「【”ライク・ア・ローリング・ストーン”若きボブ・ディランが、世相を鋭く突き、大衆に迎合せず自らの歌を追求する姿を描いた作品。ティモシー・シャラメ自身の歌による名曲の数々が心に響く作品でもある。】」名もなき者 A COMPLETE UNKNOWN NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”ライク・ア・ローリング・ストーン”若きボブ・ディランが、世相を鋭く突き、大衆に迎合せず自らの歌を追求する姿を描いた作品。ティモシー・シャラメ自身の歌による名曲の数々が心に響く作品でもある。】
■1961年、ニューヨーク。19歳のボブ・ディラン(ティモシー・シャラメ)は病に倒れたウディ・ガスリー(スクート・マクネイリー)の病院を訪れ、偶々見舞いに来ていたピート・シーガー(エドワード・ノートン)の前で歌を披露し、その才能を認められ、フォークシンガーとしての活動を始める。
キューバ危機など、時の世相を鋭く突いた、”風に吹かれて””時代は変わる””ミスター・タンブリングマン”とヒット曲を立て続けに世に出し、彼は時代の寵児になっていく。
が、彼の歌は大衆に迎合する事無く、自らが求める歌に変化していくのである。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・まず驚いたのは、ティモシー・シャラメ自身がボブ・ディランの名曲を歌う時の演奏シーンやあの独特の歌声を再現している点である。
”吹き替えじゃないよな!”と思いながら観ていたが、エンドロールで彼自身のパフォーマンスである事を確認し、その役者根性に驚く。
更に言えば、猫背気味の歩き方なども、ソックリである。
ご存じの通り、ティモシー・シャラメは、「君の名前で僕を呼んで」で、その美顔により一気にスターダムに躍り出た人であるが、今作では当時から発揮していた演技力の確かさも、証明しているのである。
・ボブ・ディランが、彼の畢生の一曲”風に吹かれて”のメロディを、フォークフェスで知り合いその後長く恋仲になったジョーン・バエズ(モニカ・バルバロ)の部屋でギターを弾きながら歌った時の、彼女の驚きの顔。
その前後に、TVやラジオで米ソ冷戦の報道が流れているさり気無い演出も効果的である。
・ボブ・ディランのもう一人の恋人シルビィ(エル・ファニング)が、ステージでジョーン・バエズとデュエットする彼の姿を舞台袖から見ていて、涙を流しながら去るシーンと、彼女を港まで追いかけて、ディランが煙草に火をつけ金網越しに咥えさせて上げるシーンも、趣タップリである。
■今作のクライマックスは、65年のニューポート・フォーク・フェスティバルで、ディランが”脱フォーク”を掲げ、エレキギターで3曲披露するシーンである。アコギのヒット曲を期待していた観客たちから”ユダ!”などと罵られ、激しいブーイングを浴びる中、彼が後に名曲となった”ライク・ア・ローリング・ストーン”を、全く怯まずに歌うシーンである。
正に、”転石苔むさずの如く”、ボブ・ディランが40枚!ものアルバムを出し続け、ノーベル文学賞を受賞した要因が、彼の時に世相を鋭く突き、時に大衆に迎合せず自らの歌を追求する姿にあると私は思うのである。
<今作は、若きボブ・ディランの、時の世相を鋭く突き、大衆に迎合せず自らの歌を追求する姿を描いた作品であり、ティモシー・シャラメ自身の歌による名曲の数々が心に響く作品なのである。>
共感ありがとうございます。
エルファニング可愛かったですよね、折角タンデムで連れて来たのに(ノーヘルで)・・。
別の映画で、ディランはグラサンを定期的に変えている!と言われましたが、今作でもちょっと変えてるみたいでしたね。