今日の空が一番好き、とまだ言えない僕はのレビュー・感想・評価
全37件中、1~20件目を表示
さっちゃんを見るための作品!
なんとなく気になったので見ましたが
序盤は主人公を見ていて
マジで見ててイライラしました。
いわゆる陰キャだからあの感じは仕方ないのだろうけどとにかく見ててイライラします。
あといちいち意味不明な演出や
カメラワークがあり、見るのに体力を使う作品でした。
あとは昨年からすごく感じますが河合優実が変わり者の私は周りと違うのよって感じの個性的な女性を演じさせるの流行ってるのでしょうか?ナミビアの砂漠ほど酷くはないけど、さすがに河合優実のこの感じの使い方に飽きてきました。
別に河合さんは悪くないのですが何というか作品に恵まれないなーと思います。
そんなクソ駄作でしかない今作の唯一の救いはさっちゃん!
初めて見た女優さんでしたが
彼女のキャラクター、あの演技はすごく良かった。あの告白のシーンはすごく胸を打たれました。
何というかああいうことってありますよね。全然興味ない女の子が実は自分を好きだったみたいな。でも自分は全く違う子を好きだったりして。
なんて残酷なんだ〜って感じで。
そしてそんな彼女は悲しい結末を迎えます。
そしてそこに河合さんが思わぬ形で登場してくるというあの大どんでん返し感は良かったと思います。
松本穂香は出てくる意味があったのだろうか?って感じ。友情出演的なことなのか?
あと、空耳の安斎さんがいい感じのマスターで良かったですね!
でもさっちゃん以外の部分で
評価したらマジで金返せレベルで面白くなかったです。
これは掘り出し物!
そんなに期待せずに団子ヘアの河合優実目当てに見に行ったがジャルジャル福徳の才能と大九明子監督(この方も元芸人)の手腕に何度も震えた。芸人の原作の映画化?って思ってる人は絶対見に行った方がいい。笑い作れるヤツ(次の展開を常に裏切るものを書く人)にとってシリアス書くのなんてきっと朝飯前なんかもな。セリフにセンスがあってハートをグッと掴まれた、この映画は「セリフを聞きに行く映画」だと思う。なんなら坂元裕二さんの「花束みたいな恋をした」とかより全然セリフが素晴らしい。特にさっちゃん(伊東蒼)の告白の時のセリフ。あそこは泣ける。すごく気になって福徳氏のWikipediaを見たんだけどもラストの方のセリフが実はご本人の実体験から感じたセリフなんだろうと知って2度震えた。もう一度見たい!
懐かしい傷み⋯⋯思い出したわ。
身内やそれに親しい人が亡くなったときに感じたり思ったりその時の匂いや音や空気感なんかも言い当ててくれたので⋯⋯ぐっと来たわ。何十年ぶりの辛さが。
時間が経てばと思ったけど⋯⋯そんな単純に人間出来てないみたいね。
ラストの風が吹いたのは劇場の中にも舞った気がして心地良かったのは私のだけかな?
