「エマニュエル人」エマニュエル こうたさんの映画レビュー(感想・評価)
エマニュエル人
「エマニエル夫人」とは関係のない「エマニュエル」という映画です。
「エマニュエル」はセクシーな映画ですが、「エマニエル夫人」は美しい映画です。
「エマニエル夫人」へのオマージュはあるのですが、性の解放を誘う美少女がアジア人痴女になっていたり、クライマックスの性の知的探求がただの羞恥プレイになっていたりです。
これでは「エマニエル夫人」ではなく「エマニュエル人」です。
私は「エマニエル夫人」になるのが夢ですが、「エマニュエル人」にはなりたくありません。ただの野蛮人ですから。
ナオミ・ワッツとスカッシュせんのかーいです。
「エマニエル夫人」がボッティチェリの「ヴィーナスの誕生」だとしたら、「エマニュエル」は二科展入選作と言うしかありません。
仕方ないのです。相手が「エマニエル夫人」なのだから。
「エマニエル夫人」に対抗出来る人物など「市民ケーン」ぐらいです。
「エマニエル夫人」のシルビア・クリステルを思う時、私はカルチャー・クラブのボーイ・ジョージを思い出すのです。
天衣無縫な純粋さと、不思議な清潔感。
性革命の二大スーパースターにしかない魅力だと思います。
ボーイ・ジョージと同じ事を違う人がやったとしても、一世を風靡する事は無かったわけで、「エマニエル夫人」のシルビア・クリステルに関しても同じ事が言える訳です。
ノエミ・メルランは大変魅力的ですが、「エマニエル夫人」を演じたシルビア・クリステルは奇跡です。
しかし、太陽の下にエロスの女神が降臨したのは、世界がエイズパニックに襲われる前のほんの僅かの時間でした。
あれから幾星霜。
「エマニュエル」は暗闇の中の地母神の祈りの映画なのかもしれません。
固く閉じた貝がふたたび開かれる日のための。