「苦悩する姿が目に焼き付いてはなれない」Brotherブラザー 富都(プドゥ)のふたり ももさんの映画レビュー(感想・評価)
苦悩する姿が目に焼き付いてはなれない
アジアのにおいが鼻先をかすめる映像。
冒頭からすっかり映像の中に引き込まれました。
私の中には善と悪にカテゴリーする癖があることをまざまざと知った。
そして、報われることが当たり前と言うことはないと知っているのに、さも手の届くところにそのものがあるように思っていることも思い知った。
徳を積むとか、神・仏に祈るとか。
何の意味もなさないと目の当たりにする。
が、反面救われるのかもしれないという事も感じる。
いや、希望か切望か…。
政治の脆弱性が生む悲劇。
手話で伝えてくるどうしようもないほどの悲しみと怒りと諦め。
何故だ、なぜどうして…と涙が止まらなくなってしまった。
僧侶は手を握るほかない。
私もスクリーンのこちらで怒り、苦しみを爆発させても僧侶のように手を握ることすらできない。
この作品はフィクションかもしれないが、現実でもあろう?
と。
もう一つ。
愛のカタチ。
ただそこにあるものはカテゴライズできない、もしくはすべてのカテゴリーに属する愛だろう。
安っぽい展開になってしまったらシラケてしまうだろう流れでしたが、静かに真実がえがかれた場面は奇を衒うものでは無かったのがかえって愛を語るうえでカチリとはまったのではないだろうか。
ぽつんと立ちつくす兄の姿がもう全てを語っているようで涙そのもの。
兄の笑顔が愛そのものでした。
鑑賞後はなんとも言えない心持ちでしたが、良い作品だったと思います。
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