秒速5センチメートルのレビュー・感想・評価
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アニメ原作実写化の成功例のひとつ
映像として完成された作品を今あえて、実写化する意味がしっかりわかる。
奥山由之監督、初商業長編どのシーンからも全力でこの作品と向き合っているのが伝わる。
原作のえぐみを新解釈の脚本で令和版としてさ整理かつ日常の物語として薄くする代わりに映像美で観客を殴ってきた。
遠く過ぎてしまった今だからこそ、居酒屋のソーンは思わず泣いてしまった。
また絶対映画館で観たい
初恋の想い
刺さった。
原作は未履修で観にいきました。
主人公と同じ30代だからか刺さる部分がありすぎた。
映像が美しくて、それが余計に切なくて。
3世代に分かれて描かれていると必ず生まれる違和感も全く感じられなかったことや、どこの時代にフォーカスするのかのタイミングや切り替え方も素晴らしかったです。
季節・景色・音楽・心情…全てが美しかった。
みんながスッキリする分かりやすい物語ではないから、好き嫌いは分かれると思いますが、「質の良い映画を観たい」「映画を通じて何かに触れたい」と思うならオススメしたい作品です。
そして、スマホの画面やテレビサイズでももったいない映像美は映画館でこそかなと思います。
私も細かい描写や音楽の表現を見直したいので、また近々観に行く予定です。
アニメ版からの改変が、功を奏しているとは思えない
新海誠のアニメーションの絵は、どちらかと言うと、シャープでクリアな印象があるのだが、それを実写化したこの作品は、そうした印象とは対照的に、紗がかかったような、ぼんやりと霞んだような画面作りになっていて、アニメとは異なる柔らかで温かい雰囲気を醸し出している。
また、アニメでは、時系列順の3章構成となっていた物語が、本作では、29歳の主人公が過去を回想する形で描かれているだけでなく、主人公が、プラネタリウムに転職したり、小惑星が衝突する予定日にヒロインと再会する約束をしていたりと、アニメには無かったエピソードも付け加えられている。
このように、この実写版は、オリジナルのアニメ版とは「似て非なるもの」になっているのだが、それでは、そうした改変が功を奏しているのかと言えば、残念ながら、そうとは思えない。
第一に、アニメでは、第3章に登場しただけの29歳の主人公(松村北斗)が、本作では、全編を通しての主人公になっているにも関わらず、彼が、一体何を考えているのかが、よく分からないのである。特に、彼が、職場の同僚や恋人と距離を置いている理由が不明確なため、単に、社会性が欠如した、煮え切らない男にしか見えなかったのは残念で、ここは、小・中学生の時に好きだった少女への想いを今でも引きずっているということを、もう少しはっきりと描くべきだったのではないだろうか?
第二に、アニメでは、第2章の主人公だった女子高生(森七菜)の片思いが、彼女が好きだった相手の回想として描かれているため、その「切なさ」が今一つ伝わってこないのである。確かに、彼女の心情も説明されてはいるのだが、彼女が感じた失恋の辛さや、それでも相手を想い続けようという決意が、アニメほどには胸に響かなかった。
第三に、アニメでは、ラストで登場しただけのヒロイン(高畑充希)が、本作ではダブル主演のような位置付けで描かれているため、てっきり、彼女も、小・中学生の時に好きだった少年のことを今でも好きなのだと思ってしまったのだが、それが完全にミスリードなのである。実際、彼女は、他の男性と結婚していて、かつての少年がプラネタリウムに勤めていることを知っても、会いに行こうとはしないのだが、ラストでそのことが明らかになると、今までの気の持たせ方は何だったのかと、拍子抜けしてしまった。これだったら、桜の木の下での再会の約束も、主人公だけがそこに行った描写も、そもそも必要なかったのではないだろうか?
