「「志」まで買い与えようとした父親」抓娃娃(じゅあわわ) 後継者養成計画 豊島区のはずれさんの映画レビュー(感想・評価)
「志」まで買い与えようとした父親
海外の映画に関しては、基本的にその国の文化、国民性、宗教なんかを知っておいてから見た方が楽しめることが多いです。この映画については、中国で長年続いていた一人っ子政策と、それによって生まれた「小皇帝」と言われる人たち、さらにその親世代が育ってきた状況なんかを知っていると、更に楽しめると思います。これらから生じる社会課題が、前提になっているストーリーです。
「小皇帝」とは、親や祖父母の庇護の下、甘やかされて育った子どものことを指します。この映画では、長男の子育ての経験から、次男がそうなるのを避けようとした父親が、結局自分の夢を果たすために、次男を庇護の下に置き、敷いたレール通りに導こうとして、起こるドタバタ劇です。父親は息子に立派な跡継ぎの経営者なってほしくて、学問だけでなく「志」、「精神」をつけさせるために、あれやこれやお金をかけて仕掛けますが、本人の意思まではコントロールできなかったという話。
これを見て、ジム・キャリーの「トゥルーマン・ショー」を思い出しましたね。
あまり多くの映画館で公開していませんが、日本での子育てに関しても、参考になる面があると思います。まあ、いくら親が干渉しても、子どもは子どもの人生があるということも、この映画では伝えています。自分で人生を見極める力を養うように導くのが、親の役割でしょうかね。
ちなみに、この映画は、「西虹市」という架空の都市が舞台になっていますが、父親役の瀋騰は、これまでに「西虹市首富(西虹市一番の金持ち)」等、西虹市を舞台にした映画の主演をしています。何か関係があるんでしょうかね? (「西虹市」の中国語の発音は、トマトのものと一緒ですね。)
また、「馬彼得」は、中国において、英語のFワードみたいなスラングみたいです。