Brotherブラザー 富都(プドゥ)のふたりのレビュー・感想・評価
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苦悩する姿が目に焼き付いてはなれない
アジアのにおいが鼻先をかすめる映像。
冒頭からすっかり映像の中に引き込まれました。
私の中には善と悪にカテゴリーする癖があることをまざまざと知った。
そして、報われることが当たり前と言うことはないと知っているのに、さも手の届くところにそのものがあるように思っていることも思い知った。
徳を積むとか、神・仏に祈るとか。
何の意味もなさないと目の当たりにする。
が、反面救われるのかもしれないという事も感じる。
いや、希望か切望か…。
政治の脆弱性が生む悲劇。
手話で伝えてくるどうしようもないほどの悲しみと怒りと諦め。
何故だ、なぜどうして…と涙が止まらなくなってしまった。
僧侶は手を握るほかない。
私もスクリーンのこちらで怒り、苦しみを爆発させても僧侶のように手を握ることすらできない。
この作品はフィクションかもしれないが、現実でもあろう?
と。
もう一つ。
愛のカタチ。
ただそこにあるものはカテゴライズできない、もしくはすべてのカテゴリーに属する愛だろう。
安っぽい展開になってしまったらシラケてしまうだろう流れでしたが、静かに真実がえがかれた場面は奇を衒うものでは無かったのがかえって愛を語るうえでカチリとはまったのではないだろうか。
ぽつんと立ちつくす兄の姿がもう全てを語っているようで涙そのもの。
兄の笑顔が愛そのものでした。
鑑賞後はなんとも言えない心持ちでしたが、良い作品だったと思います。
あるエッセンシャルワーカーのこと
私たちはどんな時代に生きているのだろう?
貧困にあえぐ兄弟(血のつながりはないが)のマレーシア発のドラマがここ迄心を打つのは、ひとえに人が人を想う人間の根源だからだろうか?
問題は二つある。
社会の分断を促進する移民排斥の非人間性 もろてを挙げて賛成というわけでもない私にもこの問題は国のアイデンティティに関わる問題であり、すぐれて国家政策が重要ということと思える
この映画では弟が移民ビジネスに手を染めている
二つ目はエッセンシャルワーカーの危険性について、人の心情面に関わる仕事(ボランティアであろうと同様)が、一人でクライエントに接するとかありえないが、それだけ人材は充足していない。しかしこの映画のような結末は、残念ながら可能性は否定出来ないこと
マレーシア代表としてアカデミー賞にも手を上げていたが、世界的にも目を背けられない問題だからだろう!
最後に愛の究極の形が、この兄弟にとってほぼ相手への無私の献身だと気づけば、私は本当の愛の究極をみるようなはれやかな涙にくれた
是非今年観るべき優秀な映画だと思う。
マレーシア語でアバンは兄、アディクは弟という固有名詞。映画の主題は世界共通言語
ウー・カンレン観たさに。私が見た中では、彼は静かな役が多いイメージだけど今回はろう者で声が聞けず。そのぶん内から湧き出るものがすごくて泣きました。初めて知ったジャック・タンにも大注目。養母のようなマニー役のタン・キムワンも好きになったよ。
映画.comは台湾のスーパースターであるウー・カンレンの写真を入れるべきですよ
不法移民は身分証明書がない。低賃金で日々を生きるしかない。日本にいると気にとめない当たり前の、自分はどこの誰かと言う証明がないので銀行口座も作れないし、免許も取れない。過酷な環境に生きる人々が世界にいる。ちょうどトランプ大統領が不法移民を逮捕しているというニュースもあり、普段考えてないことを考えさせられました
ただ、ちょっとツッコミどころが何箇所かあり。
最後に会いたい人は?というところで入ってきた後ろ姿の男性、背中がふっくらしてたので、NGOの女性のお兄さん?
最後にちゃんと謝りたかったんだなぁとばかり思いきや弟。
弟くん、えらくふっくらしすぎ。
このシーンだけ最後に後付けしたのかな?
主役の二人は魅力的
光と影
どの国にも影の部分があるが、その影の世界でしか生きられない二人。最後に血の繋がらない兄弟と言うこと、更に身分証明を得るにも二人には異なる難度があり、特に兄アバンにはアバン自身が聾唖者と言う事もあり身分証明書の獲得には相当の困難があると言う事がが分かり、尚更、兄としての愛情の深さに涙しました。
兄のアバンは、その困難な社会的立場故、ミャンマー人女性との初恋も諦めざるを得ず、本当に薄幸の人でした。それにしても、兄を演じた俳優が素晴らしく感動しました。タレンタイム以来、マレーシア映画の幾つかにハマりましたが、ブラザーの素晴らしさにも納得です。
重く色々と考えさせる
選べない人生
クアラルンプールのプドゥ地区にあるスラム街で暮らす身分証明書を持たない兄弟の話。
市場でマジメに働くろう者の兄と、チンピラの手先みたいなことやヒモ活みたいなことをしている弟という設定だけど、血の繋がりはなく、兄は火事で両親を失い出生証明書を焼失したはホント?弟は不法移民の子で出生証明書は偽物ってことでOK?
