「甘くて切なくて残酷」秒速5センチメートル キレンジャーさんの映画レビュー(感想・評価)
甘くて切なくて残酷
アニメ版、実はまだ観てません。
これから観ます。
公開初日に観賞。
ここ数年の、いろんな邦画の要素が良い意味で混在してる感じがした。新海誠の別作品はもちろん、「夜明けのすべて」とかはニュアンスもよく似てる。
まず役者陣。
これはもうサイコーです。
小中学生時代の二人も上手いし、高校時代の森七菜なんて、こんな「ナチュラルボーン高校生」他に誰もできないよ。
大人たちの抑えた演技も皆さん素晴らしい。
次にお話。
これも良い。
青春時代に差し掛かる前の、淡くて甘くて、でも切ない恋愛。
そして、全体は残酷でもある。
「願い」は、ちゃんと叶わないんだ。
それなのに、評価の★が私は今ひとつ伸ばせない。
それは、(この作品に限らず)クリエイターたちが「中学生時代」という幻想に、あまりにも期待と責任を負わせすぎているのではないかと思うから。
私は仕事柄中学生と多く接しているからということもあるが、もっともっと「親」という存在に依存しているし、支配もされている。現実の中1って、かなり子供だから。
そんな中学時代の女の子との思い出を頼りに、約束の場所へ赴く30歳男性は、(下世話な言い方で申し訳ないが)やはり「キモい」と思うんだ。
これがもしアニメ版で同じエピソードが描かれるならもう少し飲み込みやすいかも知れないが、やはり実写のリアリティとアニメのそれは明らかに違う。
ただ、ラストはそれをしっかり突き放して終わってくれて、良かった。
これで彼も実人生の一歩を踏み出したんだ。
映画としてはよくできていると思う。
またアニメ観て、感じることがあれば書きます。
【アニメ版観賞後】
ほらあぁ。
この実写版で、大人になった主人公をメインストーリーにして、それぞれのエピソードを時間を往復しながら描いたのは悪くないと思うけど、やっぱり大人になってから会いに行くのは蛇足だったんじゃない?
もう一つ言うと、実写版だと、貴樹がその気になればすぐに明里の居所を突き止められちゃうけど、それはこの終わり方には雑音になるのでは?というのが私の感想。
13歳なりの樹熱に溢れた恋愛が、大人になった今は当然薄れていき、ふと何かの拍子に頭をかすめる。そんな、アニメ版で描かれた恋愛観は、無情でありながら客観性のある美しさ。
この実写版はより叙情的でポジティブ、もしかしたらこの後…みたいなラストを描いている様に見える。
あとは好み…ってコトなんだろうけどね。
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