今日の空が一番好き、とまだ言えない僕はのレビュー・感想・評価
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恋愛映画だと思ったら全然違った件(いややっぱり恋愛映画か?)
最初は、陰キャな小西くんと桜田さんの、どこかゆっくりとした“ボーイ・ミーツ・ガール”的な物語かと思って観ていました。バイト先の銭湯での仲間・さっちゃんが明らかに小西くんに好意を寄せている様子を見て、「ああ、これは三角関係を描いた青春恋愛映画なんだな」と勝手に予想していたのですが——
その予想は、さっちゃんの長い独白によってあっさりと打ち砕かれます。そこから一気に物語は加速し、魂を揺さぶられるような展開が連続します。桜田の長台詞、大音響の音楽、そして小西の独白……そのすべてが畳みかけるように押し寄せたあとに訪れる、あの“アレ”。アレが来て、静寂のなかでエンディングクレジット——しばらく呆然とするしかありませんでした。
あまりの破壊力に圧倒され、終わった瞬間にはもう一度観たいと思ってしまったほどです。これほどの作品なのに上映回数が少ないのは本当に惜しい。もっと多くの人に届くよう、上映が増えることを心から願っています。
監督のある種の到達点
最後まで観るとビックリする
関心領域‼️❓爆音‼️❓不適切にも程があるのか無いのか‼️❓
さっちゃん!すげー!
なんの予備知識もなく鑑賞
萩原利久くんの成長をば、見届けたくて
映画館へ
河合優実…あれ?よく、名前聞くなと
思いつつ、はなしを見続ける
あれ?
なんだか、こじれた?いや、思い思われふり振られ的な感じかと思っていたら
全然、萩原利久くんの小西くんが
薄っぺらい青年にしか見えなくなってきて
ラストに至ってはドンデン返しの
展開で。
なんだか、主役たちより
さっちゃんが一番光っていた
おもしろかったかと聞かれたら、
おばさん的には
え?
としか答えられないな
あとでパンフレットを見返したら
ジャルジャルのひとの小説なんだな
令和の青春時代はなんだか、ムズカシイ
セレンディピティ‼️
今作は最近の日本映画としては珠玉の恋愛映画ですね‼️ファンタスティックな要素も無く、純粋に人間ドラマとしてここまで共感させられたのは久しぶりかもしれません‼️友達も出来ず、冴えない大学生活を送る小西徹と桜田花。ひょんな事から知り合った二人は、思いがけず意気投合。会話が尽きず、急速に距離を縮めていく。小西の唯一の友人、山根や銭湯のバイト仲間・さっちゃんも絡めた、様々な人間模様が展開するが・・・‼️まず周囲に馴染めない、他人に介入して欲しくない主人公二人の盾‼️小西は晴れの日も日傘を差し、桜田はお団子ヘア‼️この河合優実ちゃんのお団子ヘアが可愛すぎて、似合いすぎて、もはや犯罪‼️そして水族館やボーリング場、大学構内、そして近くの喫茶店を舞台に繰り広げられる、何気ない二人の会話のシーンは妙にリアリティがあって微笑ましい‼️「花曇」「緑雨」「虹橋」「雷鳴」と分けられたサブタイトルで進行し、その後にタイトルが出てくる構成も内容に沿っていて秀逸ですね‼️映画はこのまま二人の恋路が成就するのかと思いきや、突如として桜田が姿を消してしまう‼️そして実は桜田が小西をストーカーとして認識していたとか、気味悪がっていた、嘘をついて誘いを断ったみたいなカットが挿入される‼️実はこれはフェイクで、男は好きな女性に対して抱いた欲望を想像したり、人は悪