「何でこうなったのかな」秒速5センチメートル 新れいすけさんの映画レビュー(感想・評価)
何でこうなったのかな
ところどころ、響く部分があるんだが、いまひとつ全て繋がって、答えにならないような感情である。よって映画の評価がわからない。ただ、良い場面や風景、空気感、特に幼少期の2人のシーンは見ているだけで、優しさに包まれて、ノスタルジックで、ホロッとした。時間がゆっくりゆっくりと経過していく。時間が長く感じた。桜の満開、夕日や海の壮大な景色、私の故郷を思い出させる雪深い景色、凄く綺麗でした。星が流れて二人が駆け出すあたりも良かった。子供の頃に人間の原点ってあるなって、しみじみ思う。大人になるに従い沢山の付随するものが人間を複雑にする。
別れ、二度と会えない出会いがある。切ない。私にも思いあたる所はある。小1に転校してきたU.あやえちゃんが初恋だったが呆気なく転校した。あの時の子供ながらの喪失感はまだ微かに覚えている。その後もあったし、大人になってからもあった。
この映画の主人公(貴樹)と彼女(明里)は、雪中でなんとか栃木で再会した。駅の待合室のシーン感動的だった。しかし、主人公が鹿児島に転校になり、なぜその後、交換日記は途絶えたのだろう。距離感があれば、大人に近づけば、それぞれの新しい世界ができ、忙しくなっていけば、途絶えるのは自然かもしれない。しかし、主人公が30歳になるまで、引きづっていた。(彼女を想っていた。だから、待ち合わせの場所に向かっていたのでしょ)過去に決着をつけられなくなっていた原因は何なのか?つまり手紙、交換日記が途絶えることになった場面が描かれなければ繋がらないのではないのかと思いました。なぜ触れられてないのかな。。
明里は既に結婚している。既に叶わぬ恋だが、それは最後まで視聴者には、知らされず、見ている側には恋の成就を期待させるのだが、裏切られてしまう感じです。ハッピーエンドではないのねえ。。。
貴樹は、現在の会社で付き合う彼女と一緒に居ながらも、気もち此処にあらずといった感じ。高校時代も明らかに好意を持たれている女性と一緒に時間をあれだけ共にしながらも全く彼女に向き合って居なかった。泣いているのに声すらかけられない。二人の女性からみると主人公は随分と残酷な振る舞いをしている人間である。それって、なんなんだろうなあ。
彼は、何をどう考えていたんだろう。
最後に、言葉一つで良かったんだ。それが出てこなかったって終わってんだけど、それだけで、全て納得しないストーリーである。僕の理解が悪いのだろうか。。。
明里は、過去の思い出は「日常」だといい、会うことは無くても前向きに捉えている。比して、貴樹は過去の思い出を前向きに捉えていない。というのか整理出来ていないのかなあ。ただ、最後にそれが変わったのは、わかった。それは、彼女に会えなかったが、間接的に彼女の存在を感じ、彼女のメッセージを聞き、感じたものがあったということだろう。
随分、すれ違い、すれ違いをさせる。なんかのドラマみたいだな。
でも、あんな彼女といるときは笑顔だった貴樹君の笑顔がやはり大人になって、見たかったなあ、っていう物足りなさがある。
明里は、彼により照らされた。明里も彼といた時に一番幸せそうだった。
つまり、気持ちは同じでも叶わないことは沢山あるということなのだろうか。悲しい。月は太陽によって照らされた。それにしては、彼との関係性、終わり方がやっぱり中途半端だなあ。やはり、よくわからない。
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