劇場公開日 2025年2月28日

「答えは風に吹かれて…」名もなき者 A COMPLETE UNKNOWN たまさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0答えは風に吹かれて…

2025年3月4日
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ボブ・ディラン、シンガーソングライターで初めてノーベル文学賞を受賞した人だ。

今作、1961年〜65年。ディランが、ギター1本片手にミネソタからNYに出て来て、瞬く間にフォーク世界より時代の寵児となり、瞬く間にロックサウンド世界に疾走していく。
その5年間を切り取った音楽青春映画である。
J・マンゴールド監督作。
ある人の特定の時間についての物語であり、歌で多くの事が伝えられる世界についての物語だとも述べている。

この時代のエネルギー、バイタリティが横溢する映像。時代の熱が伝わってくる描写。
この時代、アメリカは激動の時代。黒人公民権運動の高まり、JFK大統領就任と暗殺、キューバ危機…
65年にはベトナム戦争にさらに足を踏み込む北爆が始まる。
そんな時代にディランは世界に姿を現してくる。

素晴らしいのは俳優陣の歌唱力。ティモシーシャラメが存外に良かった。相当なトレーニングをし、ディランになりきっている。ジョーンバエズを演じるモニカ・バルバロ、エドワード・ノートンらが歌う力。音楽と歌詞が渾然一体となり物語を駆動させる。

バエズ演じるモニカ・バルバロもアカデミーにノミネートされている。その歌唱力には驚いた。トップガン・マーヴェリックにも出演、注目される女優の1人。

音楽伝記映画で私が感銘をうけたのは、ボヘミアンラプソディー。クィーンのフレディマーキュリーの半生を代表曲とともに描いた傑作だった。
今作はまた違った味わいを持つ秀作。

ディランの5年間、そこからの疾走、ジャンルの壁を破り、時代の壁を乗り越え、さらに走り続ける。
たどり着いた場所から、また次の場所へ…
天賦の才をもつものは、周囲との軋轢を生んでしまいがちだがこの映画でも同様である。

劇中、ディランは『風に吹かれて』をずっと歌い続けろ、とでも言うのか、とフォークの世界からロックへも向かう。
ディランを見出した恩人とも言えるピートシーガーのもとからも離れていく。

その後も周知の通り、時代は変わる、ライク・ア・ローリングストーンなど、名曲を生み出していく。

世界で最も知られているであろう『風に吹かれて』の歌詞は哲学的でもあり、普遍的で胸に残る。

どれほど道を歩めば 人として認められるのだろう
どのくらい白い鳩は飛び続ければ 砂浜で安らげるのだろう

どれだけの砲弾が飛び交えば 殺戮をやめさせることができるのだろう



人はどれほどの時間を過ごせば 自由の身になれるのだろう
人にどれだけ多くの耳があれば 悲しみの声が聞こえるのだろう

友よ その答えは風に吹かれている

たま
たまさんのコメント
2025年3月12日

トミーさん
共感、コメントありがとうございます。
ディランの曲、仰るよう歌詞がまさに詩になっていて溢れてくる感じですよね。
音楽メロディラインなども当然大事だとは思いますが。
ほんと、ジョーンバエズの偉大さをこの映画で改めて知りました。

たま
トミーさんのコメント
2025年3月12日

共感ありがとうございます。
ディランに限らんのかも知れませんが、言葉がとめどなく出て来る歌詞は凄いなと思います。イェーとか同じ言葉の繰り返しの歌がちょっと恥ずかしいですね。
初見で歌えるバエズ凄すぎとも思いますが。

トミー
たまさんのコメント
2025年3月5日

sugar breadさん
こちらこそありがとうございます。
よろしくお願いします。
モニカ・バルバロ、圧巻でしたね。
ジョーンバエズの歌唱を昇華させ、さらに自分のものにしたような…。
ティモシーシャラメとのデュエットもよかったですね。

たま
sugar breadさんのコメント
2025年3月5日

たまさん 共感とフォローありがとうございます。よろしくお願いします。
モニカ・バルバロ マーヴェリックの士官候補生から打って変わった役でしたが、めちゃくちゃ歌上手かったですねー。ビックリです。

sugar bread
たまさんのコメント
2025年3月5日

ゆ〜きちさん
共感、コメントいつもありがとうございます。
ノーベル文学賞とるだけのことはあるかな、と。
心に残り続けます。

たま
ゆーきちさんのコメント
2025年3月5日

共感ありがとうございました。

わー、やっぱり日本語訳はいいですね。「愛という名のもとに」を思い出しましたー♪

ゆーきち