い事が起きると被害妄想気味になったり、物事悪い方に悪い方に考えてしまうのを具現化したカットだった事が後に解る‼️そして今作の見せ場どころか、映画史に残る名場面と言っても過言ではない二つのシーン‼️一つは、実は小西に好意を寄せていたさっちゃんが、バイト帰りに小西に想いを伝えるシーン‼️小西の桜田への想いを悟ったさっちゃんの、叶わないと分かっていながらの想いが爆発するこの告白シーン‼️小西はただ立ち尽くすだけの、この8分間に及ぶ告白シーンを、ほぼ一人芝居状態で涙ながらにビショ濡れで演じ切った、さっちゃん役の伊東蒼ちゃんがホントに素晴らしい‼️今作は萩原利久、河合優実、伊東蒼のトリプル主演ですね‼️それぐらい素晴らしかったし、大好きになりました‼️そしてもう一つの名場面はクライマックス‼️さっちゃんが交通事故で亡くなり、小西が銭湯の経営者と共に、線香をあげに行くシーン‼️実は桜田とさっちゃんは姉妹であり、桜田が小西の前から姿を消したのは、さっちゃんの事故による悲しみのためだった‼️そして始まる萩原利久と河合優実の二人芝居‼️さっちゃんが死んだ時の事、親戚が集まって泣き声が響いてた事、母から事故の状況を聞いた事、棺桶で帰ってきたさっちゃんの事、事故当日の朝のさっちゃんの様子、母と一緒に大泣きした事をほぼ独演する河合優実ちゃんの演技力もホントにスゴい‼️そして桜田の独白を受けての小西役の萩原利久の見せ場‼️桜田の悲しみを癒すかのように、桜田への想いを時に犬となって、時にTVの音量を最大にしながら伝える小西‼️桜田と同じように観ている我々も癒されてホッコリさせられる‼️そこに流れるスピッツの「初恋クレイジー」のメロディもホントに素晴らしいですね‼️大切な人を失った悲しみ、そしてその痛みを乗り越えて愛する人と生きていきたいと願う主人公たちの姿が胸に迫る‼️演出、演技、物語が完璧に融合した名作だと思います‼️フォージュロンのオムライスが食べたくなりました‼️
恋はいつだってクレイジー
「セレンディピティ」という映画を観たのはもう20年くらい前だったかしら。幸福な偶然。まさにそんな出逢い方をした関学生のふたり。自分だけだと思っていたいくつもの感じ方や考え方を共有できる人と出会えた時の喜び、興奮はすごくよく分かる!
しかし、その裏側ではもうひとつ、どうしようもなく悲しい出逢いもあって、それは失恋そのものではなく永遠の別れとなって降りかかる。
フラれると分かってする告白は、必要以上に話し過ぎてまわりくどくて、相手の感情も分かるから気を遣って普通を装う空元気の切なさも気まずさを生まない為の不器用な振る舞いも、ぜんぶ分かるからぜんぶ辛い。
でも、これもまた青春のひとつなんだよなと、今は思える。でも、そんな日は、彼女にもう訪れない…。
待ち合わせに来ないことからどうしようもない被害妄想が駆け巡り、自暴自棄となって走り膝を怪我して唯一の友達にも八つ当たりする経験すらも、懐かしくて、眩しくて、ああこれは青春映画だなと胸に沁みた。
ラストの激情に飲み込まれた愛の告白は賛否が分かれそうだけれども、逆にあの瞬間しかないんだよねというのが個人的にはよく分かる。
ボリュームゼロからはじまる最大音量の青春恋愛映画だ。
唯一、終盤に縁側で河合優実が心情を吐露しているシーンで急にズームしたカメラワークの意図だけが分からなかった…!
関大関係者必見
キラキラしてない青春映画
伊東蒼さんの独白パートだけでも満点!