さらに、劇中、主人公とヒロインは、書店や居酒屋やプラネタリウムで遭遇しそうになったり、共に、先生(宮﨑あおい)やプラネタリウムの館長(吉岡秀隆)と親しい関係にあるのだが、そういう「会えそうで会えない」展開は、最後に「ようやく会える」からこそ活きるのであって、そうでないならば、こういった展開そのものが必要なかったのではないかとも思ってしまった。
それから、この実写版では、アニメ版で腑に落ちなかったことに、答えを示してくれるのではないかと期待したのだが、それもなかったことにも落胆せざるを得なかった。それは、主人公が、種子島に行った後も、どうしてヒロインと連絡を取り合わなかったのかということで、それが、桜の木の下で、「好きだ」と書いた手紙を手渡すことができなかったからだとしても、キスをした時点で、お互いの気持ちは十分に確認し合えたのではないかと思えるのである。
いずれにしても、この実写版だけならば、それなりに楽しめる作品だったのかもしれないが、アニメ版と比べてしまうと、色々なところが残念に思えてしまう、そんな映画だった。
ゆったりした作品
美しい景色や描写が多めに使われてる映画でした。
主演の松村北斗さんは安定の演技力です。
びっくりしたのは子役のお二人。子役のお二人のシーンは見ててとても幸せな気持ちになりました。上田さんのぎこちない演技が貴樹の性格にすごく合ってて、こんな男の子いたな、ってありもしない記憶を思い出しました。白山さんの大人顔負けの演技が子供の頃のことを引きずってる貴樹と、子供の頃と違って成長してる明里の違いを表してるかのようでよかったです。
貴樹を3人で演じられてましたが、青木さんは少し違う印象に思えました。個人的に少しキャストミスかなと。松村さん、上田さんは文系で青木さんは体育会系な感じがしました。相手役の森さんの思春期の不安定な高校生の演技も素晴らしかったです。
雰囲気と映像に魅了される映画
公開初日のレイトショーで鑑賞。
映画ならではの大きなハプニングなどはないですが、雰囲気と映像に魅力される映画だと思いました。
実は女性よりも、男性の方が未練がたらたらの場合が多いと聞きますが、本作も美化された記憶を忘れられないでいる男性の話。
しかし、誰しも心の奥底にある忘れられない想い出。ノルタルジックな気持ちになる、そんな映画でした。
ハッピーエンドではない恋愛ものだけど、でもそこも良かったです。
映画を観たあとにアニメを観ましたが、わたしは映画の方がストーリーも雰囲気も好きでした。
原作とは別物の恋愛ドラマ
なんでこうなった?
原作とはまったくちがう。
単なるフジテレビの東京ラブストーリーを見た。
まず貴樹は闇を抱えてるのに、本作の貴樹はよくしゃべる。
さらに、おじさんがでてくるのはなぜ?
心が疲れ切って会社やめるのになぜ再就職してる?
原作は三部作なのに、一部作になってる。
そのせいで話が行ったり来たり。
貴樹と恋人の下りも不要。
本屋の店員も出てくるし、登場人物が多すぎる。
原作を映画化する場合は、原作に忠実に作ったほうが評価は高まる。
情景描写だけはきれいではあった。
セリフはミュートで写真集として見るだけがいい。
二週間後は映画館から消えていてもおかしくはないだろう。
泣けて泣けて
しかし、中学生を夜の辺鄙な駅で待ち合わせさせる、どうやら原作にもあるらしい設定は絶対に看過できない。雪が降らなくても、都内から3時間もかかる場所で待ち合わせって、置き手紙で親が納得する? 私が中学生の母親だったら気が狂うね。その風景とそのときの約束が物語的に必要だったのだろうが、そのためにそういう設定をでっちあげる原作者を私は認めないっす。イヤです。
転勤族は拗れる。手紙は徐々に出さなくなる。
とにかく美しく心に残る作品
俺もいつだったろうか。人との距離に一定を保つようになったのは。結局...
