「実は「東日本大震災」まで後2年を切っている年の話だった。」秒速5センチメートル 孔明さんの映画レビュー(感想・評価)
実は「東日本大震災」まで後2年を切っている年の話だった。
アニメ版を見ていたので、観ようかどうか迷って今日劇場で観ました。
最初は原作と違い、大人になった貴樹の状況からスタートします。
プログラマーとして働き、社内の女性と付き合ってもいる。
しかし、貴樹の心はいつもどこか違う方向を向いていて、それが彼女にも気付かれてしまっている。やがて会社も辞めて恋人とも別れた。
その貴樹の高校時代は遠く九州の種子島。
種子島の風景が非常に奇麗で実は作中で随一の見所かもしれない。
転校生の貴樹に想いを寄せる同級生の女の子がいるが、やはり貴樹の心が自分ではない他の誰かに向いてしまっていると気付いて告白できずに終わった。
更に遡り、小学生時代。
転校生だった貴樹のクラスに更に転校生の女の子がやって来て、彼は席が隣り合っていたのでその女の子・明里と仲良くなる。
次第に二人だけの特別な仲となっていくが、女の子の家庭の事情で転校となり離れ離れになってしまう。東京の貴樹と栃木県の彼女との間でしばらく文通が続いたが、今度は貴樹の家が九州の種子島へ移ることになり、もう会えなくなると感じた二人は最後の逢瀬の約束を交わした。
そして当日は関東では珍しい大雪になり、電車が遅延して二人が再会できたのは深夜の日付が変わる頃だった。
再会に涙した二人は雪の中で以前から聞いていた桜の木を見に行き、そこでファーストキスを交わした。
その思い出はやがて大人になった二人を縛り付ける。
その男性側(貴樹)と女性側(明里)の対比と、想いの昇華の顛末である。
アニメより貴樹と明里の幼少期の繋がりを示すエピソードが多いのは良。
ただし、化石の話(ハルキゲニア)とかは無くなり、変わって宇宙や隕石の話が主題となっていた。
それと、中盤の高校時代の種子島のエピソードは上映時間中のウエイトだと結構長いのだが、そちらは現代においては昇華されていない。貴樹に想いを寄せていた高校時代のクラスメートも現代では登場せずなのは残念。
それと誰も言わないが、本編2年後に「東日本大震災」が起きて日本はパニックになる。
貴樹と明里の約束した隕石衝突の日よりも本当の意味での災難はそちらだった。
(同じ3月である)
本編から数年後に海外から帰国した明里は「貴樹という名前の男の子」を出産していて、貴樹も結婚して「明里という女の子」に恵まれていた。それから数年後にそれぞれの子供の入学式で再会するエピローグはどうですか?
自分の子供にお互いの名前を付けていたことでお互いに相手の気持ちを知り、やがて二人の子供たちが叶えられなかった二人の夢を二人に代わって叶えていく。貴樹と明里の血がようやくひとつに。孫の世代まで、半世紀掛かった!長かったよ!
そんな完結編。
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