「原作を見てから観る人はだいぶ違和感を感じるかも」今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は つきさんの映画レビュー(感想・評価)
原作を見てから観る人はだいぶ違和感を感じるかも
先に原作を読んでから鑑賞しました。基本的には原作通りでしたが、違和感を感じるところもいくつかありました。
・ナレーションがあったほうが良かった
→主人公がとても繊細な性格なので、心の声が分からずに行動だけ見るとかなりぶっ飛んで見える。
・さっちゃんの告白シーン
→小説を読んで勝手に早口で急いで言うのを想像していたので、実際はかなりゆっくり落ち着いて話していてイメージと違った。大号泣しながらいうというよりはその場では明るく取り繕い、1人になった時に号泣していたというのを想像していた。去り際も何度も振り返って手を振りながら歩くんじゃなくて、言い終わったら走り去っていくイメージだった。
・佐々木さんの激高
→さっちゃんの訃報を小西に伝えるシーン。うぬぼれんなよ!というセリフはおそらく小説にはなかった。黙れクソガキ!など小西を否定するような怒り方だなと。小説では少しでもさっちゃんを疑ってしまったことに対する自分と小西への怒りがメインだったはず。頭ごなしに怒っているように見えてしまった。
・目尻のシワ
小説では何度か目尻にできるシワを指でなぞりたいという心の中の描写が出てきて、最後のシーンでやっと触れるというようになっている。ずっと言い続けてようやく触れると言うことに重みを感じるのに、映画では最後のシーンしかなかったので原作を見ていない人からしたら、ただの変態のように映ってしまうのではないかと思った。
・回想シーン
→この話は小西のおばあちゃんの話がキーになってくるのに映画では一回しか出てこなかった。亡きおばあちゃんの言葉を胸に生きているという設定のはずなのに肝心なおばあちゃんが出てこないから、水族館でおばあちゃんの死を桜田さんに打ち明けて号泣するシーンも軽く見える。ただおばあちゃんが亡くなって悲しいんじゃなくて、たくさんの思い出があって、その自分にとっての特別な人が亡くなるから凄く悲しいわけで。小西のおばあちゃんと桜田のお父さんの名言は一つも削ってほしくなかった。「朝を楽しめる女性を選びなさい」みたいな言葉があって朝デートをするいうところもなかった。
・山根との喧嘩
→ただ小西が嫌なやつになっていた。キレてるポイントもよく分からなかったし、消えろよ!とか言ってたしそこまでじゃなかったでしょって思った。小説では山根は小西に理不尽にキレられても最後「ありがとう」と言う。そこに小西は少し罪悪感を感じるみたいなシーンがあったが、映画では山根も最後少し怒って完全に喧嘩別れをしていた。あと山根は坊主なはずなのにめちゃくちゃ髪長めの俳優さんでびっくりした。
・桜田花との再会。
→さっちゃんと花が姉妹だと知るシーン。小説では浪人したと言うことになっていたが、映画では不登校で一年学校に行っていなかったと言う設定に。大学で1人でも堂々としている花が、不登校になるだろうかという風に思った。しかもそのは不登校の理由も明かされないからモヤモヤするし。そこの理由わざわざ変える必要あったのかな。全体的に桜田が小西にキツく当たっていたけどそんなシーンは無かった。
・結婚式のシーンがない
→個人的には結婚式のシーンは欲しかった。桜田のお父さんが娘の結婚式のために書いた手紙をお母さんが代読するシーン。あそこがあればもっと感動できたかな。この先は見る側の想像に任せるという監督の考えなのかも知れないけど、色々不器用で遠回りして、ここでやっと報われた。小西よかったね。ってなるし、この日の空が1番好きだってなるんじゃないの?って思った。あと最後桜田が突然アップになるシーンはどういう意図なのか分からなかった。
もちろん良いシーンもたくんあった。ただ原作がとても大好きでとても楽しみにしたので、ちょっとした違和感が多く少しがっかりした。それ通りにやるというスタンスなら忠実に再現して欲しかったし、中途半端だった。タイトルを小説のまま使うのであれば忠実に再現するのが普通だと思うが。やっぱりおばあちゃんとのシーンは削ったらダメだと思う。小西の情報が少なくて、ただ陰キャの変わった奴になっている。全体的に惜しいな、勿体無いな、という印象。もっと細かい設定までこだわって欲しかった。水族館やボーリング、デモ活動など原作にないシーンを追加して、逆に小説に描かれているシーンを削るのはどうなのかと思う。初めて観た時は小説とのギャップにびっくりしてしまったので、こうだと分かった上でもう一度観てみたい。
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