お笑いコンビ、ジャルジャルの福徳秀介さん原作の同名小説の実写映画化です。
原作は未読ですけど言葉の選び方とか並べ方、その溢れ出し方(?)・・・などが原作に忠実に脚本化されていると仮定するなら、福徳秀介先生(急にすみません!)ってかなりの文才とおそらくお笑いで培われただろうセンスがあるなあ、と感心いたしました。上から目線で本当に申し訳ないですけど。
主人公がお団子頭で一人学食で蕎麦食う女子に一目惚れする件、そして同じ属性を持つ二人が惹きつけ合うとこは、正直あまり共感もしなかった(笑)のですが、銭湯のバイト先のさっちゃんの何気ない仕草、その動向が気になり始めてから一気に心情をもってかれました。
特にさっちゃんを演じた伊東蒼さんの独白パートの迫真の演技にやられて、当方過去のいろんな感情が溢れて出てきて涙を誘いました。正直この素晴らしい場面を観れただけでもレビューで満点上げたいと思ったくらいです。なんとも尊い心に残るシーンでした。
さっちゃんおすすめの曲は、私も大好きで当時、この曲が入ったCDも購入したくらいです。キーが高くて名曲なのにカラオケとかで歌えないのが残念です(笑)。
おすすめいたします。
では。
令和版恋愛青春映画としては◎。河合優実さすが❗️
令和版恋愛青春映画と言っていい作品。ストーリー的に突っ込みも入れたい箇所もあるが、恋愛青春映画としてはよく出来ている。河合優実は恋愛青春映画の演技はさすが。
ただ、残念なのは題名。いくらお笑い芸人の原作でも題名が長すぎる。ここは制作陣、配給会社は工夫して欲しかった。もったいない。
「初恋クレイジー」聴きながら書いてます。イントロ、イイね♪
萩原利久くん、河合優実さん、伊藤蒼さん、全員好きなので、早く観たくてようやく実現できて嬉しい。
場内ほぼ満員で、上映館、上映回がもっと増えるといいなーと思ってます。
この作品のヒロインは、さっちゃんです!
えー、めっちゃ素直でかわいい、私だったら惚れちゃうけどなあ。
失恋確定なのに、ちゃんと告白してフラれるのは、スゴイ。
この長ーい告白、固唾をのんで見守るうちに、こっちの胸が痛くなってきたわ。
ラストあっさり亡くなり、暴走車の多い昨今、ない話ではないよなあと、しんみり。
さっちゃん役が河合優実さんだったら、どんな感じだったかなと興味が湧きました。
個人的には、利久くん出ずっぱりで、それだけで満足度高いです。
河合優実さんは、おだんご頭、似合いますね。
大学でのファッションも、めちゃかわいく、アート系女子なのかなと思っていました。
エンディングのふたりのシーンは、さっちゃんの告白に次いで、胸に迫りました。
舞台が大阪・京都で、身近なこともあり、すごく楽しめました。
オムライスの喫茶店、めちゃツボ、行ってみたいー。
ジャルジャルも、スピッツも大好きで、「初恋クレイジー」は主題歌にぴったり。
こんなに恋愛に浸れるのは、学生時代まで。
バイトして軍資金貯めて海外に出かけてばかりだった大学時代の私に、もちっと周りに目を向けてたら、小西君みたいな子、いたかもしれないよと伝えたい。
どこか昭和の懐かしい香りもする今作、もう一度、観にいきます♪
もうひと練りしてくれてたら・・・
長ったらしいタイトルを見て、俺の頭に浮かんだのは2017年公開の“夜空はいつでも最高密度の青色だ”。とても気に入った作品で、長いタイトルの他にも、小規模公開、地味ながら演技力のある売り出し中女優の主演という共通点が有って、勝手に期待を膨らませた。 単純に現在最注目女優の河合優実を観たいというのもあったけど。
【物語】
小西(萩原利久)は、大阪の大学に通う学生だが、唯一の友人・山根とクダラナイおしゃべりをする以外は、銭湯でバイトという地味な学生生活を送っている。ある日、講義で見掛けたお団子頭をした桜田(河合優実)という女子学生に心を奪われる。その後偶然何度か顔を合わせた後、勇気を出して彼女に声を掛ける。 そして、ときどきお茶する仲になる。
