I Like Movies アイ・ライク・ムービーズのレビュー・感想・評価
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不器用な青年の物語
『I Like Movies アイ・ライク・ムービーズ』青年期特有の自らの万能感を持った、ちょっと変わった高校生。社会は、そんな甘くないよと、したり顔で言いたくはない。だって、自分だって似たような所通ったよな、そんな懐かしさを抱かせてくれる。
神経質で、自己中心的で、少し気難しい主人公
こう書くと、扱いづらい高校生と思われるでしょうね。
確かに、主人公は、人間付き合いも下手だし。
まあ、青年期にはこんな人もいるなという感じ。
ただ、彼と友達になれるかは、微妙。
自分も主人公と同じ映画好きだけど。
ちょっと波長が違う。
高校生活を振り返ると、友達づくりってそんな感じでしょ。
ある程度、波長が合わないと。
大人になると、互いに合わない人とは、距離を取ったり。
しかし、この年代だと、人との距離のとり方なんてわからないから。
平気で、人を傷つけたり。
主人公の抱えるトラウマ
これはもう、五年前に父親が、自殺したこと。
自分の中で、上手く処理できない。
当たり前だけど。
それだけ、ショックはでかいですよね。
母親に対する反発、自らの夢を追いかけたい気持ち。
それが、十分叶わない苛立ち。
かと言って、母親から離れられない、マザコン少年。
そんな彼が、引き起こすドタバタやトラブル。
一つ一つが、この年頃では、さもありなんです。
こうやって、社会に出てゆくんだろうな。
そんな彼は、ラストで希望とは違うけど、大学寮の新しい仲間との出会いで終わる。
まっとうな、青春映画です。
ここで、夢叶わぬと引きこもると後々大変なんですが。
こうやって、自らの進む道を模索してゆくんだろうな。
幸せな、主人公ですよね。
自我の確立なんて大げさではないですが。
いろんなストレスを体験して。
そう、その年代に経験すべきものを。
これを、引きこもりで避けてしまうと、後々問題が。
主人公のようであれば、少なくとも夏休みも冬休みもあり。
その問題から一時的に、距離を置くこともできるわけで。
そうやって、時間をかけて社会に出ればいいわけで。
引きこもりで、この問題を後回しにしてしまうと。
ある時、いっぺんに問題と向き合わなければならない。
そして、そのころには、夏休みも冬休みもない。
どこか、不器用ではあるけど、彼ならやってゆくだろうなと。
そんな、ラストがよかった。
大学デビューに夢を見た若者は、黒歴史の中で成長を遂げていく
2023.12.30 字幕 アップリンク京都
2022年のカナダ映画(99分、G)
映画マニアの17歳が巻き起こす騒動を描いた青春映画
監督&脚本はチャンドラー・レヴァック
原題は『I Like Movies』 で、劇中で主人公が発するセリフ
物語の舞台は、カナダのトロント郊外にあるバーリントン
そこにあるアンダーショット校に通う17歳のローレンス(アイザイア・レティネン)は、映画好きが講じて、親友のマット(パーシー・ハインズ・ホワイト)と共に「はみ出し者の夜」を開催していた
その会は「サタデー・ナイト・フィーバー」を鑑賞したり、お気に入りの映画を見たりするもので、二人はクラスの「思い出ビデオ」の制作も任されていた
担任のオレニック先生(アナンド・ラジャラム)は遅れている進行状況に苛立ちを見せ、テーマ外の課題を提出されて憤慨していた
ある日のこと、行きつけのビデオ店「シークエルズ」に母テリ(クリスタ・ブリッジス)と訪れたローレンスは、延滞料金の発生によって新作を借りられなかった
そのビデオはマットが自分名義のカードを使って借りたものらしく、彼はマットからビデオを取り返さなければならなくなった
店長のアラナ(ロミーナ・ドゥーゴ)は猶予を与え、ローレンスはついでに持ってきた履歴書を手渡した
ローレンスはNYC(ニューヨーク大学)の映画学科に進学することを夢見ていて、そのための学費を稼ごうと考えていた
母は父も通った地元のカールトン大学への進学を希望していたが、ローレンスはどうしてもニューヨークの大学に行きたかった
それから数日後、急遽欠員が出たとのことで、ローレンスに電話は入る
面接の末に採用された、ローレンスはシークエルズの一員となることになったのである
映画は、このアルバイトを機に「はみ出し者の夜」ができなくなり、さらにマットに対して決定的な一言を言ってしまったがために疎遠になる様子が描かれていく
マットはクラスメイトのローレン・P(エデン・キューピッド)に好意を寄せていて、マットと一緒に作っていた「思い出ビデオ」に彼女を参加させようと考えた
だが、ローレンスは頑なに彼女を拒み、それによってマットはローレン・Pと一緒に「思い出ビデオ」を作ることになった
また、ローレンスは「高校時代の友人は「仮」だ」と考えていて、大学になれば新しい生活が始まると思っていた
過剰な夢を見て、カナダから脱出することを考えていたのだが、とうとう大事件を起こしてしまう
それは、規定違反の店舗での泊まり込みに加えて、正面玄関ののであるロックを掛けなかったことによって、大規模な盗難に遭って大損害を出してしまった
泊まることを許可したブレンダン(アンディ・マックイーン)は解雇され、ローレンスも従業員特典が使えない見習いへと降格される
だがアラナは一連の身勝手なローレンスの行動に憤り、即時解雇をして欲しいと本部のオーウェン(Dan Beirne)に申し立てるのである
映画は、拗らせ系高校生に巻き込まれる大人を描いていて、人に好かれたいと思うローレンスが自分の行動の結果を予測できないがゆえに思わぬ事態になる様子が描かれていた
ビデオ店を辞めてからアラナと再会したローレンスは、そこで「どうやったら人に好かれるのか?」と聞く
彼女は「人の話を聞くこと」と言い、その実践の難しさというものを体感するようになる
夢は破れ、父と同じ大学に通うことになったローレンスは、ひょんなことから同級生のタビサ(ヴェロニカ・スロウィコウスカ)から声を掛けられることになるのだが、この結末はちょっと出来過ぎな感じもしないでもない
映画好きじゃないとわからない引用が多いのだが、ぶっちゃけると知らなくても「物語の進行にはほとんど影響しない」ので、「ローレンスはオタクなんだなあ」ぐらいに思っておいてもOKだと思う
細かな引用と比喩表現を知るためには知っておいた方が良いとは思うものの、全部網羅しようとすると15本ぐらい観ないとダメなのと、配信で観られるかわからない作品も多い
なので、無理して予習する必要はないのだが、『マグノリアの花たち』だけは「本作内でネタバレされる」ので、気になる人は先に観ておいた方が良いのかもしれません
いずれにせよ、古傷を抉るような映画でもあるし、対岸の火事のようでもあるし、両極端な印象を持たれる作品のように思う
ローレンス自身は共感を得るタイプではなく、子ども相手にムキになるアラナも大人気ないと思う
社会勉強をするには未熟な精神性なのだが、大体の人がこんな感じに黒歴史を作っていくと思うので、それはそれで微笑ましく思えるだろうか
人の話を聴くというのは一種の才能だと思うけど、尋問になってしまうタイプの人はコミュ障っぽさがあると思うので、自分が相対した場合も微笑ましく待ってあげたら良いのかな、と思った
Steel Magnolias
年末に映画好きの少年を描いた作品が上映されるのか〜どんな感じの映画愛なんだろう、楽しみだな〜と思っていましたが、中身は超絶ナルシスト人間性クソ野郎の映画大好きな自分大好き映画で最高にイライラしましたが、結構笑いました。
自閉症を持っているのかな?と思いつつもそんな描写は微塵もないので本編中ずっとワガママクソ野郎の印象があり、冒頭でのナチュラル差別だったり、送り迎えしてくれる母に強く当たったり(ここだけはガチのマジで嫌い)するので不快感は既に限界値に届いていましたが、大学進学の費用を貯めるためにビデオ店で働く事にしたとこからクズっぷりは加速していきます。
気になったのがディスクの扱いが結構雑で投げるようにしたり、お菓子コーナーに置きっぱなしにしたりと、そんな行動やっちゃダメだろ…みたいな事を慣れた手つきでやっているのでその手をもぎ取ってやろうかとも思いました。
面接をしてくれる店長のアラナに対して僕は凄いんです、大変なんですと採用される側の人間の態度ではないですし、アラナが寛容だったからその態度に対して苦言を呈さず採用もしてくれたのでまず感謝すべきなんですがこいつは本当に感謝を知りません。
ビデオ店でシュレックのDVDを売っていこうと言われるとシュレックなんてブプッみたいな態度で作品や他のスタッフをバカにしたような態度を取りますし、お爺さんに「この作品は知らんか?」→「これですよ」→「これじゃない!」→「これですよ!」(これに関しては自分もこういう人の接客をした事があるので分からんでもない)の押し問答の後どこかへ逃亡するという接客業を放置するパワープレイに出たりと根本的にこの人仕事が向いてないんじゃ?と思わせる場面が多かったです。
そもそも遅刻が多かったり、真面目に仕事をしていなかったり、癇癪を起こして休憩室に引きこもったりするなど給料をもらってる人間のやる最低限すらこなせていないので、それでも周りは攻めないんですから優しすぎます。
こんなやつギッタギタにしてやりましょう。
卒業制作でこだわりすぎるが故に作業が遅くなっているのも事実なのに、それを心配してきてくれた親友たちも傷つけてしまっている外道な上に差し入れは平気な顔して飲もうとする底なしのチャランポランっぷりにようやく親友たちがキレ出してくれるのでその調子だぞ!と元気が出てきました。
ニューヨークの大学に行って映画を撮りたいと豪語している割には映画作りに対して全く熱が入っていないようでしたし、映画を観て評論する、ここがダメだここは最高だと評論家気取りで何もアクションを起こしていないのでそりゃお母さんも予算面もあって反対するのは当然だろと思いましたし、それに対してブチギレまくるローレンスはなんなんだ?と常に怪訝な目で観てしまいました。
親友と一緒にSNLを観ようと約束してそのままビデオ店に泊まり込むのも相当非常識ですが、バイトリーダーにしつこいくらい言われていた扉のロックを忘れて帰って泥棒に入られるという訴えられてもおかしくない事をしでかしてるのに何故か飄々としていてぶちのめしたくなりましたが、アラナが「このカス野郎!」などなど気持ちいいくらい罵詈雑言を浴びせていてなんだかスカッとしました。
やっとこさクビになった後でもまだまだ図太い性格なのか、店員割使える?とのうのうと言ってみたり、その後アラナと会っても一言も謝らなかったりと、もう誰かコイツを撃ってくれってくらい反省の態度が見られなかったのはある種一貫していたのかなとも思いました。
ここまでイラつかせられたのはアイザイア・レティネンさんの演技のうまさがあったなと思いました。
一挙手一投足が細かに苛立たせてくれますし、体型のだらしなさも相まって憑依力が高すぎるわ〜と感心しっぱなしでした。
大学生活をスタートさせる一見爽やかなラストですが、根幹は何も変わっていないような気がするので、あの暴走が引き起こされないまま現在まで生活していただけていたら幸いです。
レンタルビデオ店も少なくなってきた中で、あの空間でしか得られないワクワク感には大いに同意しますし、言葉だけな部分も自分に当てはまったりはしましたが、こんなオタクにはなりたくないの集合体なのは変わらずです。
映画を見てる本数をどこか誇りに思っている自分の中にもリトルローレンスが潜んでいるんだろうなーと思った年の瀬でした。
鑑賞日 12/28
鑑賞時間 15:50〜17:35
座席 C-12
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