劇場公開日 2025年2月28日

名もなき者 A COMPLETE UNKNOWNのレビュー・感想・評価

全384件中、1~20件目を表示

4.5ベロンとした顔の自由で骨太な魂

2025年3月13日
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「その昔ステージで石を投げられたらしいよ」
音楽好きの友人がレコードジャケットを眺めていた私にそんな話をしてきた。「どうして?」と理由を尋ねると「フォークシンガーなのにロックを歌ったから」と友人は答えた。私はそのジャケットに写ったアメリカ人の顔をまじまじと見て「特徴の無いペロンとした顔だな」などと思った。更に別のアルバムジャケットに目を向けると女の子と腕を組んでいるではないか。あはは、なんと軟派な人だろう。
まさにその人物こそボブディランである。
映画「名もなき者」は若かりし日のディランが蘇り歌っているような臨場感がある。
ベロンとした顔立ちにハニカんだ眼差しをした青年はワザと力を抜いたような歌唱法で誰よりも力強くギターをかき鳴らし自作の歌を歌いあげる。私は映画館ではなくライヴハウスに居るような気持ちになり気がつけば劇中で歌うディランに何度も拍手をしていた。いや正確に言うとディランにではない。ディランを演じるティモシーシャラメにだ。
フォークソングにとらわれずブルースやロック、全ての音楽、そして本当の自由を愛したディラン。自由を愛するなんて簡単なことではない。凡人の自分にはまず無理だ。でもそんな彼だからこそ愛する恋人と身を寄せ合う写真がジャケットになり石を投げられてもステージで歌い続ける事が出来たのかもしれない。それをシャラメ青年はしっかり体現し観客を魅了している。
この映画はペロンとした顔立ちの若者がいかに自由で骨太な魂の持ち主であったかを改めて知る機会となった。
それはそうと、帰り道ミスタータンブリンマンを電車内で口ずさんでしまい恥ずかしかったな。

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ychiren

5.0ただ、風に吹かれただけ

2025年3月11日
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猿田猿太郎

4.0キャストの生歌唱が圧巻、音楽映画として見応えあり

2025年3月1日
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ニコ

3.5似ているがゆえの不気味の谷現象

2025年2月28日
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映画.comのインタビュー記事で、監督が「天才がやってきて、事を成して世界を変えて旅立っていく寓話」と表現していて、なるほどと思った。この映画では、登場したときからディランは天才で、その天才っぷりを堂々と見せつけて、次のステージへと進んでいく。表現者の物語として、いささか盤石すぎやしませんかと感じてしまったが、天才が降ってきて去っていく寓話なのだと思えば、合点がいくといえば合点がいく。

とはいえ熱狂的なディランファンではないが、それなりに聴いたり読んだり聞いたりしてきた者としては、あまりにも有名なエピソードが連なっていて新鮮味には欠ける。ディランというひとは究極のカッコつけだと思っていて、実像と虚像の間にある矛盾にこそ興味があるのだけれど、矛盾に踏み込んでいるのはサーカス出身というホラ話くらいで、むしろディラン伝説の背景にいた人たちを通じて時代の空気みたいなものを感じられたことが良かった。

シャラメの演技や歌に関しては、最初に書いたように寓話であるなら納得はできるが、正直、とても似せていることで自分の中で「不気味の谷現象」が起きてしまっていた。街でシャラメが歌うボブ・ディランがかかっていても、劇中の歌に耳を澄ませてみても、どうしても近似値であるがゆえの差異が気になって、「これはディランではない」と思ってしまうのだ。

贅沢を言うと、伝記映画が完全にそっくりである必要はなく、核のようなものをつかんでくれていれば、あとはこちらが脳内補完しながら「この映画のディランはコレだ!」と思って楽しむことができる。例えばオースティン・バトラーの『エルヴィス』は成り切ってはいたがすごく似ているのとは違って、むしろエルヴィスのエネルギーを演じているようなところがあった。コロナ禍で練習する時間がわんさかできて、シャラメがよりディランに近づけて歌ったり演奏できるようになったと聞くが、むしろコロナ禍前の状態で聴いてみたかった気がする。

まあ、この辺の印象は、ディランにどんなイメージを持っているか、持っていないかによって大きく異なると思いますが。

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村山章

5.0シャラメの弾き語りが素晴らしい、最高の音楽映画

2025年2月28日
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悲しい

楽しい

本作については当サイトの新作評論とジェームズ・マンゴールド監督インタビュー記事の2本を寄稿したので、ここでは記事で書ききれなかったトリビアなどを紹介したい。

ティモシー・シャラメがボブ・ディランを演じる本作の企画が始動してから、コロナ禍と業界ストライキの影響で製作が5年停滞し、その期間にシャラメは歌とギターとハーモニカを猛特訓した。シャラメ自身が歌った音源が本編で使われ、それがディラン曲の魅力を見事に表現しており素晴らしいのは各所で紹介されている通り。

