「期待度△鑑賞後の満足度△ 50年の時を経て“受動的”な『エマニュエル夫人』から“能動的”な『エマニュエル』へ。でも雰囲気だけの映画であることに変わりはないか。」エマニュエル もーさんさんの映画レビュー(感想・評価)
期待度△鑑賞後の満足度△ 50年の時を経て“受動的”な『エマニュエル夫人』から“能動的”な『エマニュエル』へ。でも雰囲気だけの映画であることに変わりはないか。
①『あのこと』の監督作だから“もしかしたら…”という淡い期待は完璧に裏切られました…
②50年前の『エマニュエル夫人』公開時の姦しかったこと。“女性が人目を気にせずに観に行けるポルノ映画”とか、籐椅子に座ったシルヴィア・クリステルの組んだ足の奥が見えるとか見えないとか、下世話な話題で盛り上がっていたことを当時中学生になったばかりの私は覚えております。
時代は21世紀に入り日本も令和となり世の中も女性やセックスに関する価値観も変わってきたので、50年前のままに再映画化したら何処かからクレームが付くのは必至でしょうから、「夫人」は「キャリアウーマン」となり、他者から教えを受けて官能の喜び(つまり「ああ、いいわ」)を追及する女性から、自分から官能の喜びの探求者となりました。
②意味ありげなカットの挿入が多いけれども題材は若い女性の官能の探求なので、それを暗喩するカットやメタファーを持って来られても、最早そういうのどうでもいいや、という観客には響きません。
次の客を迎える為のベッドメイキングを含む客室掃除のシーンとエマニュエルの化粧のシーンとを交互に撮すところがあるが、“そうか、新しい客を迎えるお部屋直しと女性のお顔直しは同じことなんだ”と思わされて、監督の皮肉がちょっと感じ取れたところは面白かったけど…
③大好きな『燃える女の肖像』に主演しているノエミ・メルランがエマニュエルを演じていることもこの映画を観た動機の一つだけれども、もともとしっかりした顔立ちなのでキッチリとメイクアップすると結構キツイ印象になるのがわかって魅力半減。でも結構美乳なのがわかって良かった?(って今の時代、こんなことも書いたら駄目なのかしら)
ただ、男が上半身裸をスクリーンで晒すのなら女性が晒して何が悪い、と私は思います。
④エマニュエルが心引かれる男が日本人というのも痛し痒しですが、日本人には見えないよなぁ。
⑤ナオミ・ワッツのヘレン・ミレン化が進んでいることも少々ショック。
こうなったら親友ニコール・キッドマンみたいに整形を繰り返してボトックス入れまくりの硬直した顔になるのではなく、イギリスの名女優さん達みたいに(元々美人女優で売っていた人達ではなかったこともあるけど)自然に任せた年の取り方をしてヘレン・ミレンの様に演技派女優まっしぐら、を目指しましょう。