1991
公開初日初回に観賞。
私はアニメの方があんまり好きではなくて…じゃあなんで実写の方は観るんだよって、それは奥山由之監督で松村北斗主演で米津玄師が主題歌だからです。観てよかったよ。
初恋を大人になってもずーっと引き摺ってる男の話かな…って思うんだけど、中学生の頃彼女と交わした約束が、いつの間にか呪いのように彼を繋ぎ止めて、そこから抜け出したらようやく時間が動き出したって感じ?なんかね、彼も苦しかったのかもしれないけど周りの女の子たちも相当苦しいよ…。
個人的にいちばん刺さったのは高校生の頃の貴樹(青木柚)と花苗(森七菜)のパートで、なんか全然違う方向向いてる男の子に恋する女の子の切なさがめちゃくちゃ伝わってきまして最高でした。一緒に帰りたくて待ち伏せしてたのに偶然を装う感じとか、ちょっとでも可愛い自分で居たくて前髪直してるところとか、ヨーグルッペ飲みながら吸っていたストローを口から離した時に出る音気にしたりとかさ…全部がなんか身に覚えがあるような甘酸っぱさなんだよ。2人でカラオケ行って話しただれかの恋の話も、バイクが壊れて歩いて帰った長い道のりも、一方通行すぎる想いが溢れて泣いちゃうところもさ…その全部に胸が痛くて泣きそうになっちゃった。日焼けしてる森七菜ちゃん可愛かった。
逆に物語の肝となる小学生~中学生パートはどうにも親目線で観てしまうところがあって苦手なんだけど、アニメ版と違ってモノローグがだいぶ少なくなってたのが功を奏したのと、桜の木の前のキスまでで留めてくれたのでなんとか耐えられた感じかな。さすがにあのシーン入れないと大人パートに繋げられないもんね。
大人パートではアニメにない部分も付け足されていて、貴樹は上司の久保田(岡部たかし)から紹介され科学館のプログラマーとして働くことになるんだけど、そこでプラネタリウムのプログラミングと音声解説まですることになるんだよね。ボイジャー1号と2号がそれぞれ別々の道を行くって話すところがとても好きでした。松村北斗くんの声もいいんだよな〜。
お互いがお互いのニアミスに気付きながらも待ち合わせ場所に行く貴樹と行かない明里(高畑充希)。なんだかこの対比が男と女だよな〜って思いつつボイジャー1号2号を想起させるのは上手いな〜と思った。
桜の木まで歩いた雪に残る足跡が、あの頃と違って1人分になっていたのも切なかったし、桜の木から落ちる花びらと雪が重なって綺麗で切なくて…なるほどこれが秒速5センチメートルなんですね。
エンドロールの1991もめちゃくちゃ沁みたなぁ…やっぱり米津玄師の楽曲で物語が更に完成される気がする。忘れたくない綺麗な場面が頭の中に次々に浮かんできて、更に余韻に浸ることができました。いい映画でした。
2007「秒速5センチメートル」との比較
アニメ版は新海誠監督の作品であり、内容補完のため監督自身が小説も書いています。今回の実写版はてっきり、その小説をベースにしていると思っていましたが、終盤にかなりの改編が加えられていて、結末の印象が大きく異なっていました。
大人の都合で生じた別離を、少女は受け容れたが、少年はいつまでも受け容れられず、辞職した時点(30歳)でようやく吹っ切れて前に進み始める。
…といったお話のはずが、再会の約束や、ニアミスが不自然に(あるいは奇跡として)組み込まれていて再び後退。アカリちゃんがなんか悪者。もうストーリー が別物なので、気が付いたのなら会えばいいじゃん、て感じ。でもそうなると「One more time, One more chance」の世界観から外れてしまいますね(笑)
せめて、再会の約束は無しにして、アニメ版の後日譚として、吹っ切れたあとの偶然の再会を描いてくれた方が納得できたかも。
アニメ版の「桜花抄」「コスモナウト」に該当する部分は実写化大成功。全体的に画も音もキャストも素晴らしかったので、改編さえなければアニメ版を超えていたように思います。
〈追記〉
今回 アニメ版を観返してみて謎が一つ解けました。何故 文通が途絶えたか? お互いに手紙が届くのを待っている描写があり不思議でした。おそらく、朝帰りしたアカリが両親の怒りを買い、手紙を隠すなど何らかの妨害があったのでしょう。そう考えるとスッキリします。