会話の中で桜田が口にした言葉が、亡くなった彼の祖母が良く口にした言葉と同じだったことで親近感を深める。小西がさらに距離感を縮めることを期待した矢先、突然桜田は小西の前から姿を消す。
【感想】
序盤はすごく良かった。スクリーンから漂う雰囲気やリズム感が、俺の期待を益々膨らませた。 ラストも良かったので、最終的にはまずまず満足出来たのだが、観賞前に連想した上述の作品ほどの満足感には至らなかった。
俺の中では、派手なアクションや展開の無いこういう作品はリアリティーが重要。登場人物の言動に「あるある」的共感を覚えるとしっくり作品に入っていけるし、そういう作品が好き。その点において、本作の中盤は違和感を覚えるシーンが散見され、気持が冷めかけた。ラストでだいぶ引き戻されたけど。
小西、桜田等、登場人物のキャラ設定は良いし、小西の友人山根、バイト仲間のさっちゃんの存在がストーリーを引き立たせているなど良かったところも多いだけに、惜しいと思ってしまう。もう一段脚本を練って違和感を無くしてくれてたら・・・
最後に注目の河合優実について。
世間と同じくTVドラマ“ふてほど”で存在を認識して、それ以後興味を持った。主演映画では“あんのこと”、“ナンビアの砂漠”に続いて3本目の鑑賞。前2作ではキャラ設定的に明るい娘ではなかったため、ヒロインとして「可愛い!」と思える姿は見られていないので、そろそろそういうのも観たいなと思っていた。が、本作も暗い娘ではないが、「女子の魅力発散!」という役どころではなかったのは少し残念。 ただ、ラストの小西と語り合うシーンでのアップでは彼女に思わず吸い寄せられた。マジマジ見るとこんなに美しかったのかと。 演技力があると、プロデュ―サーや監督は難しい役をやらせたくなる傾向があるようで、能天気な明るい娘みたいな役が回って来にくいのかも知れないが、次はラブコメ的作品で思い切りキラキラした河合優実も観てみたい。
シンプルながら深みある青春ロマンス
小西と桜田の恋愛ストーリーかと思っていたら、物語はそう単純でもない。彼らの成長ドラマであり、大切な人を失うことの後悔と悲しみのドラマであった。
映画のタイトルから何となくキラキラ青春物か…と勝手に想像したのだが、実はそうではなく、この年頃が抱える不安や葛藤を丁寧に掘り下げた大変見応えのある青春ドラマとなっている。どこか所在なさげで常に孤立感を抱える小西たちに自然とシンパシーを覚えながら、最後まで興味深く鑑賞することが出来た。
まず、良かったのは音の使い方である。雨の音やチャイムの音、テレビを最大音量にしたら?という問いかけ、ポストに入れる鍵の音。また、スピッツの楽曲『初恋クレイジー』の使用も気が利いていた。これらの音の演出は、小西と桜田の関係、更には小西とさっちゃんのすれ違いの関係を上手く演出していると思った。
中盤で小西と桜田の心の声をシンクロさせる音の演出、蕎麦のすする音や胸の高鳴りを『ドキドキ』とわざわざモノローグ風に表現するあたりは、少々遊びが過ぎるという気がしたが、こうしたユーモラスな演出は本作の一つの妙味に思える。
また、小西役・萩原利久、桜田役・河合優実、さっちゃん役・伊藤蒼、3人の演技も実に素晴らしい。夫々に長い一人芝居が用意されており、本作の大きな見所となっている。いずれも引き込まれるような演技に目を見張った。
更に、本作にはストーリーを転がすための様々なアイテムが登場してくる。小西が常に携帯している日傘、大学近くの名物犬さくら、喫茶店のオムライス、ヘッドフォン等、これらアイテムの使い方も実に上手く、シナリオの構成という点でも感心してしまう。
基本的に演出自体はオーソドックスにまとめられているが、所々に凝った映像も見られる。
例えば、冒頭の土砂降りの雨の中をヘッドフォンを付けて歩く桜田(?)の後姿、晴天の中を日傘をさして歩く小西の後姿。この対比からして面白いのだが、他にややフェティッシュな映像演出も見られる。宙に舞う犬の毛、空から降って来る雪の結晶、揺れる照明器具の紐といった繊細な描写は映像感性という点で嘱目に値する。
