「同じ成分でできている片割れ」今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は かばこさんの映画レビュー(感想・評価)
同じ成分でできている片割れ
ボッチのようだけどコミュ障なわけじゃない。
互いに心を開いている友達がひとりだけいるって理想的な生活じゃないですか。
私が山根なら、仲直りの場を自分から設けて、「謝るのに一ヶ月かかってしまった」って言ってくる友達いたら、嬉しくなりますね。こいつとトモダチで良かったと思う。
小西くんは青い頃にありがちなリア充幻想に支配されていない。
他人の顔色や空気を読むのに汲々とすること無く、自分が好きなことができる。
花ちゃんは山根みたいな友達がいない分、ハードな大学生活だけど、1年生(関西では「1回生って言うんですね)の頃は揺れたが2年になり達観して一人ライフを満喫する方向。
このふたりは、同じ木に成っている実みたいに同じ成分でできていると思う。
些細なことを同じ感覚で受け止めて、その線上でキャッチボールができる。
感覚が同じだからいちいち説明がいらない。
さっちゃんにお線香あげている涙の場で、突然かまって目線の犬のさくらになる小西くん、瞬時に察して抱きしめてよしよしとガシガシして、腹をわしわしする花ちゃんとよろこんでわしられている小西くん、傍から見たら引くけど、こんなキャッチボールできる相手を見つけたら一生ものです。
中盤の花ちゃんの豹変は、小西くんの悪い想像の暴走だったようで良かった。
良く知らない相手だと、好意を持っている分ちょっとしたことで自分の中で最悪の想像をして、それがどんどん膨らんでしまうというのは、自分としてもあるある現象で、気持ちわかります。
失恋確定のさっちゃんの最初で最後の告白は、さっちゃんがいじらしくて堪りません。
自分でも長い、しつこいと思いながらも止めることができない。自分の気持を吐き出すのにはあれだけの尺が必要だったのね。さっちゃんには幸せになってほしかった。
そして、気まずい、言いにくいことを言い切るには、関西弁は良い言葉だなと思いました。
オムライスの件の空耳の安斎さん、まんま本人で良い味。
原作ジャルジャルの片割れらしく、彼らの漫才のらしさが満載。
会話やシチュエーションに、笑かしが程よく仕込まれていて気分良く笑いました。
小西くんも花ちゃんも、山根くんもさっちゃんも、今のワカモノらしく、息をするように周囲と相手を傷つけないよう細心の注意を払っているのが印象的。話をするにも慎重に言葉を選んでいるんですよね。
こんな河合優実も良いと思いました。
いつも同じような役でイメージが固定しそうだったけど、ルックスがあまり個性的じゃないのが幸いしているような気がする。
さっちゃんとは、お互いのっぺりしているのに似てない姉妹です。
コメントありがとうございます。
自分と似た意見だけでなく、真逆な意見も知りたくてレビューに目を通すので、不快なんてとんでもない。
自分は根本的に主人公が嫌いなところが大きかったのだと思います。
コンプレックスの反動で周囲を見下してるし、自分からの興味でしか動かない。
花が待ち合わせに来なかった時に、「嫌われてたのかも」だけで「何かあったかも」という心配がゼロなところも…
せめて線香をあげに行くのは自主的であってほしかった。
本当に、相手を傷つけないような慎重さを自然に身につけている二人でした。喫茶店のマスターの秘密を聞き出すにも、マスターに気遣うだけじゃなく、今踏み込むことが互いの意に反していないか気遣う場面が優しいと思いました。
コメントありがとうございます。後半、あまりの展開にセレンディピティも吹き飛んでしまいました。でも私の関西の知り合いには彼女が元カノのいとこだったという悲惨なケースがあります。狭い世間です。
共感ありがとうございます。
セレンディピティをこれだけポジティブに考えられて凄いと思います。
山根は絶妙でしたね、坊っちゃんの山嵐の氷水の話を思い出しました。彼女もカワイイし、語り口だけが・・。
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