、元々の性質で、特に何かで引き起こされたものではなく、小学生のころ心通わせ合った女の子が忘れられないまま年を重ねただけ、そして女の子の方ではそれはすでに過去の思い出、違う道を歩いていたという、「パストライブス」みたいなハナシでした。
何でお互いの中間地点あたりで待ち合わせしないのかと思ったけど、明里がタカキにあの桜の木を見せたかったなら仕方ない。
大雪の中、心細かったろうに苦労してたどり着いた岩船で、あんな美しい思い出ができたら、タカキが引きずってしまうのは無理からぬこととも思う。
小田急は息をするように遅延するユーザー泣かせの路線なのになぜか雪には強い。大雪でも健気に走ってくれちゃうので、行こうとすれば行けてしまうのが罪です。
思わせぶり、情感たっぷり過ぎで逆に冷めてしまって、ひときわ長さを感じた。森七菜のエピソードはまるっと不要ではと思うし、宮崎あおいの姉も出てくる意味ある?
森七菜パートと宮崎あおい姉部分をまるっとカットして短くしたら少しは締まったかも。。
実写をわざわざアニメ風に加工したような映像も微妙。
高評価する方がいるのも分かりますが、私には合いませんでした。ずっと立ち止まってメソメソしている男性に思いっきり寄せた作りが、そもそも無理めかも。
TV放送したアニメを録画してあるけど今のところ観るための根気が湧いてきません。。
出逢いは必然で奇跡かも…
私自身が覚えていたいことがたくさんあるから長文!
すぐ忘れるから!
まずタイトルが素敵!新海誠さんは言葉を大切にされる方なのだろうな。
そして映画を観て…
ああ…
そうだよね
そうなるよね
やはりそうか…
ほんの少しだけ、実写版ではハッピーエンドにしてくれないかな〜と、小さな希望を持っていたけど、やはりアニメ原作通りだよね。でも知ってる、これで良いって。
私はとても好きな作品だった。
この映画を観るために、アニメ版を観てすぐ観にきた。
アニメ版のエッセンスを散りばめた別の作品だなと感じた。ほんの少しパラレルワールドみたいな。だから、観てる人も、勝手に好きなエンディングを自由に想像すればいい!
私は、私の勝手な妄想は、貴樹と明里は、おじいさん、おばあさんになってからでも、また2人は出逢うのかもしれないと。先生(宮﨑あおいさん)が言ってたよね、会いたい人とは会えるって。私もそんな奇跡が実際にたまにある。その人のこと話してたら、バッタリ会ったり。そんな「気」のようなものってあるような気がしてる。だからご縁がある人とは、良きタイミングでまた逢えるじゃないかと信じたい。逢えなければ、そういうご縁だったと。
だから出逢いには意味があると。
人だけではなく、物、映画、アート、舞台…いろんな出逢いは、何かに導いてくれる。人生が豊かになっていく。
新海誠さんの作品、「言の葉の庭」をたまたまTVで観て、好きな感じだった。ちょっど「君の名は」公開直前だったから、宣伝のための放送だったんだろうけど、作品との出逢いに感謝だった。これもご縁。そこから今日につながっている。
「君の名は」はすごく好きで2回劇場で観た。その後の、「天気の子」「すずめの戸締り」はそんなに好きではなくて、「秒速5センチメートル」は観たいと思ってたのに、なんだかそのままになってて…。だから実写版が公開になって、この機会にアニメ版から観ることができてとても良かった!
やはり最後にまた出会ってって…それだと普通になってしまうし、そんなこと現実ではなかなかなくて、このせつない終わり方で良かったんだろうな。
朝ドラで松村北斗さんを知って、俳優としての北斗さんが好きで、「ファーストキス」も観に行ったけど、これもせつない終わり方。どちらも、映画の作品としては、これで良いんだろうね。何度も自分に言い聞かせてる笑。
北斗さんは「すずめの戸締り」でも声優としてご出演されていて、声や話し方もとても好きな俳優さん。今回も、プラネタリウムのシーンでの語る声がじっくり聴けて幸せだった。品がある演技や声。
私の年代には、結構、刺さる映像だったんじゃないかな?あの時代を知らない若い人たちより、きっとグッとくる場面が散りばめられていて、きっともっと楽しめたはず!