それっぽいことは言っているけれど、社会福祉が違法だとか言われたり、弟は身分証を申請できないのに、親父の証言があればとか色々と聞こえてくるし、マレーシアの戸籍やその他制度がわからないからちょっと背景の把握が難しい。
苦しい立場にありながらも弟思いの堅実な兄と、甘ったれながらも兄貴やマニーさんには着いて行く弟の関係や日常をは、重く明るい未来がみえるものではないながらもなかなか楽しそうで良かったけれど…。
そしてヘビーな流れになって、かなりズシンと来ていたけれど、えっ!なにそれ!?な実は…があってなんだか拍子抜け。しかも弟もそれをわかっていふってことかな?
兄貴の叫びで盛り返したけれど、なんか途中のスカしとか、叫んだだけで満足しちゃった感じがちょっともったいなかった。
絶望と救いとDespair and Salvation
不法入国の人たちの現状は
知っているようで知らない。
立場が弱い故に、
絵に描いたように不当に扱われる兄と
出生届を持っている弟の兄弟の物語。
生活に余裕がないと、
人に優しくするのは難しい。
良い悪いと言う次元ではなく。
その国の正式な構成員でないと言う事が
どう言う事なのか、
人を好きになることも、
将来を思い描くこともままならない。
まして兄は耳が不自由。
日本でも昭和の頃、
そう言う立場の人が主人公のドラマもあった。
耳が不自由な夫婦が子供を育てる物語。
親が言うに、私が子供の頃
(小学校に上がる前だと思う)
そのドラマを見る時、
その夫婦がその障害ゆえに不当に扱われる度に
激怒して、すごく怒っていたし
許せんと憤っていたらしい。
その憤っていた記憶は薄っすらあるが
ドラマのタイトルは覚えていない。
三つ子の魂百までじゃないが、
やはりそう言う場面は
とても辛くなる。
この物語は、
人としての正しさと弱さゆえに、
意図しない不幸が襲い、
それが兄の絶望と
弟の微かな救いへと向かっていく。
もう、辛すぎて、
この映画を日曜の朝10時から観たんだけれど、
昼から少し寝込んでしまった。
この世界にこの兄弟は確実にいるんだろう。
そのことは思い続けないといけないんだろうな。
ハッピーエンドに持っていく手もあったかもしれないが
あくまで厳しく、現状の抱える問題の両面を見せた
すごい作品だと思いました。
We may think we know the reality of undocumented immigrants, but in truth, we know very little.
This is the story of two brothers—an elder brother who is unfairly treated simply because he is in a vulnerable position, and a younger brother who possesses a birth certificate.
When life is tough, it becomes difficult to show kindness to others. It’s not a matter of good or bad—it’s just the way things are.
What does it truly mean to not be an official member of a country?
Loving someone, envisioning a future—such things are not easily afforded.
On top of that, the elder brother is deaf.
Even in Japan, back in the Showa era, there was a drama about people in similar circumstances.
It was about a deaf couple raising a child.
According to my parents, when I was a child—probably before I even started elementary school—I would get furious whenever that couple was mistreated because of their disability.
They told me I was outraged, saying it was unforgivable.
I have a faint memory of that anger, though I don’t remember the title of the drama.
They say “the child is father to the man,” and even now, I still find such scenes unbearably painful.
This film portrays the unintended tragedies that stem from both human righteousness and weakness.
It follows the elder brother’s despair and the younger brother’s faint glimmer of salvation.
It was so overwhelming that, though I watched it at 10 AM on a Sunday, I had to lie down for a while afterward.
There is no doubt that these brothers exist somewhere in this world.
That is something we must never forget.
Perhaps the film could have taken a route toward a happy ending,
but instead, it remained stark and unflinching, exposing both sides of a harsh reality.
It was truly a remarkable work.
タイトルなし(ネタバレ)
ケースワーカーの亡くなった場所に花を添えるところ、独房に光がさしてるけど兄の首から上は真っ暗なところ、兄が処刑されたころに風に流されるスカーフ、映画的で良いシーンがけっこうあった
あとはキッチンの画も結構好きだった。
兄に感じていた違和感が最後分かった。ストーリーと演技が秀逸
兄はひたむきに生きていて、むしろ弟の方がトラブルばかり一見投げやりに生きているように見える。
人間、未来に希望があるからひたむきに生きられるはず。なのに、兄の目には光が感じられない。真っ黒で、周りをじっと見つめるような目だった。
最後兄が感情をぶちまけるところで、ああなるほどなと思った。兄には未来への希望など無かったが、それでもひたむきに生きてきたのだ。そうさせていたのは兄の人格なのだろう。
子供時代の兄の目にはまだ光があったように思う。彼が希望を失ったのはいつだったのだろう。映画では語られなかった、人生のストーリーがあるのかもしれない。
65点ぐらい。あまり響かなかった。
ポスターから最初ゲイの映画かと思ったけど、ゲイの映画じゃないです。
マレーシアのスラムが舞台ということで、スリリングなのを期待したけど、スリリングというよりはヒューマン系です。
思ってたのと違ったのと、後半マッタリしてる?からか、最後の方は少し寝てしまった。
調べたら、なんとネットフリックスで配信されている作品だったので、寝落ちした部分をネットフリックスで観ました。
個人的には、あまり響かなかった作品です。
行ったことないマレーシアを映画で観光でき、いろいろ知れたのは良かった。
映画館で公開中の作品だけど、現在ネットフリックスでも観れます。
この映画のホームページに監督のインタビューが載っていて、この映画が深く理解できるので、よかったら映画を観たあとチェックしてみて下さい。
陰日向
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