『ごめん』の一言。なんで言えないのかな?たった3文字。
言える主人公がちょっと羨ましく思えたなぁ。
同じ成分でできている片割れ
ボッチのようだけどコミュ障なわけじゃない。
互いに心を開いている友達がひとりだけいるって理想的な生活じゃないですか。
私が山根なら、仲直りの場を自分から設けて、「謝るのに一ヶ月かかってしまった」って言ってくる友達いたら、嬉しくなりますね。こいつとトモダチで良かったと思う。
小西くんは青い頃にありがちなリア充幻想に支配されていない。
他人の顔色や空気を読むのに汲々とすること無く、自分が好きなことができる。
花ちゃんは山根みたいな友達がいない分、ハードな大学生活だけど、1年生(関西では「1回生って言うんですね)の頃は揺れたが2年になり達観して一人ライフを満喫する方向。
このふたりは、同じ木に成っている実みたいに同じ成分でできていると思う。
些細なことを同じ感覚で受け止めて、その線上でキャッチボールができる。
感覚が同じだからいちいち説明がいらない。
さっちゃんにお線香あげている涙の場で、突然かまって目線の犬のさくらになる小西くん、瞬時に察して抱きしめてよしよしとガシガシして、腹をわしわしする花ちゃんとよろこんでわしられている小西くん、傍から見たら引くけど、こんなキャッチボールできる相手を見つけたら一生ものです。
中盤の花ちゃんの豹変は、小西くんの悪い想像の暴走だったようで良かった。
良く知らない相手だと、好意を持っている分ちょっとしたことで自分の中で最悪の想像をして、それがどんどん膨らんでしまうというのは、自分としてもあるある現象で、気持ちわかります。
失恋確定のさっちゃんの最初で最後の告白は、さっちゃんがいじらしくて堪りません。
自分でも長い、しつこいと思いながらも止めることができない。自分の気持を吐き出すのにはあれだけの尺が必要だったのね。さっちゃんには幸せになってほしかった。
そして、気まずい、言いにくいことを言い切るには、関西弁は良い言葉だなと思いました。
オムライスの件の空耳の安斎さん、まんま本人で良い味。
原作ジャルジャルの片割れらしく、彼らの漫才のらしさが満載。
会話やシチュエーションに、笑かしが程よく仕込まれていて気分良く笑いました。
小西くんも花ちゃんも、山根くんもさっちゃんも、今のワカモノらしく、息をするように周囲と相手を傷つけないよう細心の注意を払っているのが印象的。話をするにも慎重に言葉を選んでいるんですよね。
こんな河合優実も良いと思いました。
いつも同じような役でイメージが固定しそうだったけど、ルックスがあまり個性的じゃないのが幸いしているような気がする。
さっちゃんとは、お互いのっぺりしているのに似てない姉妹です。
伊東蒼さんとてもよかった、、!
大学生の甘酸っぱい感じキラキラした感じとか、若さゆえの危うさ?不安定さ?とかが現れていたと思う。
さっちゃんの告白シーンの告知を見てこの映画を知り見にいったが、さっちゃんの演技がとてもよかったと思う。好きな人の言葉ひとつで一喜一憂してるのが見て取れてとても愛らしく感じた。告白シーンは感情移入しすぎて涙が止まらなかった。
小西くんと桜田さんが打ち解けていくシーンは純粋に羨ましくなった。自分の負の感情や誰にも見せた事のない面を素直に吐き出せる友達ができるってなかなかない事だと思うので。だからこそ待ち合わせ場所に来ない桜田さんを待つ小西くんや、バイト先で自分の悪口?を言われている(と思っている、でいいのかな?)シーンはこちらにもしんどさがあった。その後の自暴自棄というか周りの全てが敵に見えるシーンにも共感してしまった。
さっちゃんが亡くなってからの展開にはちょっと置いてかれる感じがあった。あそこはもう2人だけの世界で2人にしか通じ合えないことがあったのかな。
小西くん、桜田さん、さっちゃんのキャストしか見ていなかったため、他のキャストの豪華さに驚いた。山根役の黒崎さんの演技も良かったと思う。
さっちゃんは咲ちゃん?
伊東蒼◎
古田新太とのコンビよし。
佐藤二朗と親子役だった「さがす」も良かった。
今作では銭湯バイトのバンド女子。
あの銭湯とてもいい。どこ?