ただ、資料などを見てもギター演奏の音源が使われたかどうかは確認できなかったので、マンゴールド監督に直接尋ねてみた。すると、アコースティックギターの演奏も確かにシャラメが弾いた音源を使っているとのこと。ヴォーカルのわずかなピッチのずれやギターの細かなミスタッチなどは録音後にデジタル編集で修正しているものの、間違いなくシャラメ自身の演奏で、プロのミュージシャンによる音源を差し替えたりはしていない。さらに、序盤のウディ・ガスリーの病室で弾き語るシーンでは、修正を一切せずシャラメが弾き語った音源をそのまま採用したことも教えてくれた。

プロのミュージシャンが出演した映画や、元々俳優業と音楽活動の二足のわらじで活躍しているスターの出演作は別として、専業の俳優が自身の歌と演奏を披露した音楽映画としては歴代最高レベルの出来だと個人的に思う。近年ではラミ・マレック主演作「ボヘミアン・ラプソディ」が大ヒットし評価も高かったが、歌はフレディ・マーキュリーの音源に差し替えられており、つまりはフレディの超絶ヴォーカルとクイーンのバンドサウンドの魅力に負う部分が大きい。もちろん、「名もなき者 A COMPLETE UNKNOWN」の場合は扱う音楽ジャンルがフォークだったことも重要だろう。マンゴールド監督はフォークが歌い手のありのままの声を大切にする音楽であり、俳優の演技に別の歌手の音源をあてた映像では真実味から遠くなる、嘘っぽくなるという趣旨のことも話していた。だからこそ、シャラメの弾き語りが単なるディランの物真似でなく、シャラメの人間味を感じさせる表現になることが鍵だったし、彼の特別な献身がそれを可能にしたのだろう。

評論で書いたように、本作は音楽映画としてだけでなく、周囲の人々も描く人間劇、60年代前半の米社会の激動期を伝える実録としても楽しめる。音楽好きのみならず、幅広い映画ファンにおすすめしたい傑作だ。

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高森 郁哉

4.5贅沢で厚みと深みと高揚感に満ちている

2025年2月28日
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ディランについて代表的な数曲くらいしか素養のない自分だが、本作は直球で胸を貫いた。マンゴールドの演出が観客を裏切らない手堅さと人の情を持ち合わせていることは明らかだが、車でフラリと現れる若者がいざ病室でギターを奏でるや、キンと響く歌声がその場の空気を豹変させていく魔法のような瞬間をマンゴールドは不意に涙があふれるほど絶妙に捉えている。これは生まれてから老いるまでを網羅した伝記ではない。描かれるのはキャリアのほんの初期にあたる60年代だ。シャラメは天賦の才能に満ちそれでいて転石の如く変わり続けるカリスマを見事なパフォーマンスで体現。彼ならではのディラン像と独特の歌声が溢れゆく様はどこを取っても至福と呼べるほど素晴らしい。と同時にノートンを始め共演陣がどれも実にいいのだ。彼らがいるからこそシャラメ=ディランは輝く。ゆったりと贅沢で厚みと深みがあり、伝説が生まれる高揚に満ちた141分と言えよう。

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牛津厚信

4.5フォークのメロディがいっぱいの幸せな人物伝

2025年2月26日
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楽しい

興奮

ボブ・ディランが若い頃から耳に残るメロディで人を惹きつけ、女性たちにも愛され、時代の波を転がりながらサーフしていく。フォークソングの枠に収まることを嫌ったディランは、そうしてジャンルを超えたメロディメーカーとして選ばれた人生を流れるように突き進んでいく。

そんなディランの若き日を監督のジェームズ・マンゴールドはマニアック過ぎず、奇をてらわず、過剰なドラマ演出を排し、時代を彩ったフォークソングを全編に溢れさせながら再現している。そこがいい。これはギターとフォークに夢中になった'60年代世代はもちろん、ディランを知らない世代もギターの爪引きと歌声に取り込まれる贅沢で幸せな時間だ。

だから当然、ディランを演じるティモシー・シャラメをはじめ、実在の人物を演じる俳優たちは全員、吹き替えなしで撮影に臨んでいる。まるでフォークソングで時代を描いた映画のようでありながら、しかし、最後はボブ・ディランという天才の人とは違う生き方に着地させる。さりげなく、巧みな構成は今年のオスカー候補作の中でも抜き出た存在だ。

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清藤秀人

4.5The Artist's Burden

2025年1月30日
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楽しい

興奮

Chalamet is the weirdo with sex appeal that perfectly matches Bob Dylan's persona. Even if one is not a Dylan fan, Chalamet's guitar and vocal rendition makes it one of the most impressive and toe-tapping musical biopics in God knows how long. Complete Unkown catches the gist of 60's America, culturally revolutionizing itself in the Cold War, while this film is at ease having fun with itself.