私はあんな小学生時代じゃなかったけど、高校の頃、好きな先輩を駅で待ってたり、好きな先輩とポストに投函する文通をしばらく続けていたり…。
勉強しながら流れてくるラジオ。
友達との恋ばな。
叶わぬ恋とわかって号泣。
電車の窓の両脇についている開け閉めする時のクリップのような金具。
家族に聞かれたくない電話は公衆電話から。
何もかも懐かしい!
ノスタルジーにひたる。
スマホのない時代に、公共交通機関での移動は本当に大変だった。ICカードもないから切符買うのも大変だった。ものすごく時間がかかったし、乗り換えも迷った。小学生であんな遠くまで、大冒険だったよね。
簡単に連絡を取り合うことなんてできなかった時代。遅刻しても連絡はとれない。すれ違い。駅の掲示板とかの時代。今の若い人たちは知らないし、想像できないかも?びっくりするよね。
SNSのない時代、友達との連絡をとり続けることは、なかなか大変だった。もうどこで何をしているかわからない、仲が良かった友達もいる。
だから、とてもリアルなのだ。
そんなに奇跡は起きない。
大好きだった人と、一生一緒に生きていける人なんて、ほんの一握り。大好きだった人は、心の中の宝箱に、キラキラとした思い出として、たまに出して眺める…ほんの少し、温かくて心がキュッとなる、そんな大切な存在。
自動販売機を、大人になっても、同時に押してる明里。心にはいるんだよね、貴樹が。でも、思い出なの。今、会いたいリアルな人ではない。会わないほうがいいと思ってる。その人の幸せを心から祈ってる。大切な人。
この映画の中、
月、太陽、空、雲、山、海、田園風景、桜、雪、 自然がとても印象的。そして、都内ではビルに囲まれて、空と雲、輝く月しか見えない。だから空を見上げる。私もよくビルの合間の夜空を見上げる。月を探したり。この月をどこかで大切な人も見てるのかな?とかセンチメンタルになったり…。
夏目漱石を読んでる明里、貴樹の部屋でラジオから流れる「月がきれいですね、は愛してます、の意味…」と夏目漱石の逸話が流れたり、月も何度も出てくる。
もう、単純な私はで感受性が豊かすぎて隅々に心動かされる。
タバコって、早く大人になりたい気持ちだったのかな?大人になってももずっと明里への想いを振り切れない貴樹。タバコのシーンって現代の映画では珍しいよね。昔はタバコ吸ってる人が本当に多かったから。やはり時代を映しているのもあったのか?
別れた恋人は、男性はフォルダ保存でそれぞれをずっと保存してるけど、女性は上書き保存だと言われているが、そんなことを思い出した。
だから、明里は新たなパートナーと自分の人生を歩んでいるから、桜の約束にも行かなかった。あのチラシを見ても、貴樹に会いに行くことはない。名前を指でなぞるだけ。うー、せつない!
貴樹もあの桜を見て、明里が来なかったことと、館長からの明里と思われる人の話を聞いて、やっと、前に進めるようになったのだろう。貴樹も、そばに寄り添ってくれる誰かと出会って、幸せになってほしいと心から思った。
映画だけど笑
一番好きな人とは、結婚しない方が良いって、昔聞いたことがある。その理由はわからないけど、周りを見ても、大変愛していた友人も、その人と結婚しているわけではない。そして、それぞれ今の家族がある。すべて奇跡的なことに感じる。
30歳で地球一周か…。
もう2周目な私には、いろんなシーンが、自分のたくさんの想い出と重なって、涙が止まらなかった。
もう人生もいつまでかわからない年齢になったけれど、たまに心の宝箱からキラキラした思い出を引き出して、ちょっと元気もらったり、切なくなったりして、命尽きるその日まで、毎日を大切に生きていきたいと思う。
最後に、音楽も良かった。
山崎まさよしさんの曲は、大好きな曲なので、アニメでも嬉しかったし、アニメにはなかったカラオケでのBGMのように流れる曲と、モニターに流れる歌詞を目で見て、貴樹の気持ちとシンクロするという場面は良かった。私はカラオケで歌詞を見るのが好きで、言葉が好きだから、そこに自分のことを重ねて、想いがつのったりする気持ちがしみじみとわかる。
エンディングの米津玄師さんの曲もとても良かった!
周りを固める俳優陣の皆様もとても存在感があって、とても良かった!
やはり映画館で見ること大好き!集中できるから、家で小さなモニターで観るより、絶対に数倍楽しめてると思う!
今回もいろんな想いができて、良い作品に出逢えて、本当にありがとうございました。
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