また、途中でスクリーンの画額が急に変わる場面が出てくる。その意図については今一つ理解できなかったが、きっと何らかの意味があったのだろう。
いずれにせよ、全体を通してよく考えられているシナリオであり、演出も含めて感心してしまう個所が多い作品だった。
その反面、残念だったことが2点ある。
一つは終盤の”ある演出”である。詳細は伏せるが、果たしてこのシリアスな場面でこの演出はどう受け止めればいいのか…。ここまでとても良い流れてきていたのに、この部分だけまるでシュールなコントを見ているかのようで、自分はかなり戸惑ってしまった。また、ここはバイト先の銭湯の店主の立ち回り方にも疑問を持つ。
もう一つは、途中で2度ほど登場する武器輸出反対デモのシーンである。これがストーリーのノイズになってしまった感が否めない。テレビやラジオからはパレスチナのニュースが流れ、明らかに何らかの意図を持って出しているのは確かなのだが、メインのドラマに絡んでくるかと言うとそういうわけでもない。この中途半端な描き方は感心しない。
今も、まだ言えない僕は
小説の内容を詳細に把握した人に向けた映像作品
まず最初に、原作小説を読んでから鑑賞されることをおすすめします。
本レビューでは、映画を観て疑問に思った方へ、個人の感想も含めた原作との違いを書きます。
映画のみならず、小説を読もうとしている方にもネタバレになることをご了承の上ご一読ください。
・小西について
原作では三重県出身で関西弁に近いです。映画では標準語なので、主人公以外が関西弁なことも相まって周りの人物全員と距離感を感じる印象になっています。
それに加え、心理描写が小説と比べてほぼ無いと言っていい少なさで、違和感を感じるほど何を考えているか分からない浮いたキャラクターになってしまっており、感情移入がしにくいです。
・祖母への思い
原作ではことあるごとに小西の祖母との思い出が綴られています。
小西がどれだけ祖母の考え方に影響を受けているか、どれだけ祖母のことが大切だったか、祖母が認知症になってから亡くなるまでどのような思いだったかなどが詳細に綴られており、逆に亡くなった後の思いを涙ながらに語るシーンは一切ありません。
映画では桜田との会話の中で口数も少なく何を考えているか分からない一方、急に祖母への思いを語り出した勢いに驚きました。
・傘の再現度
この作品で最も重要と言っても過言ではない小道具。
傘は絶対にこだわるべきだった。
小説では、折り畳み傘も雨用の長い傘も、祖母からもらった大事な傘という描写があります。
映画の折り畳み傘は酷い。千円で買えそうな、日差しが透けるほど生地の薄いシワシワの傘。しまいには祖母からもらった設定もありません。
あえて粗悪な雨傘を晴れの日にさしているという意味での変わり者を描きたいのかと思ってしまうほどでした。
ちなみに桜田に預けることになる雨用の長傘は、原作ではアニマル柄です。映画では紫色の丈夫そうな傘で"祖母感"を表そうとしたのかもしれませんが、「この傘派手でしょ」という台詞を出すには派手さに欠けていました。原作アニマル柄だし。
・桜田の暴言シーン
小説では決してこのような乱暴な表現はありません。
そもそも小西の推察というふうに箇条書きのように台詞ではなく文章として書いてあり、"不快""不気味だ"という言葉はあれど、"気持ち悪い""消えて欲しい"などの強い言葉は一切ありませんでした。
映画ではいきなり桜田が今までとは打って変わった衝撃的な発言をさも現実でしていたかのように表現されていて、それが小西の想像だったとしても、小西の中の桜田がいわゆる普通の大学生が言いそうな雑な言葉を使うような奴だと思っている描写に納得がいかず、がっかりしました。
・山根との喧嘩シーン
原作では、山根に対して小西は"消えろよ"などの強い言葉は発しておらず、普段よりすこし刺々しい態度の小西と普段通りの山根が少しずつ言い合いになってしまうというシーンでした。
本作唯一の救いである山根が、映画では雑に理不尽に傷つけられるという最も胸が痛むシーンでした…。
ちなみに原作では山根は坊主です。
・三人の長台詞
今まで原作と映画がいかに違うかを書きましたが、三人の長台詞はほぼほぼ原作のまんまなんですよ。
そこが良くないんですよね。
小説と同じくらい詳細な心理描写ができていないから、三人の熱量に着いていけないんですよ。
役者の方の演技はとても良かったです。特に伊東蒼さんは原作の喋り方のイメージそのままでした。
河合優美さんの長台詞中にカットを入れないまま突然顔面に寄る奇抜なカメラワークは、意図がわからず逆にノイズになっていると感じました。
・終盤のサクラの真似
このシーンで不快感を感じた方は少なくないと思います。
なぜなら心理描写が無いからです。
原作では、小西が桜田を励ますために今自分ができることを考えた結果、スーツに毛がついていたこともありサクラに本気でなりきることだという答えに辿りつき、その意図を一瞬で理解した桜田のことを驚異的に思うというシーンでした。
原作でも少し突飛な表現だったとはいえ、二人の思考が似ていることを表す大事なシーンです。映画で小西の心理描写があれば、どれほど印象が変わったか計り知れません。
・最後に
原作にはセレンディピティという言葉は出てきません。
一日で急激に仲良くなることはなく、ため息(喫茶店)以外に遊びに行くこともありません。
「さちせ」は「幸せ」と言うより早く伝えたいから。
「このき」は「好き」と言うより時間をかけて伝えたいから。
これに関しても原作では独特な表現でありながら納得のつく説明が強調されており、映画でもさらっと流すのではなく数回説明するくらい強調した方が、より意味を持たせやすいのになと感じました。
原作と比べるとあまりに違う点が多すぎて、これより他にも挙げ出したらキリがありません。
もちろん、原作に対してリスペクトを感じる部分もあります。
ただ、監督独自の台詞の言い回しや間合い、カット割りを先行した結果、伝わるべきところが伝わらず賛否両論が激しく分かれる作品になったのだと思います。
私の場合、映画を観てから小説を読んだため、映画の先入観がある状態で読んでしまったことを激しく後悔しています。
特に長台詞の場面は先入観なく、ノイズも無い状態で読みたかったです。
小説を読んでから映画を観た方の感想を知りたいです。
原作を見てから観る人はだいぶ違和感を感じるかも
先に原作を読んでから鑑賞しました。基本的には原作通りでしたが、違和感を感じるところもいくつかありました。
・ナレーションがあったほうが良かった
→主人公がとても繊細な性格なので、心の声が分からずに行動だけ見るとかなりぶっ飛んで見える。
・さっちゃんの告白シーン
→小説を読んで勝手に早口で急いで言うのを想像していたので、実際はかなりゆっくり落ち着いて話していてイメージと違った。大号泣しながらいうというよりはその場では明るく取り繕い、1人になった時に号泣していたというのを想像していた。去り際も何度も振り返って手を振りながら歩くんじゃなくて、言い終わったら走り去っていくイメージだった。
・佐々木さんの激高
→さっちゃんの訃報を小西に伝えるシーン。うぬぼれんなよ!というセリフはおそらく小説にはなかった。黙れクソガキ!など小西を否定するような怒り方だなと。小説では少しでもさっちゃんを疑ってしまったことに対する自分と小西への怒りがメインだったはず。頭ごなしに怒っているように見えてしまった。
・目尻のシワ
小説では何度か目尻にできるシワを指でなぞりたいという心の中の描写が出てきて、最後のシーンでやっと触れるというようになっている。ずっと言い続けてようやく触れると言うことに重みを感じるのに、映画では最後のシーンしかなかったので原作を見ていない人からしたら、ただの変態のように映ってしまうのではないかと思った。
・回想シーン
→この話は小西のおばあちゃんの話がキーになってくるのに映画では一回しか出てこなかった。亡きおばあちゃんの言葉を胸に生きているという設定のはずなのに肝心なおばあちゃんが出てこないから、水族館でおばあちゃんの死を桜田さんに打ち明けて号泣するシーンも軽く見える。ただおばあちゃんが亡くなって悲しいんじゃなくて、たくさんの思い出があって、その自分にとっての特別な人が亡くなるから凄く悲しいわけで。小西のおばあちゃんと桜田のお父さんの名言は一つも削ってほしくなかった。「朝を楽しめる女性を選びなさい」みたいな言葉があって朝デートをするいうところもなかった。
・山根との喧嘩
→ただ小西が嫌なやつになっていた。キレてるポイントもよく分からなかったし、消えろよ!とか言ってたしそこまでじゃなかったでしょって思った。小説では山根は小西に理不尽にキレられても最後「ありがとう」と言う。そこに小西は少し罪悪感を感じるみたいなシーンがあったが、映画では山根も最後少し怒って完全に喧嘩別れをしていた。あと山根は坊主なはずなのにめちゃくちゃ髪長めの俳優さんでびっくりした。
・桜田花との再会。
→さっちゃんと花が姉妹だと知るシーン。小説では浪人したと言うことになっていたが、映画では不登校で一年学校に行っていなかったと言う設定に。大学で1人でも堂々としている花が、不登校になるだろうかという風に思った。しかもそのは不登校の理由も明かされないからモヤモヤするし。そこの理由わざわざ変える必要あったのかな。全体的に桜田が小西にキツく当たっていたけどそんなシーンは無かった。
・結婚式のシーンがない
→個人的には結婚式のシーンは欲しかった。桜田のお父さんが娘の結婚式のために書いた手紙をお母さんが代読するシーン。あそこがあればもっと感動できたかな。この先は見る側の想像に任せるという監督の考えなのかも知れないけど、色々不器用で遠回りして、ここでやっと報われた。小西よかったね。ってなるし、この日の空が1番好きだってなるんじゃないの?って思った。あと最後桜田が突然アップになるシーンはどういう意図なのか分からなかった。
もちろん良いシーンもたくんあった。ただ原作がとても大好きでとても楽しみにしたので、ちょっとした違和感が多く少しがっかりした。それ通りにやるというスタンスなら忠実に再現して欲しかったし、中途半端だった。タイトルを小説のまま使うのであれば忠実に再現するのが普通だと思うが。やっぱりおばあちゃんとのシーンは削ったらダメだと思う。小西の情報が少なくて、ただ陰キャの変わった奴になっている。全体的に惜しいな、勿体無いな、という印象。もっと細かい設定までこだわって欲しかった。水族館やボーリング、デモ活動など原作にないシーンを追加して、逆に小説に描かれているシーンを削るのはどうなのかと思う。初めて観た時は小説とのギャップにびっくりしてしまったので、こうだと分かった上でもう一度観てみたい。
うげっ
河合優実の恋愛ものじゃん。って思ってみたら脳天かち割られた...。
そんな優しいものではない。分かってはいたがそうだよね。
最初はカット割りとかシーン飛ばしとか違和感演出使っているなーとか思いつつ、普通の恋愛ものかなと考えていたらもの凄いどんでん返し。
役者の演技力が凄いだけに脳が痺れた。
エンドロールを無くしたのは脳を落ち着かせる事なく終わらせる天才的な発想だと思う。
まさかの冷や水
河合優実の演技力は、相変わらずすごい。だけど、話が全く頭に入ってこない。小説だったら叙述トリックで驚いただろうけど、この作品における人間関係だったら、「はーっ」って言いたくなる。
初々しいといえばいいのか、マンガ的な出会いで、徐々に距離をつめる2人。最初のうちは、何とも思わなかったが、ジャルジャルの世界観が所々に見え始めて、うーん来たかって感じ。違和感を感じたまま流すように鑑賞していていると、予期せぬ長台詞。ここのシーンは、めちゃくちゃ心に刺さる。
いろんな伏線を張って、どんどん返しあり、予期せぬ感動へ。スリラーだったらそれでいいんだろうけど、その仕掛に冷や水を浴びせられて、全くの興醒め。
作り込みすぎもほどほどに。
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