「多様な家族の愛のカタチ」Brotherブラザー 富都(プドゥ)のふたり HKさんの映画レビュー(感想・評価)
多様な家族の愛のカタチ
前半はクアラルンプールの街並みや市場、生き物たちの色彩の鮮やかな映像を背景にして、
兄弟と周囲の人々の貧しいながらも逞しく生きる暮らしぶりが描かれる。
とくにアバン、アディの兄弟と親代わりのマニーさん3人の団らんの食事、
兄弟ふたりのダンスは、
国籍などの出自、性別を超えた多様な家族の愛の姿を描いた
ほんとうに美しい白眉たる素晴らしいシーン。
後半は偶発的な事件をきっかけにして、
兄弟は苦しみ、追いつめられていく。
クライマックスの兄アバンの自らの想いを訴えるシーンは、
不条理な社会を超えて、神の沈黙に対する怒りを表出しているようで
強い表情も相まって観る側の心に深く突き刺さってくる。
ラストは静かに運命を受け入れていく兄弟とマニーさんの心象風景が印象的。
音楽もメロディーではなく重厚なサウンドで聴かせる感じが
ストーリーにマッチしていたと思います。
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