実写化の成功例
原作アニメ鑑賞済み。ストーリーが好みに合う合わないは置いといて、実写化したことのみに言及したら大成功だと思った。
日本の四季折々の風景、空、誰の心にも残っていそうな原風景が、フィルムの質感ある色彩で美しく描かれていて、写真家でもある奥山監督の手腕が遺憾なく発揮されている。
子役から種子島そして現在へのリレーに違和感がない配役も良かった。
特に物語のベースとなる子役時代を演じた2人の頑張りに拍手。森七菜も相変わらず良い。
モノローグで自分語りをしていた貴樹が終盤ようやく人前で心情を吐露する場面を松村北斗が繊細に演じる。こういう鬱々としたものを抱える人の心の機微の表現に妙に説得力があり上手い。ただこういう役が続いているので今後ガラッと変わった役を演じてみて欲しい。
原作よりも、貴樹が前を向いた感がある終わり方が良かった。けど、過去は過去としてちゃんと今を生きてる明里がこの話の救いかな。女性の強さ、みたいな。
それにしても
携帯もなく、中学1,2年の子が書置き一つで遠路はるばる好きな子に会いに行き、雪で交通が乱れて結局朝帰りとか、家族が絶対心配する要素満載なのに2人だけで完結してしまう、この肝となるエピにずっと納得がいってないから、やはり物語の没入度が低くなってしまうんだよな…
⭐︎4.2 / 5.0
静かに涙する
彼にとっての。追記4
一部で物凄く濃いファンの多い原作アニメ。散文的な原作の隙間を埋めるのであればやり方は無数にあるだろう。今作は奥山由之監督にとっての一つの回答と受けとらざるを得ず、それは個々の原作ファンにとって必ずしも最適解とは限らない。マタゾウにとっても。一本の新作として見ることはできず曇り切ったすりガラスを通して鑑賞。結論として、アリではあるけど俺のぢゃなかった。
まず大人になった明里を生身の存在として描くこと、更に2人の間に出会いそうな仕掛けを幾つか設けたのもチャレンジだ。しかし俺の明里ぢゃなかった訳だ笑笑。以下、それは置いておきましょう。将来会う約束をしていたという伏線を導入したのもンー。俺的には来てても来てなくても、意味が違ってきちゃうのよ。OMTOMCは月とキャベツのテーマとしての半ばメタ導入。ちょっとアレ思い出した、韓国人カップルがニューヨークで会う話。
小学生明里の白山乃愛ちゃんは絶品。森七菜もちゃんと高校生に見えたし、高畑充希も大人明里として違和感なく。松村北斗も漫画のような鼻筋と暗い顔で貴樹になっていた。そのほか男女とも役者には不満は無い。中田青渚はも少しでて欲しかった。
しかし貴樹はプラネタリウムで嗚咽してはいかん。そこまで館長に甘えてはいかん、あの場はあくまで静かに受け止めなくてはな。
奥山由之監督、アットザベンチよりは全然映画になってたと思うけど、今のところは弟さんの奥山大史さんの方が達者に感じた。兄弟で切磋琢磨してください。
あと、最近映画やテレビでプラネタリウム扱うの多いなあと感じた。みんな星は好きなんだな。
追記 「大丈夫」という言葉は「自信を失って大丈夫に見えない人に投げる言葉」ではないだろうか。
追記2 宮﨑あおいに勧められた「月とキャベツ」を見てどこに感動したのかわからないと言っていた高畑充希、これは伏線なのかなあ。「月とキャベツ」見てみないと。
追記3 皆さんのレビューを読んで色々思い直したりしますが、結局大人の明里が出てきても彼女がなぜ初恋を終わらせられたのかが少しも描かれていない点が唐突などんでん返し感を産んでおいらを置き去りにしたのかなと。そんなことはどうでもいいんですけどね。
しかしアニメ版同様だけど貴樹は種子島でなぜ過去に閉じこもってしまったんだろう…。
追記4 原作との最も大きな違いは、手紙が交換日記になったことではないか。手紙の場合、どちらからともなく途切れたり出し直したりもあるだろうが、交換日記は明確に途切れる。明里から来なくなったことで内気な貴樹は出せなくなってしまったと。…しかしどんだけ好きなんだ俺。
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