「これはフィクションです」劇場版TOKYO MER 走る緊急救命室 南海ミッション toshijpさんの映画レビュー(感想・評価)
これはフィクションです
現実的に考えたら、あの状況で島に上陸したらきっと2次災害が
発生して被害が拡大する。噴石が飛んでくる範囲が広いから、
そもそも島に近づくことさえ危険だ。
だから「今行くべきではない」が正論だと思う。でもそこで話が
終わったらドラマにならない。行って何とかなるのがフィクション。
何とかなってしまうのがご都合主義ではあるが、ご都合主義を一切
受け入れなかったらスパイアクションなどは全く楽しめないだろう。
フィクションはフィクションとして受け入れるなら、今作は架空の
話としてよくできた、最高のエンタメ作品だ。
”待っているだけじゃ、助けられない命がある”というのが主人公・
喜多見幸太(鈴木亮平)の信条だけに、今回も差し迫る危険や困難を
ぎりぎりのところでくぐり抜けながら医療に当たる。
あんなにうまく行くのはただ運が良かっただけ?確かにそうではある。
しかし、ただ運に身を任せているのではない。置かれた状況の中で
今何が可能かを冷静に判断し、その時点での最善を尽くす。その先に
光明が見えてくるのだ。ここが大切。
強運を引き寄せる人には特徴があって、それはある事柄を達成する
ために弛まぬ努力をしている人。自分はそう信じている。なので
この映画で描かれていることに納得できる。
人と人との協力関係も大切。一人の力は小さくても、みんなが知恵を
出し合い力を合わせることで問題を解決していくことができる。
フェリー・特殊車両NK1・東京の対策本部という多元での情報共有も。
この映画では登場人物の連携が素晴らしい。通信が途絶えても、先を
読んで次の事態に備える。連携がうまくいったのは普段から意思の
疎通ができていたからだろう。
登場人物それぞれが良く描かれていて演者の演技も素敵だった。
治療にあたる場面での無駄のない動き。役者さんが演じているお芝居
ではあるのだが、この人たちが対応してくれたらきっと大丈夫、
という安心感を感じる。
レギュラーメンバーのほか、牧志秀実(江口洋介)以下南海MERの
メンバー、島民たちもそれぞれ良かった。
個人的には東京の対策本部を仕切る音羽尚(賀来賢人)に一番
魅力を感じた。頭が良くて行動力もあるし、とにかく”できる男”だ。
対策本部に諦めムードが蔓延しそうになった時「諦める?ふざけるな!
島にいる人々は誰一人諦めていない!」と一喝するのは胸がすく。
続く言葉でその場の者たちを鼓舞していくのだ。彼の存在が全体を
引き締め、ミッションを成功に導く。采配も見事だった。
架空の話だが映像は本物らしさを追求していて見応えがある。劇場での
鑑賞、もし可能ならIMAXでの鑑賞を強く薦める。撮影自体はIMAXの
フォーマットではなかったかもしれないがアスペクト比がIMAXに
合わせてあって、スクリーンいっぱいに広がるスペクタクルが味わえる。
音響ももちろん迫力があって最高の映画体験ができる。
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