劇場公開日 2025年4月25日

「演出がありきたりの飛び道具なのに、ドヤ顔してきてしんどい映画」今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は エリセさんの映画レビュー(感想・評価)

1.5演出がありきたりの飛び道具なのに、ドヤ顔してきてしんどい映画

2025年5月6日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

とにかくセリフが全部「花束みたいな恋をした」を余裕で超える気持ち悪さなので、あれがダメだった人はこの映画も生理的に受けつけないのでは。「洗濯機のゴミ」とか「鳩時計のほこり」とか「TVのボリューム最大」とか「山根弁」とか、思い出しただけで気持ち悪くなる。

ストーリーは中・高生向け恋愛映画(邦画)の王道。「セカチュー」とか「いまあい」とかとたいして変わらない。現実には起こりえないような偶然(実は彼女と彼女は●●でした!)や登場人物がいきなり死ぬなど、何の工夫もなく山場を作る手法で鼻白む。

ストーリーがあまりにもダメなやつなので、監督が何とか大人でも観られる映画にしようと頑張ったが、俳優が凄いのでたまたま上手くいった部分(伊東蒼関連)もあるものの、大半はキモいセリフにキモい演出のかけ算になってうんざりする映画になってしまっている。

さらに、おそらく原作にはない要素(フェミニズム、パレスチナ問題)を入れているが、これがまさにとってつけたものにしかなっておらず、ほとんど何の効果もあげず空回りしている。小西のダメさや暴力性みたいなものを多少は炙り出す効果があったかもしれないが。

犬関連と、桜田家父のファンタジー演出はすべて上手くいっていなかった。前半の縦横サイズを主人公主観で変える部分とか、後半の花をいきなりズームする部分とかが代表だが、とにかく演出手法がありきたりの飛び道具なのにドヤ感がすごくて、いちいち鼻白まなくてはならないのでしんどい。犬のスローモーション映像で「小西の中の何かが変わった!」みたいな演出は3回くらいあったのでは。あれは本当に酷いと思った。

撮影も気持ち悪い。特にラストの目尻の唐突なズーム。主人公のフェティシズム視点なんだろうが、単なるおぞましいセクハラ映像になってるだけ。

あと、現代が舞台なはずなのに大学生の登場人物はみなガラケー世代っぽい。スピッツが好きというもそう。そもそもストーリーもケータイ小説っぽいし。

ただ、中盤までの伊東蒼の出てくるシーンはだいたい全部よかった。ある機能を果たすためだけの人物にしたくないという演出意図はハッキリ効果をあげていたと思う。

脚本も演出も撮影も編集もダメだが(音楽と美術は普通くらい)、俳優陣は素晴らしい。というより、河合優実と伊東蒼のおかげでなんとか映画として成立している作品。

とにかく、「花束みたいな恋をした」がダメだった人はお気をつけて。

エリセ
エリセさんのコメント
2025年5月7日

小西、さくら、さっちゃん、山根のセリフでサムくないものなんかないと思いますが、
・山根弁
・ゴルゴダの丘
・チャイムの音がでかい、ちょうどいい
・洗濯機のゴミ
・鳩時計のほこり
・テレビのボリューム
・オムレツ
あたりが特にヤバイですね。

エリセ
old-tearsさんのコメント
2025年5月7日

サムいと感じた主役3人のそれぞれこのセリフがというのはありますか?喫茶店のマスターも。
言い回しとか。

「花束〜」とは全く内容も監督や制作陣、役者さんが表現してることも違うと感じているので、ぜひ教えて欲しいです。

old-tears
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