「忘れ物を取りに行く」秒速5センチメートル あんちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)
忘れ物を取りに行く
2007年に公開されたアニメ版「秒速5センチメートル」ほどファンに愛され、その後押しによって様々な副産物というか後追いのプロダクトが産まれた作品も稀だろう。漫画版や数種類の小説版が造られた。ただそれらは設定が微妙に変化したり、未確認(例えば手紙の内容とか)であったことが書き込まれたりしただけで、主人公たちの世界、未来について重要な要素に踏み込んだりしていなかった。つまり続編的なプロダクトはなかったということである。実写版もアニメ版の続編ではもちろんないが、主人公である遠野貴樹が希望と前に進む力を得るに至る新たなステップを描いているという意味では今までのプロダクトとは大きく異なっている。そう実写版は貴樹が忘れ物を取りに行く話なのである。
その前に、アニメの話を振っておく。全体で62分、三つの短編で構成される。「桜花抄」「コスモナウト」「秒速5センチメートル」である。前の二つが過去の物語であるのと違い、三つ目は現代(アニメ公開時点)の設定で、場所は東京である。ちなみに、実写版はこの三つの短編を完全に下敷きにしているのでおそらくアニメ版を観ていないと理解できないと思われる。
さて、遠野貴樹という人物は、親の転勤にともない、人と別れることに慣らされている。しかも心通わせた明里と雪の栃木で厳しい別れ方をしなければならなかったことが心を痛めつけた。だから、人には親切で優しいものの、人との付き合いに踏み込まず、誰にも心を開かない。「秒速5センチメートル」ではそのために恋人水野理紗も失い、なおも明里の姿をもとめて(「こんなところにいるはずないのに」)さまよい歩く姿が描かれている。
だからこの作品は遠野貴樹を救うために書かれた脚本に基づく物語なのである。脚本家は、そのために1991EVの地球到達日(2009年3月26日)の約束という設定を持ち込んだ。また西東京科学館(実際には多摩六郡科学館)のプラネタリウムや明里が勤める紀伊國屋書店などの舞台も。貴樹は、明里とすれ違い興水美鳥や小川館長に励まされながら自分のこころの洗い替えを進めていく。
それが映画の中の登場人物であるとしても人が救われる話は気持ちが良いものである。松村北斗は「夜明けのすべて」に続く「救われる役」。本作で、プラネタリウムやパニック障害など「夜明けのすべて」とかぶる部分が多いが偶然か?
アニメ版と同様、種子島のシークエンスは独立性が高い。驚くべき事に森七菜さんが初心な高校生を熱演。まだ結構、イケますね。
あんちゃんさま
共感とコメント、ありがとうございます🙂
東京生まれで東京住みだと、横浜はちょっとオシャレで特別な場所という感覚です。
山崎まさよしさんは、ミュージシャンとして芽が出ない時期に桜木町に住んでたので、あんちゃんと同じように明け方まで飲んでたんでしょうね🤭
こちらこそありがとうございます!
原作は知らないので深いとこの話は全然出来ないんですが小学時代から中学までの描写、あの地球滅亡の日に約束した桜の木の場所と凄く良かったし結構泣きました。
ただ思う様な展開にならないなぁ~ってのがぶっちゃけた感想です(笑)
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。