「いつもどこかに、あの頃の気配を探している」秒速5センチメートル 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
いつもどこかに、あの頃の気配を探している
アニメのストーリーをすっかり忘れていた。おかげで、思惑通りにドキドキしながら、そして二人の行く末を見届けた。あれでいいのだよ。男と女は出会いと別れを繰り返す。そしてすこしずつ人に優しくなっていくのだよ。
まるで貴樹の人生のロードムービーのよう。距離をとって人と関わらなかった人生。他人から見れば穏やかに見えて、実は他人に気を許すことなく過ごしてきた。なのに、東京や種子島や栃木やらいろんな場所で彩りのある時間を過ごしている。その時間は何かに(いやはっきりと明里に)縛られてきた人生でもあった。それは無駄だったのか、尊い宝物だったのか。貴樹に出会ったきた女性たちにとっても、その出会いは宝物か無駄か。まあ、たいていの人間はそんな例えようのない人生を過ごしてきているよ。だから、刺さるのだよ。それまで出会いががどっちだろうが、今現在の貴樹を、今現在の僕を、作り上げてきたもの。誰かが言っていた、「人生に無駄はない。それを無駄にする人がいるだけだ」と。
コメントする
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。