河合優実のこの女子大生役(桜田花)はちょっと物足りない。関西弁なので、キャスト的には中田青渚のほうが良かったなぁ。
ミスリードを誘う悪いほうの桜田花はさすがでした~
ソラミミアワーの安齋肇がなかなかの好演。
ダジャレメニューに気を取られたからかも。
大九明子監督作品。
ちょっと語り過ぎの青春コバルト文庫風。
萩原利久や望月歩はフレッシュでいいね。
さよならほやマンの黒崎煌代も存在感あって◎
独白
ジャルジャルの福徳さんの書いた小説が原作なんだなーという事のみぼんやり覚えていて、ちょっと変わり者同士の恋愛だなーくらいの感じで鑑賞。
めちゃくちゃ良い…!ってなるシーンとなんやこれは…となるシーンがあってジェットコースターのような映画でした。
等身大の大学生活に捻くれ要素を加えて、そこに甘酸っぱいものと激辛エッセンスをぶち込んだごちゃ混ぜっぷりではあるんですが、それが邪魔し合わずに1本の映画になっているという不思議な組み合わせでした。
そこに家族の様子だったり、大学以外の交流だったり、何気ない日常の違和感だったりをゆるーく描いており、こういう感じで過ごしているのかなーと思いながら観ていました。
恋に落ちる様子をじっくり描き、その前に恋に落ちたものも描き、それらに対して無関心なものも描いたりといろんな角度からの恋愛や感情を描いていたのが印象的でした。
しっかし終盤はどうもグッチャグチャになっている気がしてしまい、感動に振り切りたいのかコメディにしたいのかが行方不明な作りになっていてかなり困惑してしまいました。
犬のフリのくだりとか全く意味が分からなくてお口ポカーンでした。
「初恋クレイジー」ずっと爆音で流しといてくれ〜ってずっと思いながら耳を澄ませていました。
さっちゃんの告白シーンのしどろもどろした感じが本当に最高で、"好き"って言葉を伝えるのがどんなに大変で苦しいものなのかってのを全部詰め込んでいるようで心がキューってなりました。
かなりの長台詞でしたが見入り聞き入りっぱなしでしたし、伊藤蒼さんが強すぎました。
今年の映画の中でもトップクラスのベストシーンでした。
花の飄々とした感じや独特なオーラが全開になっているところも目が離せずで魅力的でしたし、格好もオシャレでしたし、挙動もワタワタしていて見応えありありでした。
河合優実さんパワーは今作でも健在でした。
ただ全体的に主人公の小西の行動がイタすぎてイタすぎて…所々自分も近い感情持っていたなと思うところはあったんですが、他人に迷惑をかけたり、心無い発言を連発しまくったり、完全に異常行動を取っていたりする場面は強烈な拒否感を覚えました。
友人を罵ったり、勝手に自分優先で行動してしまったりする所もキツく、まだ序盤に日傘をさしてた頃がマシに思えるくらい後半は悪い方にギア全開でいってしまっていました。
なんなら主人公が喋っている時はずっと胸につっかえるものがあったと思います。んーゾワゾワした何か。
福徳さん原作なので当然っちゃ当然ですが、言い回しのソレがジャルジャルのコントのそれで、長台詞での想いをぶつけるところだったり、日本語の言葉遊びをしてみたりといったところはフフッと笑えました。
後半になってくるとその効果も薄れてきて胃もたれしそうになったのは事実ですが笑
出てくるご飯がとても落ち着いていて尚且つ美味しそうなやつで最高でした。
マスターが恥ずかしそうに出してたオムライス食べてみたいですし、メニューの秘密にもフフッとさせられて癒しでした。
鴨川デルタの石の上を渡ったり、京都河原町駅の前だったりと懐かしい光景がバンバン出てきてそれだけで浸ってしまいました。京都が恋しい。
恋愛映画というよりかは在りし日のイタさを思い出させる青春映画でした。