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Dan Knighton

4.0奴らの敷物に泥を

2025年5月10日
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こころ

2.5一つの時代

2025年5月3日
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ムービー好き

4.0ティモシー・シャラメだったので

2025年4月24日
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ボブディランは風貌や歌い方もあまり好きでは無かったのですが、ティモシー・シャラメがどの様な演技をしてくれるのか、何故、ボブディランがそこまで凄い人なのか興味があり観てきました。
何と無く時代背景もわかり、一躍スターになったと言うのも納得でき、あらためて聞いたことのある曲がたくさんある事に気づき、ベスト盤を購入してみようかなぁと思いました。
ティモシー・シャラメはウォンカとか、DUNEを観ていたので、また素晴らしい演技派の役者さんだと再認識しました。

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yurilyn

5.0恋愛映画

2025年4月20日
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興奮

幸せ

アカデミー会員から無視されてかわいそう。
最近は90分でも長く感じる作品多いが2時間20分が短く感じた。
歌はもちろん良いが映画の王道3人の恋愛関係がうまく描かれていて良かった。

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miyasan

3.0ボブ・ディランは全く聴かない。それで鑑賞してみた。

2025年4月19日
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タイトルに書いたように、私はボブ・ディランを全く聴かない。勿論、名前は知っている。一部の有名な曲も知っている。が、自分から聴こうしたことは1度もない。

ノーベル賞文学賞を受賞したし、伝記的事実も知りたかった。私の前の世代はフォーク全盛だった。私達はビートルズの洗礼を受けて育った世代だ。
この映画でボブ・ディランは、改革者であろうとしたことは理解した。

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いなかびと

3.5上澄みだけのボブディラン

2025年4月7日
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楽しい

幸せ

もっとボブディランの人生に深く突っ込んだ映画かと思ってた。
冷静に考えてみれば、まだボブディランも生きているんだから、そんなドロドロした汚い自分を描かせるわけないよね。
ティモシー・シャラメの顔みたいにきれいなところだけ切り取った、プロモーションビデオみたいな映画。

あ、決して面白くない映画ではないです。
まあ、ボブディランのコンサートに来たと思えば映画料金の元は取れるかな。
(ティモシー・シャラメのコンサートだけど 笑)

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ジミー

4.0追憶のハイウェイ・ドライブ

2025年4月6日
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ボビーの繊細さとふてぶてしさ
シャラメが見事に体現していて驚き!
ボヘミアンラプソディはジェットコースター
エルヴィスはメリーゴーランドならば
名もなき者はバイクの旅路そのものだ
出会う人、流れる景色、アメリカ。
胸がいっぱいになった。

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青樹礼門

3.0天才の半生

2025年4月4日
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楽しい

知的

幸せ

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セッキーかもめ

5.0吉田拓郎とガロも

2025年4月4日
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私がボブ・ディランを知ったのは、少年の頃に聴いた「ガロ」の「学生街の喫茶店」の歌詞にボブ・ディランが登場した時でした。
この映画を見て ボブ・ディランが日本のフォークソングに影響を与えたのがわかります。
私も 映画を見ながら、揚水のヘアースタイルや拓郎の歌を思い出しました。

映画を見てから
ウキペディアでボブ・ディランを検索してみたら、「ディランは盗作野郎で、名前も声もインチキ、まがいもの。」らしいです。さらに映画を楽しくさせてくれました。

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じゅん

4.5若きボブディランの出会い

2025年4月4日
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若かりし頃のボブディランの出会いとデビューからヒットまでの作曲の方向性がわかりやすい作品でした!
ボブディランが全盛期を迎える時期が描かれているので、終始、フォーク音楽に癒される落ち着いた映画で良かったです。
ティモシー・シャラメが適役すぎて違和感がなく作品にとても入り込めました!

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mash

3.5T.シャラメだけではない!

2025年3月30日
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ティモシー・シャラメに縁も関心もない中、見に行ってみた。どうぜ「ハリウッドの寵児」の独壇場だろう、と構えて。

あの時代の社会の動き、音楽界に漂う特別な熱、ボブ・ディランと彼をとり巻く人たちがよく描かれていた。

シャラメの演技も抑制が効いていた。ウディ・ガスリー、ジョン・バエズ、ピート・シガー、ジョニー・キャッシュら、自分の音楽を求め、もがくミュージシャン達のひとりにしか見えなかった。それは良い意味で。

名のある者のもとを訪れた、ひとりの名もなき若者は、名のある者となっていく。逃れることのできない名をもったその若者は、最後もひとり去って行く。オープニングとエンディングのあのふたりのシーン、交わされる言葉はない。忘れがたいシーン。

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のらり

4.0ジョーンの一青窈スタイル

2025年3月30日
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楽しい

単純

興奮

ボブディランあんまり知らんかったからだけど、内容自体はよくある超絶売れっ子の苦悩とか、枯や衰はなかったけど
ティモシーシャラメ味のある歌、そこまで上手いと思わないけど
所々あるジョーンとのコラボが1番良かった、暴露してさらに売れていくとか貪欲すぎ
ノーベル文学賞受賞式参加しないあたりロックだなー
やっぱり歌上手かったり楽器できたりする人ホント羨ましいわ〜
やっぱミュージシャンってカッコいいんだろうな

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くっきー