劇場公開日 2024年11月29日

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「不良映画の面白みが詰まった名作」アウトサイダー コンプリート・ノベル kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0不良映画の面白みが詰まった名作

2024年12月18日
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鑑賞方法:映画館

中学生の時に不良に憧れる友人と観に行ったことを覚えている。2本立て(もう1本はちょっとエッチでくだらない青春映画だった気がする)で上映していた映画館で鑑賞。当時は入れ替えがないから、もう1本の映画を挟んで2回観た。元気だったなと思う。自分は不良になりきれなかったが、カッコいいと憧れたことが懐かしい。
グリース側の俳優たちがその後様々な映画に出演し有名になっていったのもこの映画が特別になった要因だ。今でも映画で主演を務めているのはトム・クルーズくらいだが、80年代〜90年代のいろんな映画に主演・出演した人たちの若い姿が見られるのも貴重。トム・ウェイツも出演していたのは新しい発見だった。
大人になって観ることはなかったが、今回原作小説に忠実なバージョンで上映と聞いてやはり観ておきたくなった。オリジナル映画との違いはよくわからなかったが、当時と今で観る側の自分に大きな違いがあることに気づいた。年齢はもちろんだが、今はある程度の洋楽の知識があるということ。ヴァン・モリソンのグロリアが使われてたんだとか、プレスリーの曲メッチャ使ってるな!とか、新鮮な驚きを覚えることができた。そりゃアメリカの青春映画だから、こんな音楽の使われ方するよな。ただ、BGMとして使われたオリジナルスコアはちょっとうるさくて、シリアスなシーンにこんな音楽いるかな?と少し思ってしまった。当時の映画の作り方がこんなものだったのか?
話の方は、グリースとソッシュの対立、兄弟の対立、親との不仲、ほのかな恋心、仲間同士の友情…、アメリカの不良映画の要素がすべて詰まっていて、懐かしさがこみ上げる。中学生の時に憧れた不良少年たちが躍動してる!と。大人になっても大した未来は待っていないという閉塞感。グリースはグリースのままだと語るソッシュのやつの言葉が刺さる、不良と犯罪の根底には貧困が横たわっている。そんなことを改めて感じさせる話だった。悲しい終わりではあるが、若干の希望が感じられて私は好きだ。個人的には昔の思い出も込みで評価してしまうので甘めの点数になったかもしれない。

kenshuchu