フラッシュバックした記憶にまた悶々としながら生活を続けていきます。
鑑賞日 4/28
鑑賞時間 13:15〜15:35
座席 A-8
『初恋クレイジー』の出だしはそうでもなかった
2025年映画館鑑賞42作品目
4月29日(火)フォーラム仙台
会員料金1500円
原作はジャルジャルの福徳秀介
監督と脚本は『恋するマドリ』『勝手にふるえてろ』『私をくいとめて』の大九明子
吊り革も掴まず電車の車内に立つ2人
ズルズルドキドキ
河合優実の顔のアップからさらにアップ
意味不明な演出多し
大阪だから
ジャルジャルだからでは納得できない
告白する際の伊東蒼の尋常ではない長台詞に圧巻
よく覚えた
いやただ丸暗記なら『生活笑百科』の山田花子でもできる
そのうえで芝居もしっかりやる
只者でない
まだまだ子供だと思っていたらもう19歳
よくやった
エンドロールも本編の続きのようなもの
エンドロールわりと短い
自然音
配役
銭湯でバイトしている大学生でよく日傘を被っている小西徹に萩原利久
カフェでバイトしている小西と同じ大学の学生てで団子頭の桜田花に河合優実
銭湯でバイトしている小西の同僚でスピッツが好きな花の妹の「さっちゃん」に伊東蒼
小西の親友で同じ大学の学生で彼女がいる山根に黒崎煌代
オムライスを作るのが苦手な喫茶店のマスターに安齋肇
花とさっちゃんの若くして亡くなった父親に浅香航大
銭湯でバイトしていた妊婦でのちに出産しお披露目する夏歩に松本穂香
銭湯のオーナーの佐々木に古田新太
あの日見た空の名前を僕達はまだ知らない。
痛切でない河合優実が見れると思って鑑賞したのだけど、中身は残念だった。
とにかく最初から最後まで主人公が気持ち悪い。
一目惚れは否定しないし、あのアプローチで仲良くなれる人もいるのかもしれないが、納得は出来ず。
花は、可愛らしい面もあるが面倒くささが勝つし、主人公と会話が成立する時点で「う〜ん」となる。
2人を見てて、箸が転んでも可笑しいんだろうなぁ、と。
微笑ましい時もあるのだけど、台詞回しが受け付けない時が多く、ずっと乗りきれなかった。
さっちゃんだけが救いだったのに、主人公が「それはない」とか「冗談やめて」とか言っててイライラ。
加えて山根に対してもクズさを発揮する主人公。(彼もデリカシーなかったけど)
亡くなってから名前を呼んだり『初恋クレイジー』聴いたりも、逆に無理。
山根への謝罪もさっちゃんへの涙も花への告白も、全部が薄っぺらくて最低にしか映らなかった。
メインの3人にそれぞれ長台詞があったが、小説ならまだしも映画で見るとサスガに冗長。
間をもたせるような演出もないし。
河合優実パートの急激なアップは絶対ミスだろ。
それでも見せ続ける演者は凄いし、特に伊東蒼のパートは一つ一つの台詞がしっかり刺さった。
それなのに、直後に全裸洗濯機や水中アコースティックライブの謎演出で台無しにされて悔しい。
終盤の主人公が犬になりきるところもドン引きしたし、この監督こんなセンスでしたっけ。
日傘とかオムライスとか犬とかポストの音とか人の死とか、全部が物語に使われてる感が拭えない。
松本穂香が出てきた意味もまったく分からん。
後半の急転回も白々しくて、恐らく原作段階から自分にはまったく合わなかったのだと思う。
最後は、外でずっと古田新太が待ってる気がしてソワソワ。
誰か河合優実を死とか不幸とかない作品に出してくれ。
解放感
2024年。大九明子監督。大学生活をエンジョイできず、友達も一人しかいない男子学生は、ある日、群れずに一人で過ごしている女子学生に惹きつけられる。徐々に距離をつめてみると、おどろくほど共通点があって気が合う二人。しかし、バイト先の別の女子学生に思わぬ告白をされたことから、うまくいかないことが重なって、、、という話。
セレンディピティをテーマに、よい偶然が重なる前半、悪い偶然が重なって転落する後半、そしてその種明かし、というきれいな三層構造。「場所」や「犬」や「告白」の繰り返しと変化の使い方もすこぶる気持ちいい。これを弁証法というべきかもしれない。偶然がテーマだけに、とにかく外に開かれていく解放感がある。
長いセリフを一息でしゃべるときの光の変化、音の変化がすばらしい。ラストでは、いないはずの死者を映したり、いないはずの死者の目線から主人公たちを映したり。そよ風が吹いていて、「死者」の扱いにも解放感がある。
エンドロールも心地いい 音がいい 芝居がいい 今年前半でピカイチ
タイトルしか知らずに鑑賞
若い役者さんたちの好演が光ります。
そして音がいい、音楽も自然音も無音さえも使い方がいい。
さっちゃんの長セリフは個人的には好きだけど
これは見せすぎで見る人によってはちょっと引いてしまうのではないかと思う。
自分は好きなシーンです。
結果的にこれは繰り返しをすることによって見事に昇華されていく。
小説原作でありながら詩的で素敵な構成になっていました。
映画のひとつのお手本のようです。お見事。
小学生でもきっと感動するだろうなとも感じた。
主演以外の方もみんな素晴らしい。山根好きが多いだろうなと思う。(笑
あとは古田新太さんはちょっとノイジーですね。
もう少し見慣れていない方をキャスティングして欲しかった。
そこで0.5星をひきました。
劇中の「虹」は河合優実だと思う。
前半部分の青春の明るい部分、完全に魅力的なヒロインを演じ
後半はなんと薄幸で痛々しくもみずみずしい演技
冒頭からスクリーンにひきこまれていた自分はそこで
あ、河合優実さんか!と後半でようやく気付いた。
無敵の髪型でふるまう彼女も髪を切った彼女もハマり役
他の作品の顔とも全然違うね。
七色以上に演じあげる彼女はもう現在の若手ナンバーワンで間違いないですね。
隠し球?伊東蒼◎
萩原利久主演、河合優実共演と、ポスターや記事では二人に絞った宣伝がなされながら、序盤からギター演奏も含めてフィーチャーされまくる伊東蒼が、後半重要すぎるフックとして効いてくる。当作では前半の幸せな学園ものの部分に加え、さっちゃん周りがいちばん好きだ。もうポスターに写真が無いのがミスリード、三人主役と言える存在感だった。長台詞、場所が夜の住宅街でアレだったし、ちょっとくどかったけど、街灯の明かりの中に入ってくるタイミングも含めて素晴らしいと思った。
映画は大九監督と河合優実ということで「かぞかぞ」方面を期待していた。スジはそうでも無いが、ところどころ現実と想像が行き来する演出には通じるものがあったように思う。途中小西の妄想シーンで悪態をつく桜田さんは、河合優実の演技がハマりすぎて、明かされるまで事実か迷った。河合優実の演技は終盤の長台詞、関西弁も相変わらずうまい。小西の腹をさするのは微妙な演出。
じゃるじゃる福徳の原作は未読なので、正直タイトルや構成など彼らのコント同様「考え先行」な感じはしたが、原作通りなのかは不明。
ところで伊東蒼、NHKでも大河や朝ドラでのゲスト出演歴もあり、今のところあまり名前は上がらないようだが、未来の朝ドラヒロインの一候補と予想しておこう。
追記 大九監督の反戦アピールの背景について調べてみようと思いました。
ぼっちな若者にも物語を与えてくれる学生街
前半で描かれる大学生活にいろいろな記憶をくすぐられた。自由を得たことにむしろ不安を感じるのか、むやみに集団をつくる大学生たち。そこに入りたいわけでもないのに、取り残されたことに何か敗北感も感じる「ぼっち」な主人公たち。でも独特な感性をもった若者たちにもちゃんと出会いのチャンスがやってくる。
見晴らしがよく本物の芝が植えられた校舎の屋上とか、若くして亡くなった女子大生をしのぶ記念館とか、互いにぼっち時間に見つけた大切な場所を萩原利久と河合優実が共有しあう。
特に喫茶店のマスターのエピソードが素晴らしい。不思議な名前のメニューが並ぶなか「オムライスだけは普通なのはなぜ?」と尋ねるため常連客になるまで通い、タイミングを見計らう。2人の物語と学生街の歴史が徐々に重なり合うような前半部分が好きだった。
一方で萩原利久は、銭湯でのバイト仲間(伊東蒼)からひそかな恋心を寄せられている。だが萩原は河合優実に夢中なあまり、彼女に聞いたばかりのキーワードを無自覚に会話に持ち出しつつ、伊東が熱く語るスピッツの曲はいつまで経っても聞いてみようとしない。
要は経験不足すぎて異性から好意を持たれていると考えもしないのだ。偶然の出会いが運命を変えることもあれば、運命のいたずらで、自ら目の前の扉を閉ざしてしまうこともある。その現実を突きつける伊東蒼の長台詞が映画のハイライトだった。
映画の後半は、個人的にあまり気持ちが追いつかなかった。まず登場人物の死でその人の大切さに気付かせる展開が苦手。この映画ならもっと繊細な描き方もできたのではと思ってしまう。
また、河合優実さんが出てくる映画(「ナミビアの砂漠」など)はなぜか現実と空想が混じる場面が必須なのでしょうか。
ちょっとわからなくなったのは、河合優実が彼と距離を置いた理由である。河合優実がぶちまけたように、本当は彼が自己満足でキモイ人なのか(このシーンはほかの方のレビューを見るとただの妄想らしい)、妹を失恋させた件にわだかまりがあるのか(傘を妹を通じて返却しようとした台詞あり)、純粋に妹を失った痛手なのか。これらが解決されればラストシーンにも感動できたと思う(または私が読み取れなかっただけでしょうか)。
映画館で観るべき映画
個人的にアクションでもなく洋画でもないにも関わらず映画館で観てほしい映画。
先ずあの曲をあのタイミングで爆音で聴けるのは映画館で体感すべきだし、何よりも観終わった後の余韻が凄いし誰かと語りたいと思う映画。
何が凄いって俳優陣達の演技力や感情の出し方でほぼ説明なんかせず演技で物事を理解させる感じがまるで鈍器で殴られてるような感覚。(殴られたことは無いが)
また凄く個人的にだが頭の中で匂いのする映画がとても好きで雨上がりのアスファルトや、銭湯で掃除している時、主人公がさっちゃんの家に行った時の匂いなどこれは作り手さん達の計算と演者の一挙手一投足のなせるもはや芸術である。
伊藤蒼さんのひとりしゃべりのとこなんて泣くしか無いし完全に心持ってかれました。
泣きたい映画のオススメを聞かれた時の自信を持って紹介出来る作品が更新されました。ありがとうございます。
最後に空白といいさがすといい…いつか伊藤蒼さんのハッピーエンドな映画も観たいと思う今日この頃です…
萩原さん流石です。
中盤までは好きなタイプの作品だったんです。
だけど、完全に個人の好みの問題だとは思うんだけど、終盤が劇的過ぎてあんまり受け入れる事ができなかった。
それでも萩原さんが上手だから、最後までしっかり観られたけど。
人物をしっかり映す撮り方は良かったし、それに応える萩原さん、河合さん、伊東さん、古田新太さんの演技は良かったです。
特に伊藤蒼が素晴らしい
感情が胸ぐらを掴まれて、あっちこっち引っ張られた末に、武骨な棒切れで殴られたような映画体験だった。
初めは、冷めた目で観ていた。
「流れは“Boy Meets Girl”だけど、そこにいわゆるコミュ障の要素を付け足してってことですか…ふ〜ん」いう感じに。
正直「今時の若者のそういう感じの描き方は、もうお腹いっぱい」ぐらいのことまで思っていた。
けれど、中盤の銭湯での伊藤蒼とのやり取りや、その後の彼女の超絶長台詞辺りから、やられてしまった。
「片思い」の持っている行き場のないやるせなさを、全身で体現した伊藤蒼がとにかく素晴らしい。決してスマートとは言いがたいちょっと強引な展開に関わる伏線も、スルッと自然に入れ込む演技で、その結果が他の演者によって、物語の後半で何倍にもなって返ってくるのだから、もう素直にお手上げするしかない。
ただこの物語は、恋愛映画というより、身近な人の「死」と、残された者の「受け止め切れなさ」にも強くスポットが当たっていて、「どう人と関係を結んでいくか」や、「自分がどう悔いなく生きるか」が主たるテーマだと思う。
そして、そこに、大九監督の「怒り」が加味されたことで、より味わいが深くなったように自分には思えた。
象徴的だったのは、関大初の女子学生北村兼子の展示と、小西が限界までボリュームを上げようとして消したテレビや、喫茶店のマスターが聞くラジオから流れてくるパレスチナ情勢。
一見、どちらのエピソードもこの映画とは直接関係無さそうだが、鑑賞後に自分が思ったのは、父親の病気も、咲の交通事故も、「理不尽さ」という点では地続きで、「その理不尽さというのは、あなたにとって、どこまでが関係あるラインですか」と、「その理不尽さに、あなたはどう向き合うのですか」ということが、この二つのエピソードにより問われている気がした。
だから、「怒り」という言い方をしたが、どちらかと言うと、「社会や他者に対しての怒り」より、状況に麻痺して鈍感になっていく自分自身への戒めという方が適切かもしれない。
スピッツの楽曲の使い方から、エンドロールまでの流れもお見事。いい映画だった。
【”初恋クレイジー。そして”さちせ”と”このき。”今作は関西大の大切な人に想いを上手く伝えられない男女三人の恋物語であり、伊藤蒼、河合優実、荻原利久の長台詞シーンの物凄い演技にやられた作品である。】
■関西大に通う小西(荻原利久)は、唯一の友人山根(黒崎煌代)とのみ過ごし、あとはなるべく人目を避ける様に学校生活を送っている。
アルバイトは、銭湯の掃除で仲間のさっちゃん(伊藤蒼)と業務をこなす。この時は明るいさっちゃんのお陰で、小西も楽しそうである。
そんなある日、講義で見かけた桜田(河合優実)に心惹かれて、勇気を出して声を掛けると思いがけず、彼女とは話が合って、一緒に古い喫茶店(マスターが、ナント安西肇さんである。ムッチャ似合っている。)に行ったりするようになるのである。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・もうね、この作品は伊藤蒼さん、河合優実さん、荻原利久さんの長台詞3シーンの演技に尽きると思ったね。
衝撃だったからね。それまで踏ん反り返って観ていたが、シャキッと背筋を伸ばしたからね。
・さっちゃんを演じた伊藤蒼さんが、小西の桜田に対する想いを知った時の、銭湯の風呂に俯せで飛び込むシーンからの、三差路の壁を背にして涙を流しながら小西に対し、自分の想いを告げるシーンは、長台詞も演技も物凄かった。ホント、あの鬼気迫る伊藤蒼さんの演技の凄さにはビックリした。
・約束の学校の正門に現れない桜田に振られたと思い込んだ小西が銭湯にアルバイトに行った時に、店主(古田新太)から怒号の如く告げられたさっちゃんの死。へたり込む小西。自殺してしまったのかと思ったら違ったけれども、店主と共に向かったさっちゃんの家で出迎えた桜田の姿に又ビックリ。さっちゃんが泣きながら言っていた”アタシの名前なんて、興味ないんでしょ!知らないんでしょ!”と言っていた事がこのシーンで、フラッシュバックの様に蘇るのである。
・さっちゃんの遺灰の前での桜田を演じた河合優実さんの、長台詞シーンもマア凄かった。病気で死んだ父が、さっちゃんに残した手紙を小西が頼まれて読むシーンで、”辛すぎる!”と言いながら、畳に大の字になり顔にハンカチを乗せて父の手紙の文章を聞く姿と、妹のさっちゃんが亡くなった連絡が母から入ってからの出来事を、一気呵成に語る姿。
・そして、小西を演じた荻原利久さんが、スピッツの”初恋クレイジー”が最大ボリュームで流れる中で、自分のさっちゃんの気持ちに気付かなかった愚かさと、それでも桜田に対する想いを告げるシーンも、凄かったな。
■今作では、大九明子監督らしい斬新な演出の数々も効いている。例えば、さっちゃんが風呂に俯せで突っ込んだシーンで、水中で亡き父(浅香航大)がギターを弾いているシーンや、同じく桜田の独白のシーンで描かれる亡き父と、幼き桜田とさっちゃんが戯れるシーン。
<今作は、関西大に通う男女三人の大切な人に想いを上手く伝えられない若者達の恋物語であり、伊藤蒼さん、河合優実さん、荻原利久さんの物凄い長台詞シーンの演技にヤラレタ作品なのである。
重ねて書くが、伊藤蒼さん、河合優実さん、荻原利久さん、そして大九明子監督には、参りましたの作品なのである。>
俺は今日の空が一番好き、と言ってやろう!
悩んだのは河合優実さん演じる桜田花さんが萩原利久さん演じる小西徹君と早朝の雰囲気の良いけど変なメニューばかりの喫茶店に行って、午後にもう一度行こうと言っていたのに姿を消して、1ヶ月以上現れることがなくなる。
そして小西君が花さんの姿を探しつつも普通に大学生活を繰り返し、フラれたと思い傷心している間に、花さんが誰かにキモい男に付きまとわれてますと言う会話をバイト仲間か店員さんとしているシーンが挿入されるのを見て、あぁ1人が好きな女性に勝手に考え方が似ていると思い込み好きな気持ちが膨らみ過ぎてやり過ぎてしまったと映画が終わるまで思ってました。
なのに咲さんが亡くなって線香を上げに行くとそこに姉妹だったことを知らなかった花さんがいて…。
映画観終わってから暫くして分かりました。小西君が花さんが会えないのは自分を好きでないのに付きまとわれていると勝手にしていた妄想。花さんが大学やバイト先から消えていたのは妹が交通事故で死んだから傷心で家にとじこもっていたからで小西君のことが好きでないからじゃなかったんだと。
ちょっとしたことだけど妄想シーンならもっと現実と区別した描き方して欲しかった。小西君が頭の中で妄想していたとしてしっかり分かるように。おかげで後半はフラれた男と無言で消えて逃げた女が何しているのかと、最後まで勘違いしていましたのが勿体なかった。
良かったのは伊東蒼さん演じる咲ちゃんのずっと小西君のことが好きと分かる会話と仕草。そして相手が姉だと知らないで(知っていたかも?)好きな人と仲良くなれて小西君が幸せになれるようにと身を引く告白シーンの長セリフ(まるで交通事故が身を引く告白をした余韻で疲れて出会ってしまったのでないかと思わせるくらい長くて渾身のセリフ)。
正に大学時代の俺がいた
ルックスは違えど、傘はさして無いけど、大学時代の俺がいた。
広大なキャンパスや周りに馴染めず、坂の両側の華やかなカフェには縁が無く、他人には鈍感な割には自分には繊細で、珍しく好意を持ってくれる他人には甘えて傷つけてしまう。
そしてまた孤独感だけを味わいながら坂道を登る。
芸達者な俳優さんと手練手腕な監督と脚本が上手くブレンドされた良作。
後味はかなりビターだけど、俺のような青春を味わった方には郷愁を。
共感を感じる若い人には、それでも明日に向かって少しでも前を向く勇気を。
全37件中、1~20件目を表示
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