劇場公開日 2025年10月10日

「思い出から日常へ」秒速5センチメートル 双子座ABさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5 思い出から日常へ

2025年10月12日
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鑑賞方法:映画館

原作未鑑賞で公開初日に、原作鑑賞後に昨日と二回観ました。個人的には今作の方が映画としてぎゅっと心を掴まれました。新海さんより自分は少し年上なので貴樹が大人になった時代の空気感が伝わって、それに対する子供時代があまりにもキラキラとして淡く優しくて。貴樹が囚われても仕方がないという説得力を感じました。3時代のどの俳優さんも素晴らしかった。貴樹は同一人物としての一貫性を感じられ、明里は素敵な女性に成長していた。明里の中には思い出は日常として染み込んでいるという描写に人生を感じた。
花苗の恋する気持ちが隠しきれないさまも愛おしく、2人を見守る美鳥さんの存在は小川館長と共に人生で出会えたら幸せな大人だ。
たこ焼きのシーンは貴樹の頑なにうち(過去の思い出)に向かってぎゅっと閉じていた心がゆっくりと解きほぐれ始めるさまを松村北斗さんが繊細に表していた。
終盤の小川館長との会話のシーンも、非生産的と言っていた会話(人との関わり)を自ら始め、心情を露わに出来るようになった貴樹の変化を誠実に切実に感じさせており、一緒に涙が溢れました。
最後の水野さんとの会話も良かった。ずるいけれど、根は優しく、水野さんの体調を気遣うことが出来る貴樹の中に確実に子供時代の貴樹の存在を感じた。
印象的な風景も美しく、心に残っている。
ノベライズ本を読んだ後、また観に行く。

双子座AB
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