劇場公開日 2024年11月22日

「観たかったのはこれじゃない!!」リュミエール!リュミエール! TRINITY:The Righthanded Devilさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5観たかったのはこれじゃない!!

2024年12月5日
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鑑賞方法:映画館

知的

 10月29日、京都シネマにて観賞。

 冒頭、4人の女性が思い思いに男性遍歴や恋愛観を語り合う。今で言うなら女子会か。
 でも、なかなか自分が期待していたような内容にならない。
 不安になってチケットを確かめる。
 タイトルは『リュミエール』。
 チケットのQRコード通さないと入れないから、シアター間違えてる可能性もないし…。
 上映始まってるので、このまま見続けるしかないが、思わず心の中で自問。
(映画、間違えてないよね?!)

 …やっぱり間違えてました。

 本作『リュミエール!リュミエール!』は、シネマトグラフを開発したオーガストとルイのリュミエール兄弟が残したフィルムをコラージュした2016年のドキュメンタリー『リュミエール!』(ほんとはこっち観たかったのに…。紛らわしいタイトルつけるなよ!)の続編。

 初の上映作品と言われる『工場の出口』(1895)を中心に多くの記録フィルムが紹介されるが、そのいくつかに固定式カメラしかなかったことを逆手に絵画的な構図を取り入れていたことには驚き。
 写真館を営んでいたリュミエール兄弟の父は元々は肖像画家。父親の絵画の素養や知識を兄弟が継承していたからだろうか、時間にして僅か50秒のフイルムに観客を惹き込ませるコツを二人が会得していたことがシネマトグラフの興行としての成功に繋がったのかも知れない。

『工場の出口』と同じくらい有名な『ラ・シオタ駅への列車の到着』(1896年公開)がほとんど使われなかったのは『リュミエール!』で詳しく紹介したから?やはりこっちも是非観てみたい。

 残念なのは、字幕に気を取られて画面全体に目が届かない箇所が多かったこと。
 基本的に洋画は字幕版でしか見ないが(俳優の本当の表現力が伝わらないから)、本作やアート系ドキュメンタリーのような作品なら逆に吹き替えの方がいいと思う。

 作品の終幕にはF・コッポラが『工場の出口』を再現した映像が挿入されている。
 こんなの要る?!と思ったら、2021に他界した映画監督ベルトラン・タヴェルニエ(前作『リュミエール!』の製作者)へのオマージュだった。

 彼のほかの作品は知らないが、『ラウンド・ミッドナイト』(1986)は何度も観た大好きな作品。お悔やみ申し上げます。

 ちなみに冒頭引用したのはフランスの名女優ジャンヌ・モローの監督デビュー作。
 下調べせずに見に行った自分もバカだが、ドキュメンタリー『リリアン・ギッシュの肖像』(1983)と併映したり劇場も引っ掻ける気満々?!
 自分のような「被害者」がほかにいないことを祈りたい。

TRINITY:The Righthanded Devil