「ゆっくり、ハマっていく。」劇場版総集編 ガールズバンドクライ 前編 青春狂走曲 岩戸さんの映画レビュー(感想・評価)
ゆっくり、ハマっていく。
TVアニメ視聴済みです。既に5回はTVシリーズを観て、曲も全て追っかけているほどのファンですが、正直初見では微妙、という方がいてもしょうがない作品かなと思います。自分もそうでした。
初見時の感想は、何かよくわかんないけど闇を抱えた主人公たちが生業として本気で音楽をやっていく─というのがテーマに思いましたが、肝心の音楽が微妙。レベルは非常に高いのですが、歌詞が詰まりすぎていて、結局どういう曲だったのかが分かりにくいという部分が大きいと思います。加えて、ボカロみたいな曲を人間に歌わせてみようという挑戦が制作陣にあったらしく、ここが万人受けしない点のひとつでしょう。それでも聴き込んでいくとこのバンドにしかない持ち味に気付けたりしていつの間にか抜け出せなくなっているのですが。
また、「どうしてこんなことで衝突が生まれているのか分かりにくい」という問題があります。MyGoやAveMusicaでもそうでしたが、キャラクターの掘り下げが起こる前に衝突し、それを境にキャラについて分かっていくという段階を踏みます。特にMyGoは秀逸で、1つの事件が原因で衝突し、1つの事件によって全て解決する、というストーリーになっているため非常に明快でした。ところがガルクラでは「若さが原因でぶつかっているだけでは」とも取れるシーンが非常に多いです。間違いではないですが、丁寧に紐解いて行くと決してそうではなく、人の嫌な部分が本当に嫌な形で表れているだけです。「お前は上手く行こうが行かまいが必ず後悔する」というセリフがありますが、簡単には行かない人間の嫌な部分を丁寧に描いているからこそだと思います。(合理的な人には向いてない作品かもしれません)
Mygo、musicaで散々やり尽くされた内容と仰る方がいますが、それについては少し違うと思います。あちらは学生という立場がある以上、全員が全員「売れなきゃ終わり。」という焦燥感はありません。数ある選択肢を失ってまで音楽をやるとはどういうことか?という、最近のバンドアニメの中では音楽に対して最も真摯であると思います。
これから1周目の方や、1周目で微妙だったけどまだ未練があるという方は是非「初見ではハマらんかも」というのを念頭に置いてください。もう一回すべてを理解した上で見ると大変面白いです。特に劇伴と新規曲は最高でした。
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