「良かった」名もなき者 A COMPLETE UNKNOWN ゆり。さんの映画レビュー(感想・評価)
良かった
子供の頃からボブ・ディランの名前は知っていましたが、特に興味は無く、USA for AFRICAで初めて本人が歌う姿を見ても、メロディーに沿ってない歌い方も声も好きになれませんでした。
本作を観ようと思ったのは、予告編のティモシー・シャラメがカッコ良かったからです。
ディランの曲は「風に吹かれて」と「ライク・ア・ローリングストーン」をちょこっと聞いた事があるだけだから、知らない曲だらけで眠くなってしまわないように、前日に30分ほどYou Tubeを視聴しました。歌詞がいいなと思いました。そんな感じで鑑賞です。
まず、「ライオンは寝ている」から始まり、音楽映画として楽しいです。シャラメだけでなく、他の俳優の歌もとても良いです。
本作では若きディランが、才能を見い出されて一気にスターになったものの、周囲の期待と自分のやりたい事とのギャップに違和感を抱いていく姿が見られました。
ボブ・ディランという人は、気難しく、気まぐれで、いい加減な所がありますが、音楽への思いは真剣だと思いました。真面目に努力するというのとは違うかもしれないけど集中力がすごい。
詩のセンス、時代の流れを感じ取るセンスが天才的なんでしょうね。
フォークのファンがエレキギターを嫌うのは想像がつきますが、既存の曲に満足して新しいものを中々受け入れない、新曲さえ、というのはちょっと驚きです。
本作のニューポートフォークフェスのディランの演奏は最高でしたが、ブーイングの嵐が起こると同時に拍手喝采もありました。今の感覚では、これのどこが悪いんだろうと思ってしまいます。
大音量だけど芯の部分はブレていないと感じます。
余談。
子供の頃は地味で暗い、と好きではなかった日本の70年代フォーク。今はメロディや歌詞がきれいだなと思います。日本のフォークは情緒的ですね。
私が本場のフォークの方に興味が持てなかったのは、電子オルガン(エレクトーンの事ですが他社なので)の教材として知ったからかもしれません。シンプルだから、初級用のテキストによく載ってましたが、それだとフォークの魅力が分かりません。フォークは歌詞があってこそだなと思います。
共感ありがとうこざいます。
予習して望んだんですね。
わたしは圧しの俳優のシャラメだけで観ているので。
情熱は感じましたけど歌に関しては自分の好みではなかったのかな
当時のアメリカの音楽はジョンデンバーのカントリーロードとかの曲が流れてましたね。
私も女子の味方なんで、あんなチャラ男に振り回される女の子を見ると、胸が痛みます…アノーラといい、シルヴィといい、今だにいつだって男女は対等じゃないですよね。
コメントありがとうございます。
S&Gは「明日に架ける橋」など本当に好きでした。
その後の解散時の罵り合い・・・なのに何度も
再結成を繰り返す商業主義に、とてもがっかりでした。
詞や曲と本人がかけ離れているのが嫌ですね。
その点でもボブ・ディランは、良いですね。
やはり歌詞が素晴らしいですね。
エレキギターに持ちかえても、
芯の部分ではブレていない・・・
私はサイモン&ガーファンクルが好きでした。
その後のゴタゴタをみると、ウンザリです。
ディランは、自分もファンも裏切っていませんね、
そんな気がします。
あんちゃん様、コメントありがとうございます。こうでなければならないと枠にはめて可能性を狭めるのは勿体ないですよね。特に、周りがやるのは良くないです。
そういえばカーペンターズの”Goodbye To Love”も、エレキギターを取り入れたことで、当時は彼らの良い子のイメージを壊すと批判があったらしいです。
感情の盛り上がりを表現しててすごく良いと思いますが。
共感ありがとうございます。自分は2000年代に入ってからのディランのしわがれ声のロックがやや苦手であまりいい印象は持ってなかったのです。でもこの映画の最初の方、ウディ・ガスリーの病室で歌う曲と、ピート・シーガーの家で歌う曲の2つはしみじみ良いと思いました。別にフォークとかカテゴリーは関係なく魂に届く歌というのはあるんですね。
勝手なイメージを持たれて反発する、というのはディランだけではないですね。U2のボノも、”With or without you”のMVがストイックでまるで伝道師のようだ、と絶賛されましたが、本人はかなり嫌がったと聞きます。その後敢えて(?)悪趣味とも言えるMVを作ったり、尖がったことをやりたいのはディランと